教育を考える/本・絵本 2018.6.29

「東大生が親に感謝していること」堂々1位! 本の読み聞かせの効果と “学力を上げる” 本の選び方。

編集部
「東大生が親に感謝していること」堂々1位! 本の読み聞かせの効果と “学力を上げる” 本の選び方。

まだ幼い我が子が将来大人になり、幼少期に親子ですごした時間を振り返るとき、あなたはどんな言葉を耳にするでしょうか。「おいしいごはんを作ってくれてありがとう」「年に一度の家族旅行が楽しかった」。そんな一言かもしれませんね。

さて、東大生から出た言葉は「本の読み聞かせをたくさんしてくれてありがとう」。今回は「東大生が親に感謝していること」第1位になった本の読み聞かせについて、そして東大生を育てた家庭の「本の選び方」についてのお話です。

東大生が親に感謝していること堂々1位は「本の読み聞かせ」

2015年にKUMONが実施した「大学生意識調査-東京大学編」。「子どものころ、親にしてもらって感謝している教育とは?」という問いに現役東大生100人が回答しました。

結果、100人中40人の東大生が「本の読み聞かせ」を選択。東大生にとって「心に残った教育」として、親に感謝していることの堂々1位を飾りました。

回答の補足として記入されたコメントでは、次のような声が挙がったそう。

・ボキャブラリーの豊かさや学ぶことの大切さを知ることに如実に効果があった

・いろんな絵本を読み聞かせしてくれたことで、多くの世界観を知って、想像力が豊かになった

・絵本から図鑑に至るまで、とにかくたくさん読み聞かせをしてくれ、内容もですが、その時間自体が楽しかった

・母が、わたしの理解度や年齢に合わせて本を選んで読み聞かせてくれました。考え方や生き方のヒントになっています

(引用元:公文教育研究会|KUMON now! KUMONトピックス|大学生意識調査

語彙力、想像力、生きる力、親子の絆。幼少期の読み聞かせからは多くの力を得られるといいますが、東大生のこのようなコメントを見ると、それが実感できますね。

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東大生を育てる親は、子ども自身に読む本を選ばせる

ある程度年齢が上がると、自分で本を手に取ることもあるでしょう。幼い頃から親子で絵本の読み聞かせをしていたらなおさら、自ら本を読む機会も増えてくるもの。

そのとき、どんな本を与えればいいのでしょうか。

『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』の著書、進学塾VAMOS代表の富永雄輔さんは、多くの東大生を輩出する塾の受験コンサルタント。多くの東大生講師に関わってきた経験もふまえ「東大生の多くは大変な読書家」だと話します。

実際、東大生は幼少期にどんな本を読んでいたのでしょうか。富永さんはこう語ります。

話を聞いてみると、やはり、家庭でも小さい頃からたくさんの本に囲まれていたようです。ただ、意外にも親に本を薦められたという経験はあまりないようで、「小さい頃から自分が好きな本ばかり読んでいた」という声が圧倒的でした。

(引用元:富永雄輔(2017),『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』,文響社.)

なんと「どんな本を読ませればいいか」という相談は、我が子を東大に合格させた親御さんからは受けることがあまりないというのです。なぜなら「伸びる子は、本を与えられているのではなく、自ら本を選んでいる」から。

本を読んでほしいと思うのなら、本を与えるのではなく、読みたいものを子ども自身に選ばせるべきです。東大生も、もともと本が好きだったわけではなく、小さい頃から好きな本を選んできたからこそ、本が好きになったのです。

(引用元:同上)

いくら世間で名作だと言われている本でも、自分の好きではないジャンルや苦手な作風もあるでしょう。我が子のためによかれと思って親が選んだ本が、その子のそのときの興味や気分にぴったりと合致することは少ないもの。それなのに無理に読ませることで、逆に本嫌いな子になってしまう恐れもあります。

だからこそ、子どもが読みたい本を自ら主体的に選んでもらいましょう。そして親は、子どもなりの「選書」を受け止め、認めてあげることが大切です。

本屋さんに連れていったら、子どもを自由にしてみましょう。そして、子どもが選んできた本は、名作と呼ばれるものでなくても(親から見たらくだらないと思う本でも)、ぜひ買ってあげてください。(中略)興味があるテーマなら、単純に読むことを楽しめます。その本の中で得た何かが、別の分野への興味や関心につながることもあるでしょう。それがやがて、何かを学びたいという意欲、つまり勉強への意欲につながっていくのです。

(引用元:同上)

子どもが選んだものがたとえ漫画でも構わないとのこと。本人が読みたいと感じた本を与えることが重要なのです。

もしかしたら、うちの子はまだ小さいから、自分では選べないだろうと思っている親御さんもいるかもしれません。でも富永さんは、小学校低学年のうちから、選択肢を与えるべきだと言います。それも3冊や5冊の中からではなく、せめて20冊くらいの候補の中から1冊を選ぶといいのだとか。

ご自宅の本棚の本では足りなくても、図書館や本屋さんなどに行けばたくさんの多種多様な本が並んでいます。ぜひ、多くの選択肢の中からお子さん自身が本を選ぶ経験を積むことができるよう、サポートしてあげましょう。

(参考)
公文教育研究会|KUMON now! KUMONトピックス|大学生意識調査
富永雄輔(2017),『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』, 文響社.