教育を考える 2020.8.14

毎日3つ選ぶだけの幸福術「ピック・スリー」。親子でハッピーになろう!

長野真弓
毎日3つ選ぶだけの幸福術「ピック・スリー」。親子でハッピーになろう!

子どもの教育について考え、仕事、家事をこなしていると、あっという間に時間は過ぎ、「1日が24時間では足りない!」とイライラしてしまうこと、ありますよね。でも残念なことに、親のイライラは子どもに伝わってしまうのです。

そんなイライラし続ける毎日を改善し、ちょっとしたマインドチェンジで人生が変えられるとしたら……? 今回は、親も子どももハッピーになれる秘策「ピック・スリー」をご紹介します。

親のストレスが子どもに与える悪影響

大なり小なり、日常生活にストレスはつきもの。親も人間です。イライラして、つい家族にきつく当たってしまうこともありますよね。しかし、“たまに” ならまだしも、それが “いつも” になってしまうようであれば要注意。親のストレスが子どもに与える悪影響は、決して小さくありません。

悪影響1:「学力」「コミュニケーション力」が低下する

子どもの安全とリスク・コミュニケーション研究班委嘱研究員で立教大学現代心理学部特任教授の尾久裕紀氏によると、母親のメンタルヘルス(心身の健康と安定)の影響は、子どもが胎児のときからあり、親の心の不安定は、子どもに不安や緊張感を与えることがわかっています。

特に、母親との情緒的な絆が形成される乳児期は気をつけなければいけません。笑ったり、声をかけ合ったり、お互いが呼応し合う穏やかで幸せな相互作用が、信頼と愛情の形成に大きな役割を果たすのです。そのような重要な時期に、親がストレスなどから心の健康を損ねてしまうと、子どもは不安や緊張感から学力が低下したり、人間関係が悪化したりしてしまいます。

悪影響2:「自己肯定感」が低くなる

日本メンタルアップ支援機構 代表理事である大野萌子氏は、「子どもを注意するときの言葉や態度に気をつけてほしい」と言っています。

たとえば、子ども部屋が散らかっている状況で、イライラしていて「片づけなさいって言ってるでしょ!」と冷たく言い放つときもあれば、機嫌がいいので放置していることもあるときもある――これでは、親の行動に統一性がありません

このような言動は、しつけではなく、子どもをストレスのはけ口にしているだけです。親の感情で叱られてしまうと、子どもは「親の機嫌が悪いのは自分のせいだ」と思い込んでしまい、親の顔色ばかりうかがう子どもになってしまいます。つまり、自己肯定感が低くなってしまうのです。

親は、そのことを自覚したうえで、自分の感情を子どもに素直に伝える努力をしましょう。「いま、お母さんは疲れているから答えてあげられないけど……」など、「イライラしているのは、あなたのせいではない」ということを伝えるのが重要なのです。親のストレスが子どもに与える悪影響は、人間形成に大きく関わるものばかり。侮れませんね。

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なぜストレスがたまるのか? 3つの原因

共働き家庭では、仕事、子育て、家事に毎日追われ、専業主婦(主夫)であれば、「家事も育児もできるだけ完璧にこなさなきゃ」と、こちらも毎日休みなしでフル回転。それぞれの環境ごとに、日々頑張っている方が多いと思います。

しかし、その完璧さがストレスの温床となり、子どものためにならないとしたら!? フロリダ大学やマイアミ大学の研究では、「完璧主義はメリットよりもデメリットのほうが大きい」ことがわかっています。ストレスをためないために、まずはストレスの原因を確認しておくといいようです。

ストレスの原因1:理想が高すぎる

いまは、さまざまな媒体から子育てや教育に関する情報がいくらでも得られるだけに、理想が高くなりがちです。向上心はすばらしいことですが、得た情報すべてを完璧にこなそうとするのはストレスのもと。「理想を目指す」のではなく、「参考にする」程度に肩の力を抜いて、毎日を過ごしましょう。

ストレスの原因2:人と比べすぎる

SNSの普及で、いろいろな人たちの生活を垣間見る機会が増えました。育児や教育に関する情報もあり余るほど手に入ります。「あの人に比べて……」「あの子はできるのにうちの子は……」と、ほかと比べてばかりでは、卑屈なストレスを抱えることに。特に子どもの性格や得意分野は十人十色。子どもを型にはめないためにも、過度な比較と情報過多には気をつけましょう

ストレスの原因3:ひとりで頑張りすぎる

仕事も教育も頑張る親御さんたちが陥りがちなのが、すべてをひとりで背負い込むこと。頑張れば頑張るほど、「私はこんなにやっているのに」「なぜ協力してくれないの?」と、パートナーへの不満がたまりがちに。その鬱憤は家族に向かいかねません。自分も家族もハッピーになるために、家事分担を話し合ったり、有料サービスを利用したりするなど、うまく甘えられるようになるといいですね。

完璧主義がストレスを生むのであれば、「完璧でなくてもいい」ーーそう思えるようになりたいものです。

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毎日3つ選ぶだけの幸福術「ピック・スリー」

では、完璧主義から脱却するにはどうしたらいいのでしょう? そこで、人生が変わる幸福術「ピック・スリー」をご紹介しましょう。

Facebookの創業メンバーであり、起業家、ミュージカルプロデューサー、作家など多くの肩書をもつランディ・ザッカーバーグ氏は3児の母でもあります。そんな “超” 忙しい彼女だからこそのアイデア「ピック・スリー」は、「すべてをやろうとするからうまくいかない」と悟ったのがきっかけで生まれました。「ピック・スリー」は、ストレスを減らし、心身ともに充実感を得るための方法なのです。

【ピック・スリーのルール】
「自分の人生にとって欠かせない大切なカテゴリーを5つ挙げる。毎日そのなかから3つを選び、実践する」
1日に5つ選ぶことはできません。必ず3つだけです。選ばなかった2つについては、別の日に選ぶチャンスはあるので、いっさい罪悪感はもたないこと。これが長く続けるための秘訣です。また、3つは毎日気分を変えて自由に選びましょう。WeekdayとWeekendで自分なりのスタイルを決めてもいいですし、季節によって決めてもOK。とにかく「選んだ3つをやる」それだけです。

具体例をザッカーバーグ氏の場合でご紹介しましょう。
彼女のカテゴリー:「仕事」「睡眠」「家族」「運動」「友人」

【9月5日 火曜日】「仕事」「友人」「家族」をピック!
朝イチでテレビのモーニングショーに出演。テーマは、新学期におすすめの新しいアプリやガジェットについて。テレビに出られるのはうれしいけど、そのためには明け方起床がマストなので、「睡眠」はどうしても選べない。親友のエリカがスタジオに来てくれて、出番が終わったあと、コーヒーを飲みながら雑談。(ここで「友人」の時間)。それから出社し、山積みの仕事を片づける(ここで2度目の「仕事」)。息子たちが寝る前になんとか帰宅。この秋、小学生になる6歳の息子の準備を手伝い、仕事から帰ってきた夫と、今日あったことを語り合う。
→結果:ピック・スリーは「仕事」に偏りすぎ!

(引用元:東洋経済オンライン|世界でバズった「毎日3つ選ぶだけ」幸福術 アンバランスになれば仕事もオフも楽になる

こんなふうに “ピック・スリー日記” をつけ、1週間後にカテゴリーを集計してみます。この週のザッカーバーグ氏の結果は、仕事5回、睡眠3回、家族7回、運動3回、友人3回。ここからどんな1週間だったかを振り返り、「睡眠が足りなかったから来週は気をつけよう」など、改善点を挙げていきます。

しかし、「〇〇ができなかった……」と自分を責める必要はありません。「家族とたくさん過ごせてよかった」という幸福感や、「今週も自分なりに頑張った!」という充実感を実感することが目的なのですから。

3つだけならできそうな気がしますし、目視できるのでカテゴリーのバランスもとりやすくなり、そのときどきで行動の優先順位も決めやすくなります。ザッカーバーグ氏が「ピック・スリーは、完全に私の人生を変えた」とまで言うすばらしい幸福術は、日々のストレスを確実に減らしてくれることでしょう。

***
「できないこと」を受け入れると、「できること」が増える。

最初から「やること」を減らしてしまえば、自分の時間と心の余裕が生まれ、ストレスフリーに。ストレスが少ない親は、子どもを励ましたり、ほめたりする行動が多くなると調査で実証されています。親も子どもも、のびのびハッピーになれる「ピック・スリー」は、まさに家族の幸福術ですね。

(参考)
東洋経済オンライン|世界でバズった「毎日3つ選ぶだけ」幸福術 アンバランスになれば仕事もオフも楽になる
東洋経済オンライン|「子どもに当たり散らす親」がいずれ陥る悲劇 「しつけ」という言葉ですべてを片付けるな
TOWN WORKマガジン|完璧主義者の特徴・原因と治し方 頑張りすぎて疲れてしまう人
ベネッセ教育情報サイト|あなたは大丈夫?育児ストレスをためやすい人に4つの特徴
関西大学|第203回産業セミナー 親と子のメンタルヘルス
Harvard Business Review|The Pros and Cons of Perfectionism, According to Research
American Psychological Association|Is perfect good? A meta-analysis of perfectionism in the workplace