世の中には、実にさまざまな種類の子ども向け玩具があります。車や鉄道に関連するもの、テレビのキャラクターがついているもの、外で遊ぶためのもの……。そして忘れてはいけないのが「知育玩具」です。子どもが持つ可能性の発見や成長のために、知育玩具を活用してみるのはいかがですか?
知育玩具がもたらす効果とは?
どうやって選べばいいの?
知育玩具の定額制キュレーションレンタルサービス『トイサブ!』を提供している株式会社トラーナの代表 志田典道(しだ・のりみつ)さんに、詳しくお話をうかがいました。
知育玩具は、子どもの可能性を “広げる” もの
——志田さんが考える “知育玩具の役割” とは何でしょうか?
志田さん:
子どもが持ついろいろな可能性を “広げられる” ことだと思います。“高める” というよりは “広げる” ですね。
知育玩具でできることって、じつは意外と限られているんです。たとえば、ある年齢で図形の識別ができるようになったとしても、知育玩具ができることにはどうしても限界が来てしまう。その力をそこからさらに高めていくためには、知育玩具ではない別のツールが必要になってくるのです。だから私としては、“可能性を広げる” という部分にフォーカスして使ってほしいなと思いますね。
知育玩具を通して「自分の子どもはこういうことが好きなのかもしれない」「もしかしたらこういうことに強いのかもしれない」といった発見ができる、その一助になるのかなと思っています。
——知育玩具を選ぶときって、何に気をつければいいのでしょうか?
志田さん:
先取りしてしまう親御さまが非常に多いなと感じています。年齢や月齢に合っていない、レベルの高いものを与えてしまって、結局思った通りに使ってくれない、といったような。「これ、かわいい!」「これ、良さそう!」など、見た目や感覚で決めてしまいがちですが、年齢・月齢に合っていないものは、子どもには刺さらない。
これは幼児児童臨床心理でわかっていることなのですが、子どもが「何歳何か月で何ができるか」というのは、おおよそ決まっているんです。それ以上のレベルのことはできないし、理解もしてもらえません。年齢・月齢に適したものを与えるというのが大切です。
——パッケージに書いてある「何歳何か月向け」というのを必ず見なければいけないということですね。ちなみに、その知育玩具に子どもが興味を示さなかったら、親はどうすればいいのでしょう?
志田さん:
無理やり与えようとせず、親御さんご自身が何回か遊んでみましょう。親が興味のないものは、子どもも興味を持ってくれませんから。「こういうふうに遊ぶんだよ」とか「これっておもしろいね」とかやってあげると、子どもも興味を持ちだしますよ。
「受験」と焦る必要はない。興味の引き出しを増やしてあげよう
——子どもが4歳ぐらいになったとき、どんな教育の仕方がいいとお考えですか?
志田さん:
それぐらいの年齢になってくると、小学校受験を意識し始める親御さまも多いと思います。小学校受験では図形や立体に対する理解を求められることが多いため、そういうのをやらせなければ、とつい焦ってしまいがちですよね。
でも、4歳の段階では、それらを理解できるかどうかには相当の個人差が出てきます。だから私としては、まだ早いかなという気はしていて。それよりも、興味の引き出し、つまり “楽しいと思えること” をなるべくたくさん増やしてあげることのほうが大切だと思いますよ。いざ受験になったときにも、そういった興味の引き出しと受験勉強の内容とかうまくリンクすれば、勉強も楽しくなりますからね。
——興味の引き出しを増やすにはどうすればいいのでしょう? 知育玩具の上手な活用方法はありますか?
志田さん:
家の中、家の外にかかわらず、いろいろなものを体験させてあげることですね。勉強にまでは至らないのですが、たとえば光の動きがどうなるかとか、液体を混ぜてみてどうなるかとか、家でもできることってたくさんありますよね。それがひとつのやり方ではないかと思っています。
2018年にリリース予定の4歳~6歳向け新サービス『トイサブ!プラス』でも、世の中の「なんでこうなっているんだろう?」という好奇心につながるようなSTEM玩具(編集部注:STEMとは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)、Mathematics(数学)のこと)に完全フォーカスしています。
そして、もう少し年齢を重ねて、いざ小学校受験させるとなったら、やはり先ほど言ったように図形や立体が最初のハードルになってきますので、図形把握や立体把握に役立つような玩具を用意してあげると良いでしょう。受験させない場合は、興味の引き出しを増やすということを引き続きしてあげると良いのかなと考えています。
【プロフィール】
志田典道(しだ・のりみつ)
東京都出身、1983年生まれ。明治大学法学部卒。四児の父。大学在学中に友人とWeb及び紙媒体のディレクション・開発制作を行う株式会社デコラボを創業。その後事業を譲渡し、複数の外資系企業でエンジニア、プロダクトマネージャや日本支社の立ち上げ経験を経て株式会社トラーナを創業。
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玩具は必ず年齢・月齢に合ったものを。生後10ヶ月程度の甥っ子に、1歳6ヶ月向けの玩具を買い与えたことのあるライターは、たいへん耳が痛くなりました……。
とはいえ、子どものために玩具を選んであげるのは、とっても楽しい経験ですよね。子どもの好みや得意を知り、興味の引き出しを増やしてあげるためにも、知育玩具はもっともっと活用していくべきものなのかもしれません。「おもちゃを置いておくスペースが家にない」とお悩みの方には、知育玩具のレンタルサービスもおすすめです。
上手に知育玩具を取り入れて、お子さまの健やかな成長を手助けしてあげましょう。