あたまを使う/教育を考える/国語/本・絵本 2019.10.21

子どもを本嫌いにする【親のNGワード&行動】と【子どもが本好きになる方法】

子どもを本嫌いにする【親のNGワード&行動】と【子どもが本好きになる方法】

「正しい言葉遣いが身につく」「論理的な考え方が身につく」など、さまざまな理由から、私たち大人は「本を読みなさい」と言われて育ってきました。そして親になった今、子どもに同じことを願うのは自然なことなのかもしれません。

しかし伝え方を誤ると、親の思いが届かず、かえって子どもが本嫌いになってしまう可能性があります

本が好きな子ども・嫌いな子どもの分かれ道はどこにあるのでしょうか? 子どもを本嫌いにしてしまう親の言動や、子どもが本に興味を持つために親ができることについて説明しましょう。

本が好きな子・嫌いな子はどこで分かれるのか

本が好きな子・嫌いな子に分かれる大きな理由は、2つあります。

1. そもそも親に読書をする習慣がない
2. 読書を学習の手段としてみている

 

1の理由について、脳機能学者の苫米地英人氏は「親は子どものよきモデルであり、子どもは親のまねをする」といいます。つまり、親が楽しそうに読書をしていれば、子どもは「これは楽しいものだ」と脳で認識して興味を持ち、まねして始めるようになるということです。

苫米地氏自身も父親が大の読書好きで、真似して本を読むようになったのだそう。それがきっかけとなり、研究者の道を志すようになったといいます。一方で本嫌いの子どもは、親が楽しそうに本を読む姿を見ていないのかもしれません。

自分ではまったく意識していなかったのですが、知らず知らずのうちに本を読む父の姿に影響を受けて真似していたのでしょう。

(引用元:苫米地英人 (2011),『0-5歳で決まる! 脳の力を無限に引き出す幼児教育』, 扶桑社.)

読書は、さまざまな能力を鍛える効果にばかり目が向いてしまいがちです。しかし、読書を何らかの学習の手段(=道具)として考えている発言は、子どもを本嫌いにさせる理由のひとつだと、『子どもを本好きにする10の秘訣』著書・平沼純氏はいいます。

読書はあくまで楽しむものであり、その結果として学びに結びつけばよい……こうしたスタンスが子どもを本好きにさせるのです。

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子どもを本嫌いにさせる親のNG行動&NGワード

子どもを本嫌いにさせる親のNG行動&NGワードは、主に3つあります。

1.「本を読みなさい」・・・読書を強制する
2.「もう絵本は卒業しようね」・・・読む本を大人が決める
3.「どんなことが書いてあったの?」・・・完璧な理解を求める

脳医学者の瀧靖之氏によると、「本を読みなさい」といった読書の強制は、記憶を司る脳内の海馬を委縮させるそうです。さらに海馬と好き嫌いを判断する扁桃体は密な関係にあるため、「読書=つらい記録=本が嫌い」と脳にインプットされてしまうといいます。読書を強制させる言動は絶対にNGです。

同じく強制するという理由から、親が子どもが読む本を決めることもNGです。『子どもを勉強好きにする20の方法』の著者・西村創氏は、推薦図書を強制的に読ませることも、親に多いNG行動だといいます。「絵本より文字が多い本を読んでほしい」「ひとつのジャンルの本ばかり読まないでほしい」など、読む本を大人が決めつけてしまっては、もともと本が好きだった子どもでも本嫌いになる可能性がありますよ。

また、本を読んだからといって内容を完璧に理解する必要はありません。瀧氏によると、脳は見たこと・聞いたことがあるものを好ましく感じる傾向があるそう。そのため、「これ、見たことがある!」とぼんやり本の内容を思い出すだけでも、今後のプラスになるといいます。ですので、「なんて書いてあったの?」「前も読んだのに忘れたの?」といった言動はNGです。

そして、子どもが本を読み終えたとき本の感想を聞きたくなりますが、これもやめましょう。平沼氏は、読書に「感動した」といった道徳的な結果を求める必要はないといいます。親も身構えず、子どもと本の関わり方を見守ってあげたいですね。

子どもの本嫌いをなくすためにできる3つのこと

では、すでに読書に苦手意識を持ちつつある、本嫌いになっている、そんな子どもに読書の楽しさを知ってもらい、本を好きになってもらうにはどうすれば良いのでしょうか? 3つの方法をおすすめします。

1. 親子で図書館に行く習慣をつける
2. 図鑑から読み始める
3. 子ども目線の本棚をつくる

先述の平沼氏は、親子で図書館に行くことを勧めています。図書館関係の研究活動に携わる図書館司書・木下通子氏によると、本が嫌い・苦手な子どもの中にも読みたい気持ちが強い人は多いのだそうです。ただ、何を読めばいいのかわからない、最後まで読めずに挫折したら……と考えて、最初の一歩が踏み出せなくなるとのこと。

そこで、まずは会話で子どもが持つ興味を引き出してあげましょう。たとえば親子でラグビー観戦に熱中したなら――

「ラグビーワールドカップおもしろかったね」
「この本はラグビーのルールがクイズになっているよ!」
「こっちの絵本も楽しそうだね」

といって本を手に取ると良いでしょう。借りる本は1冊にしぼる必要はありません

また、木下氏は「つまらなかったら無理して読まないでね」と、本嫌いの子にはひと言そえるといいます。こうして読書に対するプレッシャーを取り除くことも大切ですね。また、読書に慣れるにはスポーツと同じように反復練習が要るとのこと。ですので、図書館通いを習慣化させましょう。

脳医学者の瀧靖之氏は、「豊富なビジュアルで読みやすい」「パラパラ読みでよい」ことから、読書の第一歩として図鑑を勧めています。ひとつの興味から、放射状にほかの分野も関心を持つようになるのも図鑑のメリット。たとえば、恐竜は鳥類に進化したことから、もともとは恐竜図鑑しか読まなかった子どもが鳥の生態にも興味を持つことがあるそうです。

子どもは好奇心を刺激してあげさえすれば、なにかに興味を持ちます。その興味に合わせ、図鑑を一緒に読んでみましょう。(中略)
「図鑑には自分が知らない、おもしろいことがたくさん載っている!」と、ぐっと図鑑がおもしろくなるはずです。

(引用元:瀧靖之 (2018),『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て 『賢い子』は図鑑で育てる』, 講談社.)

ちなみに東大生174人を対象としたアンケートでは86%が読書好きと答え、87%の家に図鑑があり、子どもの頃から日常的に図鑑を手に取っていたそうですよ。

家庭で本がより身近な存在になるためには本棚にも着目するとよいと、一級建築士のすはらひろこ氏はいいます。

■子どもの目線に自然と本が見える高さにする
■本を取り出しやすいよう扉はつけない
■居間や階段の踊り場に親子共通の本棚を置く

こういった点に気をつけながら本棚を設置して、本に触れる機会を増やしてあげましょう。

***
読書は本来、とても楽しいものです。その魅力が伝わるよう、親子のコミュニケーションを大切にして、本を身近な存在にしましょう。

文/かのえかな

(参考)
苫米地英人 (2011),『0-5歳で決まる! 脳の力を無限に引き出す幼児教育』, 扶桑社.
ダ・ヴィンチニュース|子どもが本嫌いになる親のNGワードとは!? 読書で人生を力強く生きていく子にするための「10の秘訣」
瀧靖之 (2018),『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て 『賢い子』は図鑑で育てる』, 講談社.
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木下通子 (2017),『読みたい心に火をつけろ! 学校図書館大活用術』, 岩波ジュニア新書.
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