教育を考える/知育 2018.5.2

遊べば遊ぶほど能力が伸びてゆく。「知育玩具」が実現する “子どもたちの成長” とは?

中村桃子
遊べば遊ぶほど能力が伸びてゆく。「知育玩具」が実現する “子どもたちの成長” とは?

はじめまして。一般社団法人日本知育玩具協会認定講師中村桃子と申します。

私は「グッドトイ! グッドライフ! よいおもちゃの与え方のメソッドで日本中を幸せに」という協会理念のもと、子育て中の方や、保育・幼児教育に携わるお仕事をされている方を中心に、知育玩具の正しい選び方・与え方を広める「知育玩具インストラクター2級養成講座」を開催しています。

また、「積木講座」や「親子で始めるドイツゲーム講座」、さらには藤井聡太六段(*)が幼児期から遊び、その直観力を鍛えたことで広く知られるようになった、積木の溝や穴を組み合わせてビー玉が転がる道をつくる “キュボロ” の講座「初めてのキュボロ体験」など、親子で参加できる講座の開催にも力を注いでいます。

このたびの連載では、『知育玩具で育てる アタマとココロ』というタイトルのもと、
「なぜ、赤ちゃんの時期が過ぎても、デジタルではない知育玩具が必要なのか?」
「なぜ、知育玩具で遊べば遊ぶほど、子どもたちの能力はぐんぐん伸びていくのか?」
について、詳しくお伝えしていきますね。

知育玩具で育てるアタマとココロ第1回2

そもそも「知育玩具」とは?

皆さんは、「知育玩具」と聞いて、どのようなものを思い浮かべますか?

文字が書いてある積木?
足し算や引き算が早くできるようになるためのタブレットゲーム?
小学校受験や中学校受験をするための準備の教材?

いま日本では、「知育玩具」と名のつくものが、おもちゃ屋さんに限らず、じつにさまざまなところにあふれています。そして、そこから多くの親御さんが抱くのは、“知育玩具=子どもにお勉強を教えるためのもの” といったイメージなのではないでしょうか。

しかし同時に、
「実際のところ、どんなものを知育玩具と呼ぶのか、よくわからない……」
そんな声すら聞こえてきます。

そう、いつの間にか “まるで宙に浮いたかのような存在” になってしまっているのが知育玩具なのです。では、そもそも、知育玩具とはいったい何なのでしょうか?

知育玩具で育てるアタマとココロ第1回3

「木のおもちゃ」が知育におすすめな理由。五感を刺激し、集中力を育んでくれる!
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“おもちゃで子どもに何かを教えよう” ともくろんでいるものは、知育玩具ではない

私は、日本知育玩具協会®認定「知育玩具インストラクター養成講座」にて、藤田篤理事長のもと、発達心理学に基づいた知育玩具の選び方・与え方のメソッドを学びました。そして、学び得たことがこちらなのです。

「“おもちゃで子どもに何かを教えよう” ともくろんでいるものは、知育玩具ではない」

たとえば皆さんが、決められた数の積木をわたされたとします。そこで「はい、では今から5分間で、その積木を使って、お城と自動車を作ってください」と言われたら、どう思いますか……?

正直、苦痛で楽しくないですよね。そう、強制されている時点で、これは遊びではないのです。

では、子どもたちが豊かに遊ぶためにはどうしたらよいのでしょう。その答えは、「子どもたちにとって “遊びを自由に選ぶことができ、自分が遊びたいときに遊べる環境” を整えてあげる」ということに尽きます。

たとえ、自分の子どもがおもちゃで遊ばないときがあっても大丈夫。子どもは、自分から「やろう!」と思ったときにこそ、自分自身の能力をフルに発揮します

やりたくないことをやらせる。何かを身につけさせたいと “大人の都合で” 誘導する。残念ながら、もうこの時点で、そのモノはもはや知育玩具ではなくなってしまっているのです。では、どうしたらよいのでしょうか?

まずは、大人が “どんなおもちゃを選び与え” “どうやって遊ぶのか” を知っておく必要があります。そして、子どもが「自己選択」×「主体的に遊ぶ」の2つを実現できる環境をしっかりそろえてあげましょう。

安心できる環境で豊かに遊ぶ。これがすなわち「学ぶ」ということです。そうすれば、子どもの能力は、おのずとぐんぐん伸びていきますよ。

知育玩具で育てるアタマとココロ第1回4

幼児期から学童期にかけての子どもたちが身につけるべきこと

さて、幼児期から学童期にかけての子どもたちに、必ず身につけさせておきたいことがあります。それは「非認知能力」です。

「物事をやり抜く力」
「友だちと仲良くなる力=社会性」
「目標を達成するために粘り強く頑張る力」
そして、
「自分の感情をコントロールする力」

これらの「目に見えない力」こそが、まさにこの時期に育ててあげたい力なのです

先に「主体的に遊ぶこと」の大切さをお伝えしましたね。じつは、主体的に遊ぶためには、欠かすことのできない、社会性の育ちのステップがあります。

本来であれば2・3歳児期に育てておきたい「自分の感情をコントロールする力」がきちんと育っている。もっとさかのぼり、0・1歳児期に育てておきたい「自分を信じ、人を信じる力」がきちんと育っている。これらのステップなくしては、主体性は育っていかないのです。

それが5歳だろうと8歳だろうと、発達に飛び級はありません。この事実を大人が知っておくことは、必ずや、子どもたちに知育玩具を用いて創造力豊かに遊んでもらうことの一助となるでしょう。

知育玩具で育てるアタマとココロ第1回5

知育玩具とは「自分の心・体・頭を使って “幸せになる力” を育てるおもちゃ」である

子どもの力を引き出すのが知育玩具の役割。そして、子どもたちにとって、遊びとは学習そのものです。

ぜひ子どもたちには、“アナログの遊び” をたっぷり経験させてあげましょう。そして、顔と顔、あるいは目と目を向かい合わせて学んでいく経験を、しっかりさせてあげましょう。こういった経験を重ねることを、子どもたちは本能的に求めていますから。

また、「感性」は知性の土台です。すなわち、知識を受け止めるための器となります。知識はあとからいくらでも補えますが、そもそもこの器がなくては、いくら知識を詰め込んでも、それを上手に活かすことはできないでしょう。

本連載では、幼児期から学童期にかけての子どもを対象とした発達心理学・教育学に裏づけられた、「遊べば遊ぶほど子どもたちの能力が伸びていく知育玩具」について詳しくお話していきます。

遊びは、子どもたちの育ちに欠かせないもの。ぜひ幼少期からの遊びを一緒に花開かせていきましょう。

監修:(社)日本知育玩具協会

*……2018年4月現在