2019.10.12

子どもはもちろん「親の自己肯定感」まで育つ!? 家庭でペップトークを始めよう

子どもはもちろん「親の自己肯定感」まで育つ!? 家庭でペップトークを始めよう

子どもの教育やビジネスにおける人材育成、スポーツの現場などで活用されている「ペップトーク」を知っていますか? このペップトークを家庭でも取り入れると、子どもの成長に良い影響をもたらすといわれています。

今回は、ペップトークの概要や、具体的な方法について紹介しましょう。

子どもにネガティブな言葉をかけていませんか?

「早くして!」
「そんなこと言っても仕方ないでしょう!」
「○○ちゃんはできるのに、なんであなたはできないの!」
「もう、また失敗して……」

お子さんに向かって、このようなことを言ってはいませんか? 家庭教育の専門家である田宮由美氏いわく、親の言動のなかで、子どものペースを否定して急かすようなものや、子どもの気持ちを認めないようなもの子どもを兄弟・姉妹や友だちと比べるようなもの子どもの失敗を責めるようなものが多いと、子どもの自己肯定感はどんどん低くなってしまうそう。

内閣府が2019年6月に公開した令和元年版「子ども・若者白書」によると、日本の若者の自己肯定感は、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの若者に比べて最も低いという結果が出ています。

自己肯定感が低いと、自分に自信が持てなくなり、周囲の人々との関係がうまく築けなくなってしまうこともあります。育児や家事、仕事に追われていると、どうしても子どもに対してネガティブな言葉がけをしてしまうこともありますが、できるだけ控えるように心がけましょう。

家庭でペップトークを始めよう2

「木のおもちゃ」が知育におすすめな理由。五感を刺激し、集中力を育んでくれる!
PR

ペップトークで自己肯定感を上げる!

子どもの自己肯定感を高めるためには、ネガティブな言葉がけをできる限り控えて、ポジティブな言葉がけをすることが効果的です。その際に役立つのが「ペップトーク」です。

ペップトークとは、もともとは、アメリカでスポーツの試合前に監督やコーチが選手を励ますために行なう激励のスピーチのこと。相手にポジティブなメッセージを伝えることによって、不安や恐怖といったネガティブな気持ちを取り除き、やる気や自信を生み出す効果が期待できます。

日本ペップトーク普及協会によると、ペップトークは日常のどんな場面でも取り入れることができ、活用していくうちに、相手(子ども)はもちろん、ポジティブな言葉がけをしている自分(親)の思考や行動も前向きになっていくという特徴があるそうです。

家庭でペップトークを始めよう3

家庭でペップトークを始めよう!

日本ペップトーク普及協会専務理事の浦上大輔氏によると、ペップトークは以下の4ステップを踏むことがポイントだそう。

  1. 受容(事実の受け入れ)
    まずは相手の状況を把握し、相手の気持ちを受け入れていることを伝えます。
    例「緊張するよね」「したくないときもあるよね」「誰でも不安になるよ」
  2. 承認(捉え方の変換)
    1で受け入れたネガティブな気持ちをポジティブに捉えていきます。
    例「たくさん練習していたよね」「ここまでできているなんてすごいね」
  3. 行動(してほしいことの変換)
    ネガティブな表現を使わずに、相手にしてほしい行動を具体的に伝えます。
    例「まずは1ページだけ終わらせてみよう」「リラックスした状態でテストを受けよう」
  4. 激励(背中の一押し)
    安心感を与える声がけや、背中を一押しする声がけをします。
    例「何かあったら助けるからね」「君ならできるよ!」

 
さらに、ペップトークには「ポジティブな言葉を使う」「短い言葉を使う」「わかりやすい言葉を使う」「相手が言ってほしい言葉を使う」「相手の心に火をつける本気の関わりをする」というルールもあります。

4つのステップと5つのルールを踏まえた言葉かけの例をご紹介しましょう。

子どもが宿題をするのを嫌がっているとき
「宿題するのが嫌なんだね。誰でも、やる気が出ないときがあるもんね」
「この前はしっかり宿題を終わらせていたよね。できるときもあるんだよね」
「とりあえず○時までやってみたらいいんじゃないかな」
「わからないところがあったら聞いてね」

 

子どもが習い事の発表会を控えてナーバスになっているとき
「初めての発表会だもん、緊張するのは当然だよね。お母さん(お父さん)も子どもの頃に○○を習っていたんだけど、発表会のときはすごく緊張したよ」
「レッスンの日に一生懸命練習してたところを見ていたよ」
「練習のときと同じようにやればうまくいくよ」
「あなたならきっとできるよ!」

 

子どもが友だちとケンカしてしまったとき
「○○くんとケンカしちゃったんだね。悲しいし、くやしくなるよね」
「きっと仲直りしたい気持ちがあるから、モヤモヤするんだよね」
「○○くんに怒ってしまった理由を説明してきちんと謝ってみたら、仲直りできるんじゃないかな」
「あなたの気持ちは○○くんにも伝わるよ」

 
***
子どもの自己肯定感を高め、親もポジティブになれるペップトーク。ぜひ日常生活に取り入れてみてください。

文/田口 るい

(参考)
一般財団法人 日本ペップトーク普及協会|ペップトークとは
東洋経済オンライン|勝つために厳しくは必ずしも結果に直結しない ペップトークの活用でチームは劇的に変わる
ベネッセ教育情報サイト|オリンピック選手のコーチも実践! 受験生に効くペップトークとは?
TKCグループ|社員のやる気を最大限に引き出すショートスピーチの技術とは
All About|子どもの自己肯定感が低いのは親のせい?NG言動5つと高める子育て
内閣府|令和元年版 子供・若者白書