教育を考える/食育 2020.2.1

子供の食器に適しているのは、プラスチック? 陶器? 教育効果が高いのは○○だった

編集部
子供の食器に適しているのは、プラスチック? 陶器? 教育効果が高いのは○○だった

子供にどのような食器を使わせようか迷っている方は、多いのではないでしょうか。じつは、「子供の頃にどのような食器を使うか」は意外に重要です。

プラスチックやメラミン、木製の割れない食器? もしくは、あえての陶器? 正解がわからずに悩んでいる方に向けて、おすすめの食器や食器セットをご紹介しましょう。

子供の食器にこだわろう

お子さんが離乳食を終えて、幼児食を食べ始めた頃から、子供用の食器を買い与えたいと考えている保護者の方は多いのではないでしょうか。

個人差はありますが、一般的に、1歳半頃から形のあるものを噛めるようになり、離乳食を終え、幼児食に移行します。その頃から、大人用の食材を薄味にしたり、柔らかくしたり、小さくしたりして、家族と似た物を食べさせるようになっていきますよね。せっかく家族で一緒に食事をできるとなると、子供にかわいい食器を与えてあげたくなるもの。セットで購入して、親族や友人のお子さまにプレゼントしたいと考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、子供用の食器は、シンプルなデザインから、キャラクターもの、大人も気分が上がるようなおしゃれかわいい食器、高い食器から安い食器まで、バリエーションが豊富すぎて悩んでしまうのも事実です。では、子供の食器はどのように選べばよいのでしょうか。

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食に興味のない子供が増えている?

おすすめの子供の食器をご紹介する前に、まずは食器の重要性についてご説明しましょう。

昨今、「食べること」に興味のない子供が増えていることをご存じでしょうか。食べ物があふれ、好きなものを好きなときに食べられる、いわゆる飽食の現代。大人でも、食事は安価なファストフードなどを摂って適当に腹を満たし、もっとほかのことにお金をかけたいと考えている人は多いはず。管理栄養士・医学博士の本多京子氏は、このようにコンビニやファストフード店などでいつでも好きなものを食べられる生活を送っている子供たちは、食への渇望感が減退していると言います。また、コンピューターゲームの普及や塾通いなどで体を動かす頻度が減ったことから、そもそもお腹が空きにくくなってしまっているのだとか。

内閣府大臣官房政府広報室が運営する「政府広報オンライン」では、子供が食に関心を持たないまま成長すると、栄養の偏りや不規則な生活などによる肥満生活習慣病過度なダイエットなど、健康面で影響が出てくると述べられています。子供の頃にどのような食事をとっていたかが、子供の将来にも影響を与えてしまうのです。

また、幼少期の食の記憶は、成長後の食習慣にも影響を与えます。管理栄養士の新生暁子氏は、幼少期の「舌の記憶」はその人の「一生の味覚」につながると言います。皆さんも、「自分の出身地特有の味つけでないと受け入れられない」など、幼い頃にお父さん・お母さんが作ってくれたご飯の味で自分の味覚が定まっているという方は多いのではないでしょうか。子供にとって、食事が非常に重要であることがおわかりいただけたかと思います。

加えて、「食器によって味が変わる」という説をご存じでしょうか。「気のせい」「考えすぎ」などではなく、れっきとした研究結果が出ているのです。バレンシア工科大学とオックスフォード大学が行なった研究によると、被験者に同じココアを違う色のカップで飲ませたところ、「クリーム色とオレンジ色のカップで飲むほうがおいしい」と感じた被験者が多かったのだそう。

子供の将来の健康面や食生活のためには、小さい頃からきちんとしたおいしい食事を楽しむ必要があるということ。そして、おいしい食事のためには食器にも気を配る必要があるということです。子供の食器は、よく吟味して購入したほうがよさそうですね。

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子供用の食器セットには「割れる食器」がおすすめ

子供用の食器セットを購入する際、「割れない食器」を探す方は多いのではないでしょうか。子供は、不注意で食器を割ってしまうことも多いものですよね。

NHK Eテレの育児情報番組「すくすく子育て」が全国の保護者848人に「子育ての悩み」について聞き込み調査を行なったところ、最も多かった悩みは「子どもの食事」について。偏食や離乳食に関する悩みのほか挙げられたのが、「食事のマナー」、いわゆる「遊び食べ」でした。「遊び食べ」に明確な定義はありませんが、食べ物をぐちゃぐちゃとかき回したり、お皿やコップを投げたり、カトラリーで食器を叩いたり……といった行為が挙げられますね。

一般的に、遊び食べが激しくなってくると言われるのは9〜10ヶ月頃から。明海大学歯学部教授の大岡貴史氏らが、保育園児およびその保護者1,271組を対象に実施した調査によると、子供の食事について気になる点として「遊び食べ」と回答したのは、1〜3歳の保護者が多かったそうです。

では、なぜその年代の子供たちは、「遊び食べ」をしてしまうのでしょうか。原因は、心理学者であるジャン・ピアジェの提唱している4つの発達段階で説明できます。20世紀に活躍した心理学者ピアジェは、子供は「感覚運動期」「前操作期」「具体的操作期」「形式的操作期」の4つの段階を経ると提唱しました。この4つの段階において、0〜2歳の子供は「感覚運動期」にあたります。「遊び食べ」が多いのも、まさしく「感覚運動期」の年代の子供たち。「感覚運動期」の子供は、「何かを触ってみたら感触がおもしろかったので、何度も触る」といった「循環反応」が見られるのが特徴です。つまり子供は、好奇心を持ってあらゆることを試し、五感をフルに使って楽しんでいるだけ。「遊び食べ」が発生してしまうのは、子供の成長において自然なことなのです。

フリーランスの管理栄養士として食育講座などを行なっている隅弘子氏も、「遊び食べ」は、子供たちにとって重要なステップだと言います。同氏いわく、「遊び食べ」の原因には、好奇心のほかにも「試し行動」が挙げられるのだそう。親や保育園の先生など、周囲の大人の気を引くためにわざと困らせるようなことをしたり、悪い行動をしても自分のことを受け入れてくれるのか試したりしている可能性があるのだとか。

このように、子供は遊び食べをしたり、うっかり落としてしまったりして、食器を割ってしまうことが多いもの。おそらく多くの保護者にとって、「なるべく割れない食器を」「壊れてもいいような安い食器を」と、プラスチックやメラニン樹脂、木製や竹製などの壊れにくい食器を買おうとするのが自然ではないでしょうか。

しかし、今回オススメしたいのは、あえて子どもに陶器やガラスなどの「割れる食器」を使わせること。子供にあえて割れる食器を使わせることには、次のようなメリットがあります。

「なぜダメなのか」が理解できる

前出の隅氏は、子供が遊び食べをした際には、ただ「ダメ」と叱るのではなく、「なぜダメなのか」を伝える必要があると言います。たとえば、子供が食器をわざと叩いたり、落としたりしたとしましょう。その際、プラスチックなどの割れない食器であれば、「なぜダメなのか」子供に伝わりにくいもの。「落としたって壊れないし、音が鳴っておもしろいからいいじゃないか」と感じてしまう子供が多いのです。

しかし、陶器などの割れる食器であれば、乱暴に扱うと、プラスチックを落としたときとは違う大きな音とともに壊れて使えなくなってしまうので、子供ながらにショックですし、悲しい気持ちになります。その際に「割れちゃったからもう使えなくなってしまったよ」など、「なぜいけないのか」を伝えることで、徐々に子供も「なぜ食器を乱暴に扱ってはいけないのか」理解できるようになっていくのです。

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食事に集中するようになる

子供の食器に陶器がオススメである理由のふたつめが、子供が食事に集中するようになる点です。

「モンテッソーリ教育」という教育法をご存知でしょうか。モンテッソーリ教育は、イタリア出身の医師であり教育家のマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法。子供に自己教育力(自分を育てる力)が備わっていることを前提とし、子供の自主性を重視した教育法です。モンテッソーリ教育において重要なのは、大人が子供のために環境を整備してあげること。

「モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所」の田中昌子氏は、モンテッソーリ教育の考え方では、子供にも「本物」を使わせることが大切だと言います。同氏いわく、軽いプラスチック製や、メラミン素材でキャラクターのついているような食器は、集中力が途切れる原因になる可能性があるのだとか。割れない食器は、落としたり叩いたりしても壊れにくいため、乱暴に扱ってしまいますし、おままごと道具と変わらないような食器だと、子供も食事をやめて遊びたくなってしまいます。

しかし、ガラスや陶器などの、田中氏の言う「本物」の重みのある食器であれば、丁寧に扱わなければ壊れて悲しい思いをすることになるため、子供たちも真剣に扱うようになるのです。自然と物を大切にする習慣も身につきますね。そのため、子供には、陶器などの大人と同じ素材の食器を使わせるのがおすすめなのです。

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非認知能力が育つ

遊び食べの時期を経て、きちんと食事をとれるようになった子供にも、壊れものの食器を使わせるのがおすすめです。子供の食器に陶器やガラスがオススメな理由のひとつが、「失敗してもいい」ことを伝える機会になる点。「子供が食器を割ったら面倒だから」と、プラスチックなどの割れない食器を使わせている方は多いかもしれませんが、このように、親が先回りして子供の失敗を防いでいては、子供は立ち直る力を身につける機会も失ってしまいます。

発達臨床心理学、保育学、児童学を専門とする東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり氏は、子供がお皿を割るなどの失敗をしたときは「チャンス」だと述べています。同氏いわく、子供がうっかりお皿を割ってしまったときには、「ケガしなかった?」と子供を心配してから「ママも小さい頃、お皿を割っちゃったの」と親の失敗談を話すのがよいのだそう。パリンという音とともに、愛用していた食器が割れてしまう……という子供ながらにショッキングな失敗経験のあとに「親も失敗したことがある」と知ることで、失敗しても立ち直ることのできる子供に育っていくと言います。

また、ライフコーチとして日米で講演会やワークショップを展開するボーク重子氏は、失敗経験について、非認知能力を育てるために重要なものだと述べています。非認知能力とは、偏差値などの数字で測れる能力とは対照的に、やり抜く力自己肯定感主体性などの、数字で測ることのできない能力のこと。シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授が行なった「ペリー就学前プロジェクト」という研究で、幼少期に身につけた非認知能力が、その後の学歴や収入などの高さに関わっていることが判明しているほど、非常に重要なスキルです。ボーク氏は、子供に親の失敗経験をシェアすることで、回復力やり抜く力といった非認知能力が育つと述べています。

親としては、「割れたら片付けが面倒」と割れない食器を使いたくなってしまいますが、「食器を割ってしまった」といった些細な失敗経験も、子供にとっては成長の糧となるのです。

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子供におすすめの食器

では、子供には、具体的にどのような食器を使わせるのがよいのでしょうか。オススメの食器や、食器セットをご紹介します。

子供におすすめの食器:1 おしゃれなル・クルーゼ

子供の食器としてまずおすすめしたいのは、「ル・クルーゼの食器セット」です。ご覧いただければわかるように、大人も気分の上がるかわいいデザインが魅力。大人の食器と一緒に食卓に並べてもおしゃれですね。かわいい「プレート」や「ボウル」などもおすすめです。

ル・クルーゼと聞くと、重いホーロー鍋のイメージが強い方も多いかもしれませんが、こちらの子供向け食器は、一番大きなプレートでも600gで、お子さんがお食事の際に手に持って使うマグカップやお皿は200〜300g程度。プラスチックなどの軽い食器よりも安定感があって倒れにくく、安心できる程度の重さではないでしょうか。子供にかわいい食器を使わせたい場合や、友人の子供へのプレゼントを探しているときにオススメですよ。

子供におすすめの食器:2 北欧の人気ブランド iittala

子供にシンプルな食器を使わせたい方にオススメなのが、北欧の人気ブランド、iittala(イッタラ)。特に「Teema」(ティーマ)の15cmボウルは、子供でも使いやすい作り。深さがあり、すくいやすい角度で作られており、厚みがあって安定感もあるので、子供にぴったりです。食洗機で洗えるのも嬉しいところですね。

シンプルなデザインなので、料理を選びませんし、家族みんなで同じ食器を使えますね。前述したように、大人と同じ本物の食器を使うことで、子供もおままごと気分になることなく、食事に集中しやすくなりますよ。

子供におすすめの食器:3 白山陶器の5点セット

子供には、やっぱり和食器を使わせたい……。という方にオススメなのが、白山陶器の5点セット「PiPi~ピピ~」。

  • 鳥の形の仕切りのついたランチプレート
  • 取り皿としても使える鳥型のフリープレート
  • デザートボウル
  • 底が鳥の形になっているお茶碗
  • 子供にとってつかみやすい卵型の取っ手のマグカップ

上記5点のセットです。1セット用意しておけば、どんな食事にも対応できそうですね。単品販売もされているので、壊れてしまったときにも安心です。

また、白山陶器のチャイルドシリーズ「森の詩」も人気商品。子供向けに、倒れにくいよう安定感のある設計で作られています。ほどよい重量感のある食器なので、子供も食事に集中できますよ。

子供におすすめの食器:4 有田焼の名前入り食器

お祝いやギフトにぴったりなのが、子供の名前入りの食器です。「有田焼やきもの市場」では、うさぎや犬などのかわいいデザインの食器に名入れが可能。

自分の名前が入っていると、子供も気をつけて使うようになるものです。また、白百合女子大学人間総合学部の秦野悦子氏いわく、自分の持ち物にひらがなで名前が書いてあると、まだ字が読めなくても、そのうちに「これは自分の名前だ」と覚えるようになるそう。早いうちから無理に字を勉強する必要はありませんが、毎日目にする食器に名前が書いてあると、自分の名前が読めるきっかけにもなるのではないでしょうか。

子供におすすめの食器:5 無印良品の「こども食器」

無印良品の「こども食器」も、子供にオススメです。子供が持ちやすく、すくいやすい形に作られています。蕎麦猪口(そばちょこ)などの長く使われてきた器の普遍的な形を元に考案されたシンプルなデザインなので、家族全員で同じ食器を長く使えるのが魅力。

仕切りがついているので、ワンプレートにいろいろなおかずを盛ることができ、洗い物を減らせるのも嬉しいところです。また、重ねて収納できるため、場所もとりません。

子供におすすめの食器:6 ノリタケの子供食器

ノリタケの子供食器「ライトステップ」は、1974年の発売から現在に至るまで人気を博しているロングセラー商品です。強化磁器で、電子レンジや食洗機にも対応している、本格的な磁器でありながら機能的な商品です。

子供の小さな手でも握りやすいように大きな取っ手と安定感のあるフォルムで設計されたカップ、すくいやすい角度で作られたお皿と、子供が毎日使いながら自然と持ち方・食べ方の練習につながるように配慮されている点が魅力。自分でご飯を食べられるようになった子供が初めて使う食器にぴったりです。

子供におすすめの食器:7 滑り止めのついた「ユニバーサル・プレート」

滑り止めのついた子供用食器をお探しの方には、デザインモリコネクションの「ユニバーサル・プレート」はいかがでしょうか。シンプルなデザインなので、子供が大きくなってからも小皿として使えます。家族みんなのぶんをサイズ違いで購入してもよいですね。

底面に滑り止めとしてシリコンが塗られているため、スプーンですくう際などにもすべらない、安心の設計です。また、内側の返しが、スプーンですくいやすい角度で作られているため、汁気のある料理も最後までスムーズに食べられます。ほかにも、張り出して作られたフチが、食べ物が落ちるのを防いでくれるなど、機能性に特化したデザインが魅力。

まだ手先が器用でない子供は、扱いづらい食器だと集中力が途切れてしまったり、自分で食べるのが嫌になってしまったりしてしまいがち。使いやすいように工夫された食器であれば、子供も楽しんで食事をとることができますね。

子供におすすめの食器:8 aeruのこぼしにくい器

aeruの「こぼしにくい器」は、食器の内側に返しが作られているため、ご飯を上手にすくえない子供でもスプーンで上手にすくって食べることができます。ろくろを使ってひとつずつ丁寧に作られた陶磁器の質感は、子供の五感を刺激する、大人用の食器と同じ品質です。

シンプルなデザインなので、家族みんなで同じデザインの食器を使えるのが嬉しいところ。子供が成長してからも長く使えますね。11cmのボウル、13cmの深皿、15cmの平皿と3種類のサイズがあるので、用途や子供の年齢に応じて食器を使い分けてはいかがでしょうか。

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子供の食器は、ついプラスチックなどの「割れない食器」を求めてしまいがちですが、陶器などの大人と同じ食器を使わせることにはメリットがたくさんあります。ぜひよく吟味して、子供にぴったりの食器を選んであげてくださいね。

(参考)
ベビータウン|離乳食卒業後の「幼児食」の悩み
StudyHacker こどもまなび☆ラボ|「失敗を恐れない力」の育て方。子どもに「挑戦したい!」と思わせる、効果抜群な言葉かけ
講談社絵本通信|第5回 集中力を付けさせる方法はありますか?
講談社絵本通信|第11回 食事に集中しない子どもにどう対応したらいいですか?
日本モンテッソーリ教育総合研究所|モンテッソーリ教育について
NHK Eテレ すくすく子育て|全国のパパママに聞きました! 子育ての悩みは何ですか?
たまひよ|育児用語辞典
保育のお仕事レポート|【食育専門家が教える】子どもの「遊び食べ」は立派な探索活動!上手な向き合い方とは?
大岡貴史, 内海明美, 向井美恵 (2013), “乳幼児の保護者が感じる食行動の問題点と食事の楽しさとの関連,” 小児保健研究, Vol. 72, No. 4, pp. 485-492.
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