あたまを使う/社会 2026.1.16

衆議院解散とは? なぜ突然選挙になるの?【親子で学ぶ 政治の話】

衆議院解散とは? なぜ突然選挙になるの?【親子で学ぶ 政治の話】

「”衆議院解散” ってニュースで聞いたけど……それって何?」ニュースを見ていた子どもにそう聞かれたら、わかりやすく答えられますか?

2026年1月14日、高市早苗首相が衆議院を解散する意向を与党幹部に伝えました*1。日本初の女性首相として2025年10月に誕生してから*2、わずか3ヶ月。「なぜいま?」「解散って何?」「選挙にお金がかかるのでは?」と疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

大人でも「なんとなく知っているけど、説明となると難しい……」ということが多い政治の仕組み。今回は、「親子で学べるシリーズ」として、衆議院解散の仕組み背景をわかりやすく解説します。

📝 「衆議院解散」ってどんな仕組み?

衆議院解散」とは、任期が残っていても衆議院をいったん解散して、新しく選挙をやり直すことです。

衆議院議員の任期は4年です。でも、4年が終わる前に解散されることがあります。解散されると、すべての衆議院議員は議員ではなくなります。そして、改めて選挙で国民に選ばれ直すことになります。

参議院には「解散」はありません。衆議院だけの特別な仕組みです。

【子どもへの説明例】
衆議院解散っていうのは、議員さんの任期が残っていても、一度みんなやめてもらって、新しく選挙をやり直すことなんだ。私たちが投票する総選挙が行われるんだよ。

👤 誰が解散を決められるの?

衆議院を解散できるのは、内閣総理大臣だけです。これを「解散権」といいます。

手順としては、総理大臣が解散を決めて、天皇が「解散します」と宣言します。でも、実際に解散するかどうかを決めるのは総理大臣です。

今回は、2025年10月に第104代内閣総理大臣になった高市早苗首相が、2026年1月14日に「通常国会の冒頭で衆議院を解散する」意向を与党幹部に伝えました*1。日本初の女性首相として注目を集める高市首相。就任からわずか3ヶ月での解散判断です。

【子どもへの説明例】
衆議院を解散できるのは、総理大臣だけなんだ。いまの高市早苗首相が「解散します」と決めたら、衆議院の議員さんたちは一度みんな辞めることになって、新しく選挙をするんだよ。

🗳️ 解散するとどうなる? 総選挙までの流れ

院が解散されると、40日以内に総選挙が行われ、その後30日以内に新しい総理大臣が選ばれます

衆議院が解散されると、次のような流れで総選挙が行われます。

解散から総選挙までの流れ

  1. 解散の宣言
    総理大臣が解散を決定し、天皇が解散を宣言
  2. 選挙の準備
    解散から40日以内に総選挙を実施(法律で決まっている*4
  3. 公示日
    選挙がスタート。候補者が決まり、選挙運動が始まる
  4. 投開票日
    私たち国民が投票する日
  5. 特別国会
    選挙後30日以内に国会が召集され、新しい総理大臣を選ぶ

今回の解散は、1月23日に召集される通常国会の冒頭で行われる見込みです。報道によると、「1月27日公示―2月8日投開票」または「2月3日公示―15日投開票」の日程が検討されています*3。真冬の選挙は珍しいので、「真冬の決戦」とも呼ばれています。

【子どもへの説明例】
解散が決まったら、40日以内に選挙をしないといけないんだ。今回は1月に解散して、2月に選挙が行われる予定だよ。寒い冬の選挙は珍しいんだ。

投票

⏰ なぜいま、解散するの?考えられる理由

「なぜいま、解散するの?」「何のため?」これは多くの人が疑問に思うことでしょう。SNS上でも、「自民党の議席を増やしたいだけ?」「何が目的なの?」といった声が上がっています。

総理大臣が解散の理由を詳しく説明することは少なく、本当の狙いは本人にしかわかりません。まずは現在の状況を確認してから、専門家やメディアがどう分析しているのかを見てみましょう。

いまの状況はどうなっている?

解散の背景を理解するために、いまの政治状況を見てみましょう。以下は、誰でも確認できる事実です。

高市内閣の支持率

  • 発足時に71%、12月時点でも73%と高い水準*5

国会の議席状況

  • 2024年の衆議院選挙で、自民党は議席を大きく減らした*6
  • 長年連立を組んでいた公明党が2025年10月に連立から離脱*6
  • 現在は日本維新の会と連立を組んでいる*6
  • 衆議院でぎりぎり過半数、参議院では過半数に届いていない*6

このような状態を「少数与党」といいます。過半数ギリギリ、または過半数に届いていないため、野党が反対すると法律や予算を通すことができません。たとえば、「この法律を作りたい」と思っても、野党が「反対」と言えば、成立しないのです。

一方で、内閣支持率は70%を超える高い水準です。「いまの総理大臣や内閣を支持する」と答える人が多いということです。

専門家が考える解散の理由

このような状況のなかで、なぜいま、解散するのでしょうか。政治の専門家やメディアは、次のような理由があるのではないかと分析しています。ただし、これらはあくまで推測であり、本当の理由は高市首相本人にしかわかりません。

  • 議席を増やして安定した政権運営をしたい
    現在の「少数与党」では政策を進めにくい。選挙で議席を増やせば、思うように政治を進められる
  • 支持率が高いうちに選挙をしたい
    支持率が高いときに選挙をすれば、与党が勝ちやすい。時間が経って支持率が下がる前に選挙をしようという判断かもしれない
  • 早期に選挙を終わらせたい
    通常国会の冒頭で解散するということは、所信表明演説も行わずに選挙に入るということ。早く選挙で基盤を固めて、その後の政策を進めやすくしたいという見方もある

賛成・反対の意見

解散について、賛成の声も反対の声もあります。

賛成する意見

  • 国民に信を問うのは民主主義として正しい
  • 政権の基盤を固めることで、政策を進めやすくなる

反対する意見

  • 物価高対策を優先すべきで、選挙は後回しにすべき
  • 大義(解散する明確な理由)がない
  • 600億円もの税金を使う必要があるのか
【子どもへの説明例】
なぜいま、解散するのかは、高市首相本人にしかわかりません。でも、専門家たちは「支持率が高いからいまなら勝てると思ったのでは」とか「政治を進めやすくするためでは」とか、いろいろな見方をしているんだよ。賛成する人も反対する人もいて、意見が分かれているんだ。

💰 選挙にはどのくらいお金がかかる?

「解散して選挙をするのに、どのくらいお金がかかるの?」という疑問もよく聞かれます。

衆議院選挙には、約600億円の税金がかかると言われています*7

これは、選挙の準備、投票所の設置、開票作業、選挙管理などにかかる費用です。

「600億円もかかるのに、本当にいま、選挙をする必要があるの?」という疑問の声もあります。特に、物価高で生活が苦しい人が多い中、巨額の税金を使って選挙をすることに批判的な意見もあります。

一方で、民主主義を維持するためには選挙は必要なコストだという考え方もあります。国民が政治に参加し、意思を示すための大切な機会だからです。

【子どもへの説明例】
選挙には約600億円もの税金がかかるんだ。「そんなにお金をかけて、いま、選挙をする必要があるの?」って疑問に思う人もいるよね。でも、選挙は私たちが政治に参加する大切な機会でもあるから、いろいろな意見があるんだ。

大金

🔄 参議院は解散しないの?衆議院との違い

「衆議院は解散があるのに、なぜ参議院は解散しないの?」という疑問を持つ人も多いでしょう。

衆議院と参議院の違い

衆議院

  • 議員数:465人*8
  • 任期:4年
  • 解散:ある
  • 選挙:一度に全員を選ぶ
  • 特徴:国民の意思を早く反映

参議院

  • 議員数:248人*8
  • 任期:6年
  • 解散:ない
  • 選挙:3年ごとに半分ずつ選ぶ
  • 特徴:じっくり議論

なぜ衆議院だけ解散があるの?

衆議院に解散がある理由は、「国民の意思を素早く反映するため」です。

世の中が大きく変わったり、重要な問題が起きたりしたとき、いまの議員たちが国民の考えをちゃんと代表しているか確認する必要があります。そのために解散という仕組みがあるのです。

参議院には解散がありません。これは、「じっくり議論する場」としての役割を持っているからです。3年ごとに半分ずつ改選されるので、急な変化は起きにくく、長期的な視点で議論できます。

「衆議院の優越」という仕組み

重要な法律や予算を決めるとき、衆議院と参議院で意見が分かれたらどうなるでしょうか。多くの場合、衆議院の意見が優先されます。これを「衆議院の優越」といいます。

なぜかというと、衆議院には解散があり、より国民の意思を反映しやすいと考えられているからです。

【子どもへの説明例】
参議院には解散がないんだ。衆議院は国民のいまの気持ちを素早く反映するために解散があるけど、参議院はじっくり議論する場所だから解散はないんだよ。役割が違うんだね。
***

ニュースで見る「衆議院解散」は、大人だけの話ではありません。子どもにとっても、「リーダーはどうやって選ばれるのか」「選挙ってなんだろう」を考えるきっかけになります。

親が「政治って、こういう仕組みなんだね」と一緒に学ぶ姿勢を見せることで、子どももニュースを “自分ごと” として捉えられるようになります。

政治は遠い世界の話ではありません。私たちの暮らしや子どもたちの未来に直接つながっています。

ニュースをきっかけに、「解散ってなんだろう」「なぜいま、選挙をするんだろう」そんな会話を、今日から家庭でも少しだけ始めてみませんか?

(参考)
*1 日本経済新聞|高市首相、衆院解散へ 「23日召集の国会冒頭」14日党幹部に伝達
*2 首相官邸|令和7年10月21日 高市内閣総理大臣記者会見
*3 毎日新聞|高市首相、衆院解散検討 意向を周辺に伝える 最速で2月8日投開票
*4 総務省|衆議院議員総選挙
*5 読売新聞|高市内閣支持率73%(2025年12月)、NHK|高市内閣「支持」62%
*6 自由民主党|高市早苗第104代総理を選出 暮らしと平和を守り日本を前に進める
*7 総務省|選挙関連経費(過去の衆議院選挙の実績より)
*8 衆議院|国会の仕組み

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