教育を考える 2018.9.24

コミュニケーション能力を育てよう! 会話をグレードアップさせる3つのヒント。

編集部
コミュニケーション能力を育てよう! 会話をグレードアップさせる3つのヒント。

家族や友だちをはじめ、他者とうまくコミュニケーションを図る力がこれからますます求められる時代になりました。

その一方、少子化やワンオペ育児といった社会背景もあり、かつてに比べて子どもが多様なコミュニケーションを経験する場が少なくなっている現状は否めません。

コミュニケーション能力は高ければ高いほど、それぞれの自信や可能性につながります。しかし、上辺だけの言葉のやりとりでは、十分にコミュニケーションは図れません。

今回は、将来にも関わる子どもたちのコミュニケーション能力をいかに高めていくか、その方法について考えてみます。

コミュニケーション能力が我が子の進路を決める時代

コミュニケーション能力によって子どもたちの進路や就職が大きく左右される時代がやってきた、と新聞やテレビなどのニュースで実感している人も多いことでしょう。教育現場においては、新しくなった幼稚園教育要領および小・中学校の学習指導要領のもと、「主体的・対話的で深い学び」、いわゆる「アクティブ・ラーニング」が推進されています。

大学入試も2020年度には現在の大学入試センター試験から大学入学共通テストへ変わり、マークシート方式のみだった試験は段階的に記述式問題が導入されます。また、英語は民間の資格・検定試験を活用しながら4技能(読む・聞く・話す・書く)を評価されるようになり、知識だけでなく実践的なコミュニケーションツールとしての能力を問われるように

そして教育現場で重視されるコミュニケーション能力は、当然ながら社会に出ても要求される欠かせないスキルになっています。

ここで、経団連が調査している「新卒採用に関するアンケート」を見てみましょう。

新卒採用「選考時に重視する要素」の上位5項目の推移

調査対象:経団連企業会員 1,339 社
実施時期:2017 年7月 28 日~8月 31 日
回答社数:553 社

(引用元:一般社団法人 日本経済団体連合会|2017 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果

ご覧のとおり、「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」「誠実性」など、いずれも社会に出たときに重視される要素ばかりですが、コミュニケーション能力だけが突出して重視されていることが分かります

今の子どもたちを取り巻く環境は、コミュニケーション能力を高めにくい

ここで改めて「コミュニケーション能力」とは何を指すのか、考えてみましょう。

一般財団法人日本コミュニケーション能力認定協会によれば、

職場、家庭や友人関係、恋愛においても、
どのような人間関係を作るか、そしてその関係の良し悪しは、
すべてコミュニケーションによって成り立っています。

つまり「コミュニケーション能力」とは、
人との信頼関係を築き、人生全般を豊かにするためには欠かせない大切な力です。

(引用元:一般財団法人日本コミュニケーション能力認定協会|コミュニケーション能力とは?

とあり、人同士の信頼関係を築き、また本人自身の人生を豊かにするため欠かせないスキルがコミュニケーション能力だとしています。

現代の子どもたちを取り巻く環境には、コミュニケーション能力を高めるうえでの課題も多いもの。年の差がある近所の友だちと集まって公園で遊ぶ機会も少なく、核家族化や近所づきあいのコミュニティ縮小化によって世代の違う人と話すことも少ない子どもたち。

年が近くて気の合う限られた小集団の中で、空気を読みながらあうんの呼吸でコミュニケーションすることは得意でも、異世代間や考え方の異なる人に対して、自分の考えや思いを整理し、伝え、理解させることは苦手になりつつあります

そのうえ、インターネットがもたらしたバーチャル世界に慣れている子どもたちは、かつての子どもたちが得ていたような、自然の中での体験や外遊びによる身体感覚を学ぶ機会が少なく、他者との関係をつくりにくいという点も指摘されています。

そこで、子どものコミュニケーション能力を向上させるべく、親が意識的にサポート(過干渉にならない範囲で)できることをご紹介します。

こうすれば、子どものコミュニケーション能力は向上する

ひと口にコミュニケーション能力といっても、よどみなくペラペラおしゃべりできることはコミュニケーションとは違うものです。また、引っ込み思案や恥ずかしがり、口下手な子どもはコミュニケーションが図れないというわけでもありません。以下の3つをバランスよく使いこなすことでコミュニケーション能力は向上するのです。

●人の話を聞く
●自分の考えや気持ちを伝える
●他人の気持ちを汲む

おしゃべりするのが得意な子は、自分の考えや気持ちを伝えることは得意なはず。より良くコミュニケーションを図るためには、人の話を聞いて気持ちを汲むトレーニングでサポートするといいでしょう。

また、引っ込み思案や口下手な子は、人の話を聞けて気持ちを汲みとることができている、良い耳と心をもっていることも少なくありません。自分の考えや気持ちを伝えるトレーニングでコミュニケーションに必要な要素をバランスよく高めてあげることができるでしょう。

実際、家庭でどのようなサポートが考えられるか、普段の生活シーンの中からいくつか例を挙げてみます。

【1】 食事の時間を活用する
食材の調達、調理、「いただきます」から「ごちそうさま」までの食事のマナーと団らん、片付けの段取りに至るまで、食事の時間はコミュニケーション能力を高めるための最大の教材です。

「何を作る?」「きゅうりの切り方はどうしようか」「調味料を混ぜてくれるかな」など、調理中は子どもとの会話が増えます。また、できあがった料理に対する感想を家族にヒアリングすることで、聞く力をトレーニングできるでしょう。

次は何を作ろうか、家族で意見を出し合ってもいいですね。自分の意見を押し通すのか、それとも誰かの意見に共感するのか、子どもの普段のコミュニケーションの傾向がわかるかもしれません。

「おいしかった!」で終わらせず、どんなところがおいしかったのかまで掘り下げてみると、考えをアウトプットするトレーニングにもなりますよ

【2】 読み聞かせを活用する
人の話を聞く、他人の気持ちを汲むトレーニングには、読み聞かせが大きな成果を発揮します。例えば、「こわいっ」という一言を子どもが発したら、「何が」「どうして」怖いと思ったのか問いかけをして、考えや気持ちを長い言葉でまとめて伝えられるようにサポートします。

また、登場人物の気持ちを考えさせるために、「この男の子はどうして悲しい気持ちになってしまったのかな?」など、たくさん質問をすることもおすすめです。そうすることで、自分以外の人の気持ちを汲む練習になります。

そして読み聞かせの途中で、子どもが話しかけてくるようなことがあれば、しっかりと対応してあげたいものです。親子でたくさん話すことで、子どものコミュニケーション能力は育つのですから。

【3】 親が身近な見本となる
やはり大人の背中をみて子どもは成長します。近所の人に会ったときの挨拶、買い物をするときの店員さんとのやりとり、来客の対応などコミュニケーションのお手本となるテーマは日常生活にあふれるほど存在しています。子どもに「こうあってほしい」と願う姿を、まずは大人が実践するのが最大のサポートになります。

まずは親が元気に挨拶をすることが大切ですが、恥ずかしがり屋の子どもの場合はなかなか同じように挨拶できない場合もあります。そんなときは叱らずに、「よし、一緒に挨拶してみようか!」と促してみましょう。また子どもが挨拶をするまで待ってあげることも大切です。そして、もし小さな声でも挨拶ができたなら、「ありがとうって言えたから、お友だちが増えたね」など褒めてあげてください

聞いていないようで実はしっかり聞いているのが子どもです。乱暴な言葉づかいや、人をランク付けするような発言などは避け、親がきれいな言葉を話すようにしましょう。そして決まった仲間だけで集まるのではなく、地域活動や初めての場所などに積極的に参加して、年代も性別も国籍もさまざまな人と触れ合える場所を作ってあげてください

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今後ますますITが発展してAIも身近になれば、コンピュータやロボティクスが得意とするような “正解がひとつだけしかない” 課題解決が得意な人材はそれほど重用されなくなる社会が到来します。

正解がいくつも存在する課題に対し、多種多様な価値観をもった人たちと意見交換をしながら最良の解決法を導くためのコミュニケーション能力は、子どもたちにとって最大のアドバンテージになるでしょう。

(参考)
文部科学省|新しい学習指導要領の考え方
河合塾 Kei-Net|こう変わる!大学入試 「大学入学共通テスト」とは?
一般社団法人 日本経済団体連合会|2017 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果
一般財団法人日本コミュニケーション能力認定協会|コミュニケーション能力とは?
公益社団法人日本芸能実演家団体協議会[芸団協]|子どもたちのコミュニケーション能力を育むために(コミュニケーション教育推進会議 審議経過報告)
学びの場(内田洋行教育総合研究所)|子どものコミュニケーション力は落ちているのか
学びの場(内田洋行教育総合研究所)|アグネスの教育アドバイス 子どものコミュニケーション能力を家庭で鍛えるには?
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