あたまを使う/社会 2025.9.20

「 “おはぎ” と “ぼた餅”のちがいは何?」お彼岸・お墓参りの習慣を簡単に解説【親子で学ぶ 日本の文化】

「 “おはぎ” と “ぼた餅”のちがいは何?」お彼岸・お墓参りの習慣を簡単に解説【親子で学ぶ 日本の文化】

お彼岸が近くなると、お店の店頭やお供え物としてよく見かける「おはぎ」と「ぼた餅」。どちらもあんこで包まれたお餅ですが、子どもから「ねえ、なんで名前がちがうの?」と聞かれたら、答えられますか?

じつは、この2つの呼び名にはきちんとした理由があります。しかも、お彼岸という日本の伝統行事とも深く関わっているのです。

今回は「親子で学ぶシリーズ」として、まずは「お彼岸とはどんな行事なの?」を解説。そのあとに「おはぎ」と「ぼた餅」のちがいを紹介します。子どもに伝えるときのわかりやすい簡単な説明例や、親子で会話を広げるヒントもまとめています。ぜひ参考にしてくださいね。

お彼岸ってなに?

お彼岸(ひがん)は、年に2回訪れる日本独特の行事です。春は春分の日(3月ごろ)を中心に前後7日間、秋は秋分の日(9月ごろ)を中心に前後7日間を「お彼岸」と呼びます。

春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇り真西に沈む日で、昼と夜の長さがほぼ同じになります。季節の変わり目であり、「バランスがとれた特別な時期」として昔から大切にされてきました。

春分の日・秋分の日は地球の動きによって毎年変わります。2025年の日程は以下の通りです。

  • 春のお彼岸:3月17日(月)〜3月23日(日)
    【春分の日:3月20日(木・祝)】
  • 秋のお彼岸:9月20日(土)〜9月26日(金)
    秋分の日:9月23日(火・祝)】

お彼岸はもともと仏教に由来し、私たちが暮らす「此岸(しがん/この世)」から、亡くなった人のいる「彼岸(ひがん/あの世)」へと思いを届ける期間と考えられてきました。日本では平安時代から風習として定着し、江戸時代になると庶民の間でも広く行われるようになったといわれています。


【子どもへの説明例】

「お彼岸はね、春と秋の特別な1週間。昼と夜の長さが同じになるから、”ちょうどいい時期”として昔から大事にされてきたんだよ。」

彼岸花

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お彼岸には何をするの?

お彼岸の代表的な習慣といえば「お墓参り」です。

家族でお墓に行って、ご先祖さまに「ありがとう」「元気でやっています」と伝えます。お墓をきれいに掃除し、お花や食べ物をお供えして手を合わせる。その行為自体が、ご先祖さまと心をつなぐ大切な時間になります。

また、お墓参りだけでなく、自宅の仏壇を整えたり、家族で集まって食事をしたりすることも、お彼岸に行う習慣です。


【子どもへの説明例】

「お墓参りはね、ご先祖さまに”ありがとう、元気だよ”って伝えるために行くんだよ。」

お墓参り

「おはぎ」と「ぼた餅」何がちがう?

さて、本題です。お彼岸に欠かせない食べ物といえば「おはぎ」と「ぼた餅」。どちらももち米と小豆あんで作られるお菓子で、形や味に大きな違いはありません。ではなぜ呼び名が二つあるのでしょうか? じつは、春と秋の季節の花に名前が由来しています。だから春(3月)と秋(9月)で、同じ食べ物でも呼び名が変わるのです

春に咲く花の名前秋に咲く花の名前だから季節で名前が変わる
  • 春(3月):春に咲く大きな牡丹の花にちなみ、「牡丹餅(ぼたもち)
  • 秋(9月):秋に咲く萩の花にちなみ、「お萩(おはぎ)」

つまり、同じ食べ物でも「季節によって名前が変わる」のです。日本人らしい、花や自然にちなんだ言葉遊びがそこに込められているのですね。ちなみに、作り方や材料など、伝統的な違いは存在するようですがここでは割愛します。


左:牡丹の花、右:萩の花

小豆の赤色に込められた意味

昔から赤い色には「魔除け・厄除け」の力があると考えられていました。小豆を使ったおはぎやぼた餅は、ご先祖さまに感謝を伝えると同時に、家族の健康や幸せを願う食べ物でもあったのです。

ご先祖さまと”分け合う”気持ち

お供え物は「一緒に食べてください」という意味を持っています。ぼた餅やおはぎをお墓や仏壇にお供えしたあと、家族で食べるのもそのため。食べ物を通して「ご先祖さまとつながっている」という感覚を大切にしてきたのです。


【子どもへの説明例】

「春は”ぼたん”の花、秋は”はぎ”の花から名前が変わるんだよ。」
「おはぎやぼた餅をお供えするのは、ご先祖さまに“ありがとう”って気持ちを伝えるのと同時に、“家族みんなが元気で過ごせますように”ってお願いする意味もあるんだよ。」

ぼた餅・おはぎ

親子で話してみたい会話ヒント 🗣️

お彼岸について子どもと話すときは、身近な体験から始めるのがおすすめです。子どもの興味を引き出すような質問をしてみましょう。

🍡 「もし自分がご先祖さまだったら、どんな食べ物をお供えしてほしい?」
🪦 「お墓に行ったら、誰にどんなことを伝えたい?」
💝 「ありがとうって言いたくなるのは、どんなとき?」
🌸 「春と秋、どっちのお花の名前が好き?」

子どもの答えに「そうだね」「いい考えだね」と返しながら、少しずつ意味を足してあげると理解が深まります。大人も「どう説明しようかな」と一緒に考える時間が、最高の学びになります。

子どもの興味を引き出すには、まず大人が「なんでだろう?」と心から関心をもつことが大切です。年齢や理解に合わせて、ゆっくり会話を楽しんでください。

***
「おはぎ」と「ぼた餅」は、見た目は同じでも季節によって名前が変わる、日本らしい風習を表す食べ物です。そして、お彼岸はご先祖さまに感謝を伝え、家族でつながりを感じるための特別な時期

子どもにとっては「なんで?」がいっぱいのお彼岸も、意味を知れば「ありがとうを伝える温かい時間」になります。今年のお彼岸は、おはぎやぼた餅を囲みながら、親子で日本の文化を味わってみませんか?