教育を考える 2019.3.10

質問には質問で返す!? 「論理的思考」と「問題解決能力」を鍛える親子の会話テクニック

編集部
質問には質問で返す!? 「論理的思考」と「問題解決能力」を鍛える親子の会話テクニック

みなさんは普段、お子さんとの会話でどのようなことに気をつけていますか? 親子の会話は、コミュニケーションを深めるだけではなく、子どもに安心感や自己肯定感を与える役割も果たします。

また、「お母さん、お父さんは私の話をちゃんと聞いてくれている」「ぼくの話に興味を持ってくれている」というプラスの感情は、子どもの脳にも良い影響を及ぼします。今回は、親の質問力によって子どもの論理的思考を育てるコツをご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

親子の会話は “その瞬間” を大切に

教育学者の有元秀文氏は、著書『学力をグングン伸ばす 親の「質問力」』(扶桑社)で次のように述べています。

家庭でのコミュニケーション、親子の会話はその子は将来人間関係を作るベースとなり、人間的な魅力を生む基礎となります。親子の会話はおろそかにしてはいけないのです。親に話したばかりに怒られたり、自分の行動や考えを否定されたりすると、子どもは「親に話さない方がいい」と思うようになってしまいます。これが、親子の会話がなくなる原因の一つだということは間違いありません。

(引用元:有元秀文(2018),『学力をグングン伸ばす 親の「質問力」』,扶桑社.)

忙しくしていると、つい「はいはい」と適当に相づちを打ったり、「また今度じっくり聞かせて」と後回しにしたり、子どもとの会話を億劫に感じることもありますよね。それはきっと、「会話なんていつでもできる」「今じゃないといけない理由がない」という思いがあるからではないでしょうか。しかし、子どもにとっては「今」が大事で、後回しにされると「話を聞いてもらいたい」という気持ちもしぼんでしまうのです。

ついどちらかが一方的に話してしまったり、軽く返事をするだけで終わったりと、親子だからこそおろそかになってしまいがちな日々の会話。それは「脳にとってもあまり良くない」と、文教大学教育学部教授で小児科医の成田奈緒子先生は説きます。脳を刺激する親子の会話は「論理的思考」がカギになるとのこと。

前頭葉を刺激するためには、親のほうが論理的な考え方を言葉にして伝えていくこと、そしてできるだけ豊かな語彙を用いて、きちんとした言葉遣いで話しかけていくことが重要です。

(引用元:洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』,洋泉社.)

具体的にはどのように話しかければいいのでしょう。たとえば、「出かけるから早く準備して」とだけ言うのではなく、「12時におばあちゃんのおうちに行かないといけないから、あと10分で家を出ないと間に合わないよ」と、目的や理由を明確にしたうえで伝えるといいそうです。

仮説を立てる練習で論理的思考が育つ!

おしゃべりが上手な子、自分の気持ちを伝えるのが苦手な子、いろいろなタイプのお子さんがいますよね。これからの時代に確実に求められるのは、「自分の考えを論理的に相手に伝える能力」です。しかし、『小学生からのロジカルシンキング』(SBクリエイティブ)の著者・苅野進氏は、それらの能力を大人になってから身につけるのは難しいといいます。

そこで重要なのが、子どものころから家庭で「思考の型」を持たせるように心がけること。その型をつくるのに効果的なのが、仮説を立てる練習だそうです。

最近の入試では、「自分の意見を書きなさい」というように、問題解決能力を試す問題が増えてきています。完璧な正解はないものの、頭の中でどのようにして物事を組み立てて、論理的な思考で問題を解決できるか、ということが評価されるようになってきているのです。その能力は「仮説を立てること」でぐんぐん伸びていきます。

たとえば、突然「今日の夜ごはんは何だと思う?」と聞くとします。そこで子どもが「えー、わからないよ」と答えて終わってしまうようでは、深い思考力を身につけることができません。

「今日の夜ごはんは何だと思う?」
「わかった、カレーだ!」
「どうしてそう思うの?」
「昨日は肉じゃがだったでしょ? あまった材料でカレーが作れるよ」

「今日の夜ごはんは何だと思う?」
「うーん、ハンバーグかな」
「どうしてそう思うの?」
「テストでいい点を取ったから、ごほうびに大好きなハンバーグを作ってくれると思って」

「今日の夜ごはんは何だと思う?」
「コロッケ!」
「どうしてそう思うの?」
「きのう山盛りのコロッケを食べる夢を見たんだもん」

小学校低学年くらいでは、まだまだ論理的な仮説は立てられません。たとえ子どもの答えが論理的でなかったとしても、「仮説を立てる」という思考の型を育てることが重要です。どんな答えでも、親は「なるほど、そういう理由なんだね」と返してあげれば大丈夫です。

親の質問力を高めるテクニック

ベネッセ教育総合研究所の小泉和義さんは、日常生活を通じて親自身の子どもへの「質問力」を高めることが重要だといいます。そのためにも、次の2つのポイントを押さえておきましょう。

1. 保護者自身が好奇心を持って質問する
相手の気持ちに寄り添って「共感」することがコミュニケーションのベースです。子どもが話をしてきたら、興味を持ってしっかりと聞いてあげましょう。

2. 質問には質問で返す
子どもに「今日のおやつはなに?」と聞かれて「シュークリームよ」と答えるのではなく、「さてなんでしょう?」と聞き返してみてください。子どもが発したひとつの質問をうまく活かし、複数の質問を生み出すのがコツです。日常の中に子どもが質問する機会をたくさん作ることが、子どもの好奇心を広げる下地になります。

また、子どものこころのコーチング協会代表理事・和久田ミカ氏は、親子の信頼関係の土台は、親が日頃から子どもの話をていねいに聞くことと述べています。

6歳ぐらいまでの子どもは、まだ経験が少ないので自分の気持ちをうまく言葉で表現できないことがあります。(中略)親が質問し、子どもが考えて答えを出す会話のキャッチボールをすることで、“抽象的”な言葉を“具体的”な言葉に落としこむことができ、何をすればいいか見通しをつけることができます。

(引用元:ママノート|親の「質問力」で、子どもの考える力が伸びる!

子どもに質問するときには次の点に注意しましょう。

1. 責めない

×この聞き方はNG!
「なぜやらないの?」
「どうしてできないの?」
このような質問は、子どもが責められているように感じます。

○この聞き方がおすすめ!
「どんなことが原因になっているのかな?」
「どうしたらできるようになるかな?」
原因になっていることや解決策を考えられるように質問するのがコツです。

2. 否定しない

×この聞き方はNG!
子どもの答えに対して明らかに「違うな」と感じても、
「違うでしょ!」
と否定しないでください。子どもは自分の気持ちをわかってもらえないと思い、会話を続けたくなくなってしまいます。

○この聞き方がおすすめ!
「なるほど、あなたはそう思ったのね」
と、子どもの言葉をいったん受け取りましょう。そのうえで「お母さんは○○だと思うな」と伝えれば、会話のキャッチボールが続きます。

3. YES・NOの2択で聞かない

×この聞き方はNG!
「やるの? やらないの?」
「いるの? いらないの?」
この質問の仕方は、言い方によっては脅迫されているように感じることも。

YESかNOかの2択の質問はクローズドエンド・クエスチョンといい、答えがひとつしかないものを意味します。たとえば「いま雨が降っていますか?」など、すでに答えが決まっていてそれ以外の回答がないため、会話が広がることがありません。

○この聞き方がおすすめ!
「どうすればいいと思う?」
と、子どもが自分で答えを出せるように導いてあげましょう。たくさんの答えが存在する質問オープンエンド・クエスチョンで聞くのがコツです。意見を求めたり、深い説明を求めたりする質問の仕方が理想的です。

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一問一答は会話ではありません。親子の会話のキャッチボールを弾ませるためには、子どもの好奇心や表現力を引き出す『親の質問力』が重要です。お子さんの話に耳を傾け、たくさん質問してあげましょう!

(参考)
有元秀文(2018),『学力をグングン伸ばす 親の「質問力」』,扶桑社.
泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』,洋泉社.
洋泉社MOOK(2018),『これからの未来を生き抜く できる子の育て方』,洋泉社.
ベネッセ教育情報サイト|保護者の「質問力」を磨こう[学校では今]
ママノート|親の「質問力」で、子どもの考える力が伸びる!
ママノート|子どもへの「質問」3つのNGポイント