北尾まどか女流二段が代表を務める『ねこまど将棋教室』。こちらの「こども将棋教室」は、少人数制できめ細かい指導が評判です。対局へのアドバイスはもちろん、プリントによる練習問題なども取り入れながら、子どもたちの棋力アップをめざします。
生徒さんも先生もとにかく楽しそうで、「将棋が大好き!」という気持ち溢れるレッスンを取材してきました。
楽しいからどんどん将棋が好きになる!
9時のレッスン時間より10分早く教室にお邪魔すると、すでに生徒さんが全員そろっていました。この日一番早く来た子は、なんと20分前だそう! そしてなにやら机に向かって、問題を解いている様子。
詰将棋(※将棋のルールに基づいた問題)の練習問題を解いているのです。レッスン開始~20分程度、詰将棋のプリントをこなします。正解すると、先生が大きく赤丸を。生徒さんのレベルに合わせて、この詰将棋のプリントを宿題にすることもあるそうです。空欄には何が入るのでしょう? 5歳で「龍王」の「龍」の漢字が書ける子もいるのだとか、驚きですね。
今日の先生は、日本将棋連盟公認将棋指導員である砂村洋輔先生と、中国・上海出身の黄晟佳(こうせいか)先生。参加する生徒さんの年齢が低い場合は、駒の扱いや基本的なマナーを指導してくれるアシスタントの先生も入ります。
プリント問題を終えた生徒さんたちに、砂村先生が「それじゃあ……指す?」と聞くと、「指したい!!」と元気な声が返ってきました。4人の生徒さんの前に盤面が置かれ、それぞれが駒を準備します。
「駒落ち(こまおち)」と呼ばれるハンデ戦です。生徒さん20枚に対して、先生の駒を何枚か減らして対局します。レベルによって、先生の方が8枚少ない「8枚落ち」や、「角行」「飛車」「香車(2枚)」の強い駒を減らす「4枚落ち」がありますが、今回のレッスンは「6枚落ち」でした。
「こども将棋教室」では、詳細なカルテをもとに、15級(最初は初級)~1級までのレベル分けをしていて、そのレベルしたがって指導をしているとのこと。
将棋というと、じっくり考えて次の一手を……というイメージがあったのですが、先生と生徒さんの対局は思いのほかテンポよく進みます。そして圧倒されたのは、生徒さんたちの集中力! 「取材が入ることで、気が散ってしまうのでは?」と心配していたのですが、どの生徒さんも対局に意識が入り込んでいて、あちこち動き回る取材クルーに見向きもしません。
「将棋を指すことが楽しくて仕方がない!」という気持ちが溢れ出ている生徒さんたちの表情はキラキラ。「次の一手はどうしよう?」とわくわくしている様子も伝わってきます。そして先生方はというと……、砂村先生も黄先生もなんだかとっても楽しそうでした。先生方が楽しんでいるからこそ、生徒さんたちもどんどん将棋が好きになってしまうのかもしれませんね。
もちろん指導は的確です。しかしこの教え方にもポイントがあるのだと、代表の北尾先生は教えてくれました。
「成功体験が大切だと考えているので、基本的には子どもたちに勝たせる方針で指導しています。といっても、簡単に勝たせるのではなく、子どもたちが頑張れば勝てる、ギリギリのところで勝負をするのです」
同じく黄先生も「よい手が指せるように、その局面を作ってあげるようにしています」と話していましたね。また、レッスン中は「それもよい手だね」「今のはよい手ですね~」と、要所要所で先生が褒める場面が多かったです。もちろん、「その飛車はどこに行こうとしているの?」「たとえば、こうするのはどう?」など、次につながるアドバイスもたくさんありました。
ある生徒さんとの対局では、砂村先生が「指す手がないね~」と困った様子。そして「負けました。ありがとうございました」と先生が言うと、生徒さんはなんとも嬉しそうなはにかんだ笑顔に。この「成功体験」が自信になっていくのでしょうね。
あっという間にレッスン終了10分前に。
「そろそろ終わりにしないと……」と砂村先生が言うと、4人の生徒さん全員から「えーーーーーーーー!」という声が。まだまだ指していたいという気持ちが大きな声になって出てしまいます。
しかし、永遠に指し続けるわけにはいきませんので、先生はそれぞれの局面を確認しながら、「終わらないから引き分けですね」と対局を終わらせたり、「これは終わりそうですね」(何手かで生徒さんが勝っていました)と判断します。そして終わった生徒さんから、駒の片付けをします。このとき、全部の駒の数をきちんと数えているのが印象的でした。最後は出席カードに「今日習ったこと」を自分で書き込み、挨拶をして終了となります。
レッスン終了後、「将棋が大好き!」な生徒さんたちに「将棋のどんなところが好きか」を聞いてみました。
- 7歳(小1)・将棋歴9ヶ月「本将棋で対戦することが楽しい。勝ち負けが楽しいです。家ではAIと対戦しています」
- 9歳(小3)・将棋歴6ヶ月「対局が楽しいです。勝つところが好き。学童で将棋を始めて、楽しかったから続けています」
- 7歳(小1)・将棋歴6ヶ月「対局で勝ったときが楽しいです」
- 6歳(年長)・将棋歴7ヶ月「勝つことが楽しい。家ではお父さんと対局したり、テレビの将棋番組を見ながら詰将棋をします」
【黄先生からのメッセージ】
「将棋は難しいけれど、指せば指すほど、深く、面白い。興味があればぜひ挑戦してほしいです。人生にも役に立ちますよ」
『ねこまどこども将棋教室』ホームページはこちら
『株式会社ねこまど』ホームページはこちら
***
想像していた将棋教室とまったく違う、丁寧で優しく、とにかく楽しそうなレッスンでした。代表の北尾先生も「まずは楽しむことが大事ですよ」と話していました。楽しいからどんどん覚えてしまうのでしょうね。
■子どもが夢中になる「どうぶつしょうぎ」は将棋の入り口として最適です!
『幼稚園児から楽しく遊べる“3×4マス”の「どうぶつしょうぎ」を考案。女流棋士・北尾まどか先生インタビュー【前編】』
■子どもが夢中になる「どうぶつしょうぎ」は将棋の入り口として最適です!
『幼稚園児から楽しく遊べる“3×4マス”の「どうぶつしょうぎ」を考案。女流棋士・北尾まどか先生インタビュー【後編】』