あたまを使う/サイエンス 2018.3.7

世界のトレンドは『STEM教育』にあり! そのために親ができること。

編集部
世界のトレンドは『STEM教育』にあり! そのために親ができること。

皆さんは、「STEM教育」という言葉を聞いたことがありますか?

STEMとは「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Mathematics(数学)」の頭文字をつなげたものであり、STEM教育とは、理数系の学術領域に重点を置く教育方針を指します。じつはいま世界中で、このSTEM教育が非常に重要視されているのです。なぜなのでしょう?

今回は、STEM教育について、ちょっと詳しく掘り下げてみました。

STEM教育のはじまり

インターネットやスマートフォンがもはや当たり前の存在となり、ロボットや人工知能といった技術も急速に発展しつつある今の時代。テクノロジーに関する知識やスキルは将来的に必ず必要とされるものであり、国としての競争力を高めるという観点から見ても、科学技術に長けた人材の育成はとても大切になってきます。

STEMという言葉は、もともとはアメリカが発祥であり、1990年代にアメリカ国立科学財団(NSF)が用い始めたSMETに由来します。その後2003年ごろに名称がSTEMへと切り替えられ、バラク・オバマ前大統領が国の重要な教育政策のひとつとしてSTEM教育を掲げたことから一気に浸透し始めました。

オバマ前大統領は2009年の就任時に「We‘ll restore science to its rightful place(科学を本来あるべき地位に戻す」と演説し、幼稚園~高校までのSTEM教育の向上のために多額の民間投資を実施。そのほか優秀なSTEM教育の育成にも力を注ぐなど、実に年間30億ドルを投資してきました。

そしてその波が海を越え、ヨーロッパやアジアなど世界各国に広がっています。

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日本に近いシンガポールはSTEM教育の先進国!

日本にほど近い東南アジアに位置するシンガポールは、STEM教育の先進国として知られています。

経済協力開発機構(OECD)が世界各国の子どもたちを対象に行なった「学習到達度調査(PISA)」において、科学的応用力や数学的応用力などで世界1位に輝いたシンガポール。数学の授業は小学校1年生から、理科の授業は小学校3年生から始まり、高学年になると2科目とも専門教員が教えています。また、単に理数の知識・スキルを座学で学ぶだけでなく、実際に「つくってみる」「活用させてみる」といった “ハンズオン(体験学習)” が重視されているのだそう。STEM教育が実社会でどのように役立つのかが、子どもたちにとっては非常に実感しやすいため、学習に対するモチベーションをうまく喚起しています。

同時に、親御さんもSTEM教育に対して関心が高いのだそう。“理数教育専門” の家庭教師をつけることも決して珍しいことではなく、民間主催の理数系コンテストには毎年多くの子どもたちが参加しています。

日本でも、2020年からプログラミング教育が義務化されるなど、国の政策としてのSTEM教育に対する機運は徐々に高まりつつあるようです。ただ、アメリカやシンガポールといった国々と比較すると、まだまだ遅れをとっている感が否めません。

では、私たち親ができることって何かあるのでしょうか?

親ができるSTEM教育2

意外と身近な場所でできる!? 子どものための「STEM教育」

1. 子ども向けプログラミング教室に通わせる

プログラミング教育というと、“プログラミング言語を覚えさせる” “ひたすらコーディングさせる” というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実際はそんなことはありません。プログラムで動くロボットを試行錯誤しながら組み立てたり、仲間と一緒にひとつの作品を作りあげたりと、プログラミングの知識を習得できるのはもちろん、思考力や表現力や協調性といった “すべてに通ずる普遍的な力” が身につきます。

2. 科学実験教室に通わせる

学校では小学校高学年や中学校に上がらないとなかなかやらせてもらえない科学の実験や観察を、もっと小さいうちから体験させてみませんか? 雪の結晶ができる、砂糖が溶ける、光が反射する、磁石がくっつく。私たちの周囲はたくさんのサイエンスで囲まれています。そこから浮かんでくる「なぜ?」を、実際の実験・観察を通して追究することで、論理的思考力が身につきますよ。科学者気分を味わうこともできそうですね。

3. STEM玩具で遊ばせる

日本で「おもちゃ」というとキャラクターがついたものが一般的ですが、アメリカではSTEM教育に特化した「STEM玩具」というジャンルが確立されています。プログラミングの概念を学べるもの、数字や計算の勉強をできるもの、簡単なロボットを作れるものなどなど、遊びを通して、サイエンスや数学を感じてもらうことができます。おもちゃに「教育」という要素を加えたい方は、ぜひ取り入れてみるといいかもしれませんね。

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日本は、STEM教育という観点ではまだまだ後進国です。今のうちから親ができることを積極的にしてあげることで、世界の教育の波に乗り遅れないようにしましょう。

(参考)
DIAMOND IT&ビジネス|このままでは日本が危ない!「STEM人材育成」が必要な理由
Wikipedia|STEM教育
国立研究開発法人 科学技術振興機構|オバマ政権の科学技術イノベーション成果100選(PDF)
産経ニュース|学力世界トップ「シンガポール式算数」に熱視線 文章題を解く「バーモデル」とは…
内閣府男女共同参画局|理工系分野における女性活躍の推進を目的とした関係国の社会制度・人材育成等に関する比較・分析調査報告書(平成29年4月)(PDF)
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