あたまを使う/社会 2026.1.21

あの『歴史まんが』監修者に学ぶ、歴史の”正しい”学び方。子どもの視野を広げる歴史学習3つのコツ

あの『歴史まんが』監修者に学ぶ、歴史の”正しい”学び方。子どもの視野を広げる歴史学習3つのコツ

「歴史が苦手だった」「年号の暗記ばかりで挫折した」——そんな経験をもつ親御さんは少なくないはず。でも、いま世界で起きている紛争やAIの急速な発展、SNSでの情報の偏り……こうした複雑な社会情勢を子どもたちが理解するには、歴史の学びが欠かせません

「でも、自分が苦手だったのに、子どもにどう教えたらいいの?」

そんな悩みに答えてくれるのが、『角川まんが学習シリーズ 世界の歴史』の監修者で東京大学名誉教授の羽田正先生。羽田先生が提案するのは、暗記中心ではない、いまを生きる力につながる歴史学習です。

今回は、羽田正先生のインタビューをもとに、家庭でできる5つの学習のコツを紹介します。

歴史学習術1.「現代から逆算して学ぶ」

→いまとのつながりが理解しやすく

歴史の教科書は古代から始まりますが、羽田先生がすすめるのは真逆のアプローチいまという時代から過去へと遡っていく学び方です。

たとえば、ウクライナ情勢や中東の紛争。いまニュースで見る出来事の多くは、近現代史のなかにその要因があります。AIの急速な発展も、1990年代後半からのIT革命、インターネットやスマホの普及があってこそです。

子どもたちはデジタルネイティブ世代。生まれたときからスマホがあるのが当たり前です。その「当たり前」がどうやって生まれたのかを知ることが、現代を深く理解する第一歩になります。

【学習術1】家でできる「逆算学習」

🏠 家でできる関わり方のヒント

  • ニュースから歴史へつなげる:「なんでこの国とこの国が対立してるの?」と子どもが聞いたら、「昔こんなことがあってね」と近現代史を一緒に調べる
  • 身近な技術の歴史を辿る:スマホ、インターネット、ゲーム機——子どもが日常的に使うものの歴史を一緒に調べてみる
  • 歴史漫画は最新巻から:シリーズものの歴史漫画があるなら、新しい時代から読み始めてもOK。「続きが気になる!」と思ったら過去へ遡ればいい

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歴史学習術2.「同時代の世界を比べる」

→世界全体を俯瞰する力が育つ

歴史を学ぶとき、つい一つの国や地域の出来事だけを追ってしまいがち。でも、羽田先生が重視するのは「横のつながり」——同じ時代に、世界の別々の場所でどんな出来事が起きていたかという視点です。

たとえば、徳川幕府が成立した1603年頃。日本では江戸時代が始まったばかりですが、同じ時期にアメリカ大陸ではバージニア植民地が設立され、フランスではルイ14世が生まれる少し前でした。石器時代、日本とアメリカと中国で起きていたことに、どれだけつながりがあったでしょうか?  でもいまは違います。

日本で起きていることには、世界中の国や地域の動きが大きく影響しています。古い時代と現代を比較し、横のつながりがどう変化してきたかを考えることが、いまの世界を深く理解する鍵になるのです。

【学習術2】家でできる「同時代比較」

🏠 家でできる関わり方のヒント

  • 「その頃、〇〇では?」と問いかける:「日本が江戸時代のとき、ヨーロッパでは何があったんだろう?」と一緒に調べてみる
  • 世界地図を壁に貼る:歴史の話をするとき、地図で場所を確認する習慣をつける
  • 年表は横軸で見る:縦に年代が並ぶ年表だけでなく、横に地域が並ぶ年表(同時代比較表)を使ってみる

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歴史学習術3.「一方的な見方をしない」

→偏った情報は偏った思考を生む

SNS、YouTube、ニュースアプリ——いまの子どもたちは大量の情報に囲まれています。でも、アルゴリズムによって「自分が興味をもちそうな情報」ばかりが表示されるため、偏った情報ばかりをインプットしてしまうリスクが高いのです。

羽田先生が歴史まんがの監修で何度も伝えたのは、「一方だけを悪者にしないように」ということ。過去の対立や戦争には、必ずそれぞれの立場から見た理由や背景があります。たとえば、ある国とある国の戦争を学ぶとき。「A国が悪い」「B国が正しい」と一面的に教えるのではなく、「A国にはこんな事情があった」「B国にはこんな背景があった」と多角的にとらえることが大切です。

いまの子どもたちは、将来的に世界中の人たちと協働することを求められます。一面的で偏った思考しかもっていなければ、大きなマイナスになってしまうのです。

【学習術3】家でできる「多角的視点」の育て方

🏠 家でできる関わり方のヒント

  • 「お父さんは反対」「お母さんはこう思う」はNG:家庭内の会話でも、一方的な意見だけを伝えず、「いろんな考え方があるよね」という姿勢を示す
  • 歴史上の対立を一緒に考える:「なんでこの2つの国は戦ったんだろう?」「どっちにも理由があったのかな?」と問いかける
  • ニュースを鵜呑みにしない:「このニュース、違う立場の人から見たらどう見えるかな?」と一緒に考えてみる

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歴史学習術4.「地図を頭に描く」

→空間的な認識が理解を深めるから

歴史を学ぶとき、頭のなかに地図をイメージできるかどうかで、理解の深さが大きく変わります。「ここでこういうことが起きたとき、こっちではこういうことが起きていた」という空間的な認識が伴うと、歴史がぐっとわかりやすくなるのです。

たとえば、1960年頃の世界。日本では日米安全保障条約が改定され、アメリカではベトナム反戦運動が活発化し始め、中国では毛沢東の「大躍進」政策が進められ、東ドイツではベルリンの壁がつくられました。

こうした出来事を年代順に暗記するのではなく、世界地図のどこで何が起きていたかをイメージしながら学ぶことで、世界全体の動きが見えてきます。

地図を使った学習は、地理的な距離と歴史的なつながりの関係を理解することにもつながります。物理的に離れていても、歴史的には強く結びついている国や地域があることを知るのは、グローバル化した現代を生きる子どもたちにとって重要な視点です。

【学習術4】家でできる「地図学習」

🏠 家でできる関わり方のヒント

  • リビングに世界地図を貼る:ニュースや歴史の話題が出たら、すぐに「ここだね」と指差せる環境を
  • 「どこ?」と聞く習慣:歴史の話をするとき、必ず「それってどこの国?」「どのあたり?」と場所を確認する
  • 距離感を実感させる:「日本からどれくらい離れてる?」「飛行機で何時間?」と物理的な距離も意識させる

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歴史学習術5.「世界の出来事を自分事にする」

→グローバル社会を生きる力になる

羽田先生が最も伝えたいメッセージ、それは「世界のどこで起こっていることであっても、自分事としてとらえられる人になってほしい」ということです。

世界の出来事は、なんらかの意味でそれぞれつながっており、相互に影響を与え合っています。目には見えないつながりかもしれないし、直接的ではないかもしれない。それでも、つながっていることは間違いありません。

もし世界中の人が「遠い国で起きていることは自分には関係ない」と考えてしまったら? これだけ世界のつながりが強くなっている時代に、人類は問題解決の道を見失ってしまうはずです。

物理的な距離ではなく、経済的、情報的、文化的な距離がかつてよりもぐっと縮まっているいま。子どもたちには、みんな同じ「地球の住民」として、世界の問題について考えられる人になってほしいのです。

【学習術5】家でできる「自分事化」

🏠 家でできる関わり方のヒント

  • ニュースを一緒に見る:「遠い国の話」で終わらせず、「これって私たちにどう関係あるかな?」と考える時間をつくる
  • 「もし自分だったら?」と問いかける:歴史上の人物や、ニュースに出てくる人の立場に立って考えてみる
  • 世界の多様性を実体験:外国料理を食べる、異文化の音楽を聴く、海外の映画を見る——小さな体験から「世界とのつながり」を感じさせる

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歴史を学ぶことは、ただ過去の出来事を知るだけではありません。いまを理解し、未来を考えるための大切な手がかりです。

現代から逆算する」「同時代の世界を比べる」「一方的な見方をしない」「地図を頭に描く」「世界の出来事を自分事にする」——この5つのコツは、どんな歴史の学び方にも応用できます。

親自身が歴史が苦手だったとしても大丈夫。子どもと一緒に、いまにつながる歴史を楽しみながら学んでいきましょう。

(参考)
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|歴史は “暗記” じゃない。東大名誉教授が語る『角川まんが学習シリーズ 世界の歴史』の学び方
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|歴史の「偏った情報」は「偏った思考」を生む。「お父さんは反対」「お母さんはこう思う」がNGな理由
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