教育を考える 2025.1.3

小学校で英語とプログラミング。 親世代と大きく変わった「いまの学び」をどうサポートする?

編集部
小学校で英語とプログラミング。 親世代と大きく変わった「いまの学び」をどうサポートする?

「えっ、小学校で英語の授業があるの? しかもタブレットで宿題を提出するってどういうこと……?」

自分が子どものころにはなかった学びが、いまの小学生のスタンダードになりつつあります。特に英語やプログラミングの必修化、そしてタブレット端末の活用に戸惑う保護者は少なくありません。

でも、焦りすぎる必要はありません。なぜこんなに学びが変わってきたのか、その背景を知り、家庭では必要最低限の基礎をしっかり押さえながら、子どものつまずきや興味を上手にサポートすれば大丈夫。この記事では、「親世代にはなかった小学生の学び」をまとめ、その “理由” と “家庭での関わり方” を具体的にお伝えします。

1. 親の頃とはこんなに違う? 小学生の教育に進む「新しい学び」

1-1. 英語は低学年から。 “コミュニケーション重視” の英語教育

親世代が小学生だったころ、英語の授業があったという方はほぼいないでしょう。いまでは小学3・4年生から「英語活動」が始まり、5・6年生では正式に「教科」として成績に反映されます。単語の暗記や文法指導ではなく、「英語でのやりとり」が重視されているのが大きな特徴です。

親世代との違い
・親世代:中学校で英語を初めて学ぶ。筆記と文法中心。
・いまの子ども:小学校中学年から英語に触れ、コミュニケーションや異文化理解を重視

1-2. プログラミング教育で論理的思考力を養う

小学生の “プログラミング必修化” と聞くと驚くかもしれませんが、プログラムを使って図形を描いたり、アプリ上でキャラクターの動きを組み立てたりする学びが、全国的に広がっています。答えがひとつではない問題を試行錯誤する過程で、論理的思考力を身につけるのが狙いです。

親世代との違い
・親世代:プログラミングは自力で学んだり、専門学校や大学で学ぶイメージ。小学校では無縁。
・いまの子ども:算数や理科など他教科と関連づけながら、試行錯誤する機会が日常的にある

1-3. タブレットやAIドリルを使う「GIGAスクール構想」

全国の公立小学校で、一人一台のタブレット端末が導入されつつあります。紙の教科書やノートだけでなく、AIドリルやオンラインでの共同作業など、新しい学習スタイルが当たり前に。宿題をタブレット経由で提出するケースも出てきており、親世代からすると想像しにくい学び方が広がっています。

親世代との違い
・親世代:紙中心のドリル学習。ネットは学校で使うイメージがあまりなかった。
・いまの子ども:タブレットを日常的に使い、個別最適化された学習やオンライン合作などを経験

子どもたちが並んでパソコンで学習している画像

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2. なぜこんなふうに変わったの? 背景にある世界的潮流(OECD指針)

「英語・プログラミング・タブレット……なぜこんなにも学びの形が変わっているの?」と思う方も多いかもしれません。その背景には、OECD(経済協力開発機構)が提唱する「Learning Compass 2030」など、世界的な教育の流れがあります。

OECDは、複雑で先行きが予測しづらい時代を生きる子どもたちに必要な力として、知識やスキルだけでなく「新たな価値を創造する力」「責任ある行動をとる力」「対立やジレンマに対処する力」などを強調しています。こうした潮流を踏まえ、日本でも「デジタルスキルを育てる」「英語でコミュニケーションする場を増やす」「AIドリルで個別最適化を図る」などの教育改革が進んでいるのです。

ポイント
・AIや多様な文化と共存する社会で、生きる力を育む必要性が高まっている。
・英語やプログラミングは、そうした時代の要求を踏まえた “入口” として重視されている。

3. 変わらない部分も大切! “昔ながらの基礎” が土台になる

一方で、親世代が受けてきた学びすべてが時代遅れというわけではありません。読解力や計算力、漢字の書き取りといった「基礎部分」はいまも変わらず重要な土台です。

  • 基礎学習が欠けると、応用が理解しにくい
    プログラミングで正しい命令を組み立てたり、英語で書かれた文章を読むときも、国語的・数学的な読解力や論理的思考力が必要。
  • 焦らず、足元の理解を確認する安心感
    新しい学びに目を奪われがちですが、子どもの学力を支える読み書き・計算を積み重ねるのは大切なベースです。

4. どうサポートすればいい? 新学習と家庭でのポイント

4-1. 英語への向き合い方

  •  “楽しさ” がスタートライン
    英語=文法暗記ではなく、歌やアニメなどで「英語っておもしろい」という感覚を育てると意欲が上がりやすい。
  • 日常に少しだけ英語を混ぜる
    「Good morning!」「Let’s go!」など、短いフレーズを日常会話に織り交ぜると耳が慣れてくる。

4-2. プログラミングとの付き合い方

  •  “エラーは当たり前” と伝える
    思い通りに動かないのが普通。親が「どうして動かないんだろう?」と一緒に考えるだけで、論理的思考を育む。
  • 親が詳しくなくてもOK
    子どもがつまずいたとき「どんな動きを期待してるの?」と問いかけるだけで、問題解決の糸口をサポートできる。

4-3. タブレット学習を上手に使う

  • 時間管理と休憩ルールを決める
    長時間の使用は目に負担がかかりやすい。20~30分ごとに休憩をとるなど、話し合ってルールを作る。
  • 学習記録を一緒に振り返る
    AIドリルなどは履歴が残るので、週1回「どこが難しかった?」と聞いてみると理解度を把握しやすい。

タブレットを使って寝転がって学習している女の子の画像

5. なぜ変わったのかを理解し、親子で“未来の学び”を楽しむ

英語の授業やプログラミング、タブレット端末の活用……親世代からすると「こんな学び、私たちの時代にはなかった!」と驚くことが増えています。しかし、その背後にはOECDが示す「これからの社会を生きる力」を育むための世界的な流れがあり、日本の教育改革もその波を受けながら進化しているのです。

一方で、基礎的な読み書き・計算など “変わらない部分” も依然として大切。新しい学びに注目しつつも、慌てすぎず、家庭での声かけやコミュニケーションを通じて子どもをサポートしていきましょう。

ポイント
・「完璧に教える」のではなく「一緒に考える」スタンスでOK。
・わからないところを共有するだけで、子どもは安心して挑戦できる。
・基礎学習を支えつつ、英語やプログラミングなど “未来の学び” もポジティブに受けとめよう。

 

***
子どもたちが大人になる頃は、さらに未知のテクノロジーや新しい学びが増えているかもしれません。不安があるのは当然ですが、「なぜ変わったのか」を理解し、家庭でできるサポートを少しずつ続けることで、子どもたちは未来に向けた力をしっかり育んでいけるはずです。ぜひ親子で、一歩ずつ前向きに取り組んでみてくださいね。

(参考)
OECD|The OECD Learning Compass 2030