2019.12.7

ある日突然 “爆発” する!? 子どもに口出ししすぎてはいけないワケ

ある日突然 “爆発” する!? 子どもに口出ししすぎてはいけないワケ

日々の忙しさから、つい子どもの行動を「早くして!」と急かしたり、最後まで話を聞かないうちに「それってこういうことでしょ?」と大人の目線でまとめたりしていませんか?

じつは、親が話をしっかり聞いてくれなかったり、口出しが多かったりすると、子どもの将来に悪影響を及ぼすことがあると言われています。

今回は、子どもへ口出ししすぎることの問題点について考えていきましょう。

子どもの話を聞けない親が増えている!?

昨今、「子どもが心配だから」「やってあげないとできないから」「時間がないから」などの理由で、子どもの話や行動に手出し・口出しする親が増えているといわれています。

こうした現状は、白梅学園大学学長の汐見稔幸氏いわく「昔と違い今の世の中は、子どもに『外で遊んでおいで』と自由に遊ばせることができない」ことが原因だそう。

子どもが外で自由に遊べない場合、親は自宅でひたすら子どもを見ていなくてはなりません。汐見氏いわく、これは結果的に「子どもがちゃんと育つかどうかは、親の姿勢次第」と言われているようなものだそう。

ゆえに親は、子どもに「こうしなさい」「それはダメ」などと言いたくなってしまいますが、そうすると今度は第三者に「過干渉だ」と指摘されるケースも。放任主義もダメ、口出ししすぎるのもダメ……となると、「いったいどうすればいいの?」と不安になってしまうかもしれませんが、汐見氏は「こういう時代にラクで楽しく子育てできる方法は何か考えていくことが大切」と述べています。

子どもに口出ししすぎてはいけないワケ2

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
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こんな口出しはNG!

子どもに対して、こんな口出しをしていませんか? 普段の言動を振り返ってみましょう。

子どもへのNGな口出し3パターン
  • 「早くして!」
  • 「それはダメ!」
  • 「こうしなさいって言ったでしょう!」

 
前出の汐見氏いわく、上記のような「指示」「命令」「禁止」の口出しが多いと、子どもが自分自身で「どっちがいいのだろう? どうすればいいのだろう?」と考えられなくなってしまうそうです。その結果、親に反発するようになったり、必要以上に我慢してストレスを溜め込んだりしてしまうこともあるとか。

「指示」「命令」「禁止」の口出しをしてしまいそうなときは、「あと10分でできる?」「○○じゃなくて、××にしたら?」といった「提案」「依頼」に言い方を変えて子どもに委ねると、やがて親の言うことを聞いてくれるようになるといいます。

子どもに口出ししすぎてはいけないワケ3

口出しが多い親に育てられた子どもの特徴

親の口出しが多いと、子どもは以下のように育ってしまう可能性があります。

自分で考えることを放棄しがちになる

日本メンタルアップ支援機構・代表理事の大野萌子氏によると「親の言うことを聞いていればよい」と支配的な育てられ方をしてきた子どもは、自分で考えることを放棄しがちになるそうです。支配的な親に育てられた子どもは、親の意見に反対したり、親の考えよりも自分の考えを優先したりすることにエネルギーを費やすよりも、親の意見や考えを迎合することで家庭内を丸く収めることができる生きやすくなるという考え方になってしまうそう。その結果、自分で考える力が弱くなってしまうのです。

自分の気持ちを溜め込み、突然爆発する

YSこころのクリニック・院長の宮島健也氏によると、親が先回りしてなんでもやってあげたり、たびたび口出しされたりしてきた子どもは、やがて「親の言うことを聞いてよかった」と感じることもあるものの、自分の気持ちを押し殺して溜め込んでしまう場合もあるそうです。こうして溜まった気持ちはいつか爆発することが多く、成長過程で精神的に追い詰められてしまったり、子ども自身が大人になり親として子育てをしている際に大きなトラブルを引き起こしたりする可能性もあるとのこと。

子どもに口出ししすぎてはいけないワケ4

子どもに口出ししないことのメリット

『子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気』(幻冬舎)などの著者である岸見一郎氏によると、親は口出しをするのではなく、見守ることに徹して「子ども自身が『これをやろう』と決意し、自ら動き出すのを待つ。そして親は子どもに指示してやらせるのではなく、子どもがやろうとしていることを援助する」ことが大切なのだそう。そうすることによって、子どもの自立心自分で生きていく力が育まれるといいます。

また、岸見氏いわく「“見守る” とは、裏を返せば “いつでも出ていけるように用意しておく” こと」。子どもを放置するのではなく、ケガをしそうになったり、誰かを傷つけそうになったりした際には、すぐ駆けつけられるようにすることが重要です。

十文字学園女子大学・特任教授の内田伸子氏が3歳から5歳までの子ども3,000名を対象に行なった調査によると、「強制型しつけをする親子」よりも「共有型しつけをする親子」の子どものほうが、語彙力が高い傾向にあることがわかったそう。

共有型しつけとは、子どもと楽しい時間を過ごしながら一緒に学んでいくしつけのこと。一方、強制型しつけとは、ルールや指示が多かったり、何度もうるさく言い聞かせたりするなど、子どもの気持ちに寄り添わず大人の意見を重視する、いわゆる手出しや口出しが多いしつけです。できる限り口出しをせずに子どもを見守り、自立心に加えて語彙力も育てていきましょう。

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口出しをせず見守ることは、子どもの成長に良い影響をもたらします。親としての言動を振り返り、たまには「口出しをしない日」を作ってみてもいいかもしれません。

文/田口 るい

(参考)
東洋経済オンライン|「子どもを潰してしまう親」には共通点がある
東洋経済オンライン|「普通の家庭の子」の精神が追い詰められるワケ
日経DUAL|子どもより先回りして口出ししてしまう癖を直したい
日経DUAL|「過干渉育児」の恐ろしい弊害 子育ては根気が一番
NHK Eテレ すくすく子育て|私、口出ししすぎ?