「うちの子、なかなか成績が伸びない」——そんな悩みを抱えていませんか?
首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る進学塾VAMOS代表の富永雄輔氏は、賢い子を「エンジンがでかい子」と表現します。
富永氏が会ってから30分で見極められるという「エンジンのでかさ」。それは4つの特徴から成り立っています。富永氏のインタビューをもとに、わが子を「エンジンのでかい子」に育てるヒントを探りましょう。
目次
難関校に受かるのは「エンジンのでかい子」
富永氏は、賢い子を自動車にたとえて「エンジンがでかい」と表現します。これは、いわゆる地頭がいい子のことです。
地頭がいい子とは、単に知識量が多いことではありません。物事の本質を理解する力、応用力、思考の柔軟性——こうした力を総合的にもっている子どもを指します。
なんと、富永氏は「難関校に受かる子かどうか、会ってから30分でわかる」と語ります。30分という短い時間で何がわかるのでしょうか? それは、子どもの反応、質問への答え方、思考のプロセスなどから、その子がもっている「エンジンの大きさ」が見えてくるからです。
同じ塾で同じカリキュラムを学んでも、難関校に合格する子とそうでない子がいます。その差は、努力の量だけではありません。「エンジンのでかさ」という土台があるかどうかが、大きく影響しているのです。
では、その「エンジンのでかさ」は、具体的にどのような特徴として現れるのか——。富永氏が長年の経験から見出した「エンジンのでかい子」には、共通する4つの特徴があります。順番に見ていきましょう。

特徴①:1教えられれば10わかる——点と点をつなげる力
点と点をつなげられる子
賢い子はどうして1教えられれば10わかるのでしょう。それは、点と点をつなげられるからです。
ひとつひとつの知識をバラバラに理解している子もいれば、意図的につなげて体系化する習慣がある子もいます。この違いが、賢さという点で大きな差を生みます。
具体例:かけ算とわり算
たとえば、算数のかけ算とわり算。これを別のものとして理解している子どもは、それほど賢いとはいえません。
一方、賢い子はかけ算を理解すれば必然的にわり算も理解できます。なぜなら、かけ算とわり算は同じ事象に対する観点を逆にしたものに過ぎないからです。
つまり、賢い子とは、ひとつのことから複数のことを理解しようとする子という言い方もできるでしょう。昔からある表現なら、「1教えられれば10わかる子」です。
🏠 家でできる関わり方のヒント
- 「これとこれ、似てない?」と問いかける:関連性に気づかせる
- 理科と社会をつなげる:「理科で学んだあれ、社会でも出てきたね」
- 日常と勉強を結びつける:「買い物でも掛け算を使うね!」
- 知識をバラバラに教えない:体系的に理解させる声かけを
こうした声かけが、子どもの思考を広げ、点と点をつなげる力を育てます。

特徴②:地頭のよさを「使える」
エンジンが大きくても使えなければ意味がない
「エンジンがでかい」ことに加えて重要なのが、「地頭のよさを使える」ことだと富永氏は指摘します。
車の場合はエンジンが大きければそれだけスピードも出ますが、人間の場合、たとえ大きなエンジンをもっていても、そのエンジンをうまく使えない人もいます。
9歳で数学検定1級合格の子の例
兵庫県に住む9歳の子どもが、数学・算数検定の最難関である1級合格の最年少記録を更新したことが話題になりました。その子の地頭のよさは、モンスター級といっていいでしょう。
ただ、どんなに頭がいい子どもでも、なにもしないまま微分や積分がわかるようになるわけではありません。その子の親がしっかりと自分の子どもを観察し、わが子が数学に向いていることに気づき、地頭のよさをきちんと使えるように数学の勉強をさせてあげた——そのことがすばらしいのです。
🏠 家でできる関わり方のヒント
- わが子をしっかり観察する:何に向いているか見極める
- 得意分野を見つける:「算数が得意そう」「文章を書くのが好き」など
- その分野で学びを深める環境を整える:先取り教育も有効
- 適性に合った挑戦をさせる:地頭を「使える」機会をつくる
富永氏は、適性を見極めたうえで、その分野での学びを深めていくことが、地頭のよさを「使える」ことにつながると語ります。

特徴③:精神状態がいい——安定した心が学力を伸ばす
いい精神状態とは
勉強ができる子どもには、いい精神状態を保っているという特徴があります。いい精神状態とは、学校や塾に通うこと、学ぶこと、勉強で結果を出すことが「楽しい」と感じる状態です。
「飛び越し学習」という現象
しかも、精神状態がいい子どもの場合、その伸び方は大人の想像を超えます。
「飛び越し学習」と言いますが、大人の勉強での伸び方が「1、2、3、4……」と一定のものだとすると、子どもの場合は、「1、2、7、12、20……」というふうに、飛躍的な伸び方をするということがよくあります。
でも一方で、ちょっとした心の問題によって、「20、12、7、2、1……」と学力が直滑降で落ちてしまうことがあるのも子どもの特徴です。
心の問題があると集中できない
子どもがなにか心の問題を抱えているような状態で、算数の問題を目の前にしても、気持ちを切り替えてしっかり勉強に取り組めるはずもありません。
大人でもそうでしょう? たとえば、離婚をしたというようなネガティブな出来事を経験した直後に、気持ちを切り替えてしっかり仕事に取り組めといわれても、なかなかそうはできません。まだ精神的に幼い子どもなら、なおさらです。
適切なタイミングでほめ、叱る
子どもの精神状態を安定させるために、適切なタイミングで褒めたり叱ったりすることが大切だと富永氏は語ります。その「適切なタイミング」とは、子どもの精神状態次第ということになります。
テストで70点をとったときの対応例
❌ 子どもが落ち込んでいる場合:70点とれたことをしっかりほめる
⭕ 子どもが有頂天になっている場合:足りなかった30点をしっかり叱る(有頂天は油断、努力をやめる危険性)
🏠 家でできる関わり方のヒント
- 点数ではなく精神状態を観察する:落ち込んでいるか、有頂天かを見極める
- 褒め上手は叱り上手:両方のバランスが大切
- 「楽しい」状態を保つ:勉強が苦痛にならないように
- 心の問題に早めに気づく:学力低下の前兆を見逃さない
ほめ上手とは叱り上手——テストの点数ではなく、子どもの精神状態をきちんと観察して判断することが大切です。

特徴④:集中力がある——難関校合格者の9割が持つ力
難関校合格者の9割がもつ集中力
富永氏の感覚では、上位の難関校に合格する子どもの9割は、強い集中力をもっているそうです。そして、この集中力こそが、子どもにとっては強力な武器になると語ります。
集中力とは何か
長時間勉強を続けられることが集中力だと思っていませんか? でも、ダラダラと集中しないまま勉強をすることもできます。
富永氏が考える集中力がある子どもは、短いパートの集中を繰り返したくさんできる子どもです。しかも、その集中の度合いが、ふつうの子どもの1.4倍くらいあるイメージ。
100メートルダッシュにたとえるなら、ふつうの子が6本で疲れるところを、集中力のある子どもはふつうの子より速いスピードで12本のダッシュができるといった感じです。
集中力はどう育つのか
富永氏は、小さい頃から好きなことに集中する経験をたくさんしてきた子どもが、それ以降も充実した集中力を得られるのだと考えています。
人間がもっている集中力というものは、好きなことをやることでしか絶対に増やせません。その好きなことというのは、なんでもいい。レゴブロック、知育玩具、勉強はもちろん、漫画やテレビ、ゲームでもいいのです。
「ゲーム・漫画禁止」は逆効果
「ゲームや漫画は禁止!」は、集中力の育ちを親がわざわざ阻害することになります。
🏠 家でできる関わり方のヒント
- 好きなことに没頭させる:ゲーム・漫画でもOK
- 習い事は「子どもが好きかどうか」で判断:嫌いな習い事を詰め込まない
- 集中する時間を確保する:忙しすぎるスケジュールは避ける
- 短期的+長期的な集中を意識:1カ月間の小テストで全て100点など
短いパートの集中を長期間にわたって続けられる力があれば、長い人生をより良い方向に進められる人間になれるのではないでしょうか。
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「エンジンがでかい子」4つの特徴——点と点をつなげる力、地頭のよさを使える、精神状態がいい、集中力がある。
これらは生まれつきの才能だけで決まるわけではありません。親が子どもを観察し、適切なタイミングでほめ叱り、好きなことに没頭させる。そうした日々の関わりが、お子さんを「エンジンのでかい子」に育てていきます。
(参考)
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「エンジンがでかい子」って? 進学塾VAMOS代表・富永雄輔氏に聞く、地頭の良さと先取り教育
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|褒め方・叱り方の極意は「精神状態を見る」こと。自己肯定感が高い子の育て方
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|集中力がある子の特徴とは? 好きなことへの没頭が学力を伸ばす理由









