「うちの子、本に興味をもってくれない……」そんな悩みを抱えていませんか? じつは、子どもが本を好きになるかどうかは、特別な教育よりも “日々のささやかな関わり方” に左右されます。
特に未就学児期の絵本との触れ合い方は、小学生以降の “本との距離感” を決める重要な時期。文字を読む力よりも大切なのは、「本を手にしたときの心地よさ」を知ることです。
この記事では、小学生になったときに “本が好き” と思える力が育つ絵本との関わり方を紹介します。
目次
幼児期の「空気づくり」が未来の読書好きにつながる
未就学児期にどんな「読書の空気」をつくるかは、小学生になってからの本との距離感にそのままつながります。では、どうすれば “本が好き” な子に育つのでしょうか?
「本を読みなさい」と指示しても、幼児には響きません。それよりも、親が楽しそうに本を開いたり、寝る前に読んでいたりする姿を見せるだけで、「なんだか楽しそう」「本は生活の一部なんだ」と子どもは感じ取るのです。
また、読み聞かせは短時間でもいいので “頻度” を継続するのがポイント。研究でも、幼児期に読み聞かせ環境がある子は、小学校入学後も読書習慣がつきやすいと報告されています。「本を読む家族の空気」こそが、読書好きへの第一歩になるでしょう。

「本っていいな」を育む2つの習慣
幼児期に本との心地よい関係を育んでおくと、のちの読書習慣がぐっとスムーズになります。ここからは、今日から無理なく取り入れられて、自然と「本っていいな」と感じられる習慣を提案します。苦手意識を育てないためのポイントは、以下の2つです。
【1】選ぶ時間そのものを読書体験にする
子どもを本好きにしたいなら、まず大切なのは「どの絵本にする?」と急かさないこと。書店は、子どもにとって情報量がとても多い場所です。じっくり見て、迷って、比べる時間そのものが、読書への入り口になります。*1
・ 時間に余裕のある日に行く
「早く決めて!」と言われると、子どもは選ぶこと自体がつらくなります。迷う時間も含めて「絵本選び」だと考えましょう。
・ 表紙を見る体験を増やす
棚に差さっているだけでは、絵本の魅力は伝わりにくいもの。親が何冊か抜き出して、表紙を見せたり、少しめくってあげるだけで、反応が変わります。
【2】「上手に読もう」「感想を聞こう」は手放す
絵本の読み聞かせというと、「感情を込めて上手に読まなきゃ」「読み終わったら感想を聞かなきゃ」そう思っていませんか?
けれど、絵本スタイリスト®の景山聖子氏は、その2つをはっきり否定します。読み聞かせは “教育の時間” ではなく、子どもとのコミュニケーションの時間だからです。*2
・ 「どう思った?」と感想を求めない
子どもは、絵本を読み終えたあとも、頭の中で物語を動かし続けています。その時間こそが、想像力や感受性を育てている最中。感想を求めることで、その大切な思考を止めてしまいます。
・ うまく読もうとしなくていい
読み聞かせは、親の発表会ではありません。感情表現や抑揚よりも大切なのは、子どもの反応を見ることです。
・ 子どものペースを最優先にする
ページをどんどんめくりたがるなら、そのままでOK。一枚の絵に立ち止まるなら、飽きるまで眺めていて大丈夫です。会話が広がったら、途中で読むのをやめても構いません。
「自分の好きな絵本をじっくり選ぶ」「自分のペースで絵本を読み聞かせてもらう」ーーそうした関わりが、親子の絆を深め、子どもに「絵本は楽しい」という感覚を残してくれます。

📚読書好きな小学生をつくる絵本3冊
最後に、出版社オススメの絵本を3冊ご紹介します。どれも就学前の子どもが読書好きになるきっかけづくりにぴったり! 担当者のコメントを参考に、ぜひお子さんと一緒に楽しんでくださいね。
1. 『うっかりくまさんたちの おかしなおんがくかい』(へんみあやか 作・絵)
【Gakken担当者コメント】うっかりして肝心の楽器ではないものを持ってきてしまった音楽隊のくまさんたち……。うっかりにも程があるうっかりミスで、笑いが起きること間違いなし! 後半の演奏シーンは、読んでも聞いてもおもしろいリズムで、読み聞かせにぴったりです。
2.『おにんぢゃ おかしじごくをめぐる』(富樫一望・絵/藤田純平・作)
【Gakken担当者コメント】かわいい “おかしじごく” のなかで、子どものおにんぢゃが鬼に襲われたり迷子になったり……。テンポよく進むお話に、どんどん引き込まれていきます。迷子になったおにんぢゃの、なんとも言えないシュールな表情は必見です!
3.『やさいで チャチャチャ』(はらしままみ 作・絵)
【Gakken担当者コメント】個性的なトマト、ブロッコリー、にんじん、かぼちゃたちがチャチャチャのリズムで踊る、リズムたいそう絵本。繰り返しやってくる「チャチャチャ」にあわせて、お子さんといっしょにレッツダンス!
小学生で “読書好き” になる子の親がしている関わり方
親の関わり方は、就学後に子どもが自分で本を手に取るかどうかにも影響します。その日の気分や疲れ具合で集中力が変わるのは、幼児期の子どもとしては当たり前。読み聞かせに集中しなくても「今日はそういう気分じゃないのね」と割り切りましょう。
大切なのは、 “読むことをイヤな思い出にしない” こと。特に就学前の子どもにとって、本は “教育” ではなく、 “時間を共有するための道具” としての役割が大きいもの。子どもの反応にゆっくり寄り添い、読みたい気持ちを大切にしてあげましょう。
こうした関わり方を続けていくと、やがて子どもは自然と本を生活の一部にしていきます。実際に、幼児期から親子で本に親しんできた子どもたちは、小学生になってからも本とのよい関係を保ち続けているようです。

▲幼少期から本と一緒に育ってきた子の本棚の変化。小学2年生(左)から5年生(右)になっても、読書習慣は途切れることなく、興味の幅もぐんと広がっています。

▲撮影時は小学6年生。いつでも本を持ち歩き、旅行の移動中や休憩中にも時間があれば読書することが身についています。「本を読むこと」は特別な行為ではなく、日常のなかにある自然な行動として根づいている証です。
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「読まなきゃ」ではなく、「ちょっと読んでみようかな」と子どもが自然に感じられる空気が整っていれば、それだけで読書習慣の芽は育っていきます。無理をせず、短時間でも読めたらOK。親子のスキンシップの延長で絵本を楽しむくらいの “ゆるさ” で大丈夫です。毎日のなかに少しずつ本がある暮らしを積み重ねることで、「本って楽しい!」という気持ちは確実に子どもの心に根づいていくでしょう。
(参考)
*1 STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「読ませたい本」は本棚にさしておくだけでいい。書店員さんに聞いた「絵本選びの極意」
*2 STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「上手に読んであげて、感想を聞く」のは絶対に避けて。絵本の読み聞かせの鉄則です
とものま|読み聞かせで親も生きやすくなる? 脳科学から見た絵本|東北大学加齢医学研究所 松﨑泰先生
EduA|読書で伸ばせる子どもの能力 本好きになってもらうために大切なこととは?
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「勉強が勉強でなくなる」のが絵本の魅力! でも「勉強のつもり」で読み聞かせてはダメ
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|我が子に“読書好き”になってほしいなら。ぜひ身につけさせたい「読み癖」とは












