教育を考える/本・絵本 2018.3.20

アメリカ合衆国教育省のデータから見る、学力向上への最短ルート「絵本の読み聞かせ」

編集部
アメリカ合衆国教育省のデータから見る、学力向上への最短ルート「絵本の読み聞かせ」

「本好き」な子どもは学力が高い傾向にある。これは様々な調査からも明らかになっている事実です。では、どうすれば「本好き」な子どもに育てることができるのでしょうか?

その鍵は幼少期からの「読み聞かせ」。今回は、絵本の読み聞かせが「本好き」を育む理由、そして親子の絵本タイムと子どもの学力の関係を紐解いていきます。

「本好き」な子どもは学力が高い

『文部科学省や海外の調査から紐解く「本好き」な子どもと学力の深い関係』では、国内外の調査結果をもとに「本好き」な子どもは総じて学力が高いことをご紹介しました。

なんと、本好きなだけで、次のような学習効果を得られることが判明したのです。

・知能の発達、語彙力、スペリング力、数学の能力が高い

(The Guardian|Reading for fun improves children’s brains, study confirms

・読解問題、英語、算数のテストの点数が上がる

(引用:National Education Association|Facts about Children’s Literacy

・国語・算数のテストで10~15点もアップ

(引用:文部科学省|平成28年度 全国学力・学習状況調査 報告書

「本好きか否か」でここまで学力に差がつくのにはびっくりですね。それならば、ぜひ我が子も本好きになってほしいと感じた親御さんも多いのではないでしょうか。

「本好き」を育てるための最短の道

では、本好きな子どもを育てるにはどうすればいいのでしょうか? 最短の道として、幼少期から家庭で絵本の「読み聞かせ」をすることが挙げられます。

日本人の大学生293名を対象にしたある調査では、読み聞かせのポジティブな影響として特に多かった回答は「本が好きになった」こと。

親との読み聞かせの時間のおかげで「絵本が好きになり、その後活字に親しみができて、本を読むのが好きになった」というコメントが挙がったそう。

受験のプロとして活躍する教育コンサルタントの松永暢史氏も、それを裏付ける形でこう話しています。

読み聞かせをスタートとして、本の世界に入っていくことで、語彙力から文章理解力、思考力、集中力、表現力など、学力向上に欠かせない力が養われていきます。

(引用:松永暢史(2014),『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』,株式会社すばる舎.)

高い学力を誇る「本好き」な子どもは、幼少期からの「絵本の読み聞かせ」によって育てることができるのです。

週3〜4回の読み聞かせで100%文字が読める子どもが2倍に

日本でいうと文部科学省にあたる、アメリカ合衆国教育省。その管轄下の米国教育統計センターは、子どもの文字を読む能力と読み聞かせの関係について、このような調査結果を公表しています。

家庭で週に3、4回にわたり、家族から読み聞かせをしてもらった幼児の26%が全ての文字を読めた。一方、家庭における読み聞かせの頻度が少ない子どもの場合、14%の子どもしか全ての文字を読めなかった。

(引用:National Education Association|Facts about Children’s Literacy

週の半分以上、読み聞かせをしてもらっているだけで、全部のアルファベットを読める子が約2倍に増えたのです。

読み聞かせで数える力、読む力、スペリング力も1.4倍に

さらに、文字を読む力だけにとどまりません。

・20以上の数字を正確に数えられる
頻繁に読み聞かせをしてもらっている子ども:60%
そうではない子ども:44%

・読む、または読むふりができる
頻繁に読み聞かせをしてもらっている子ども:77%
そうではない子ども:57%

・自分の名前を正確な綴りで書ける
頻繁に読み聞かせをしてもらっている子ども:54%
そうではない子ども:40%

(引用:同上)

スペリング力や読む力、数を数える力にも影響しています。「読む」だけでなく「読むふり」という項目があるのが面白いですね。

子どもは最初は何事も親の真似事から始めます。親に読み聞かせをしてもらわない子どもは、自分で本を読むばかりか、読む真似さえもできないことだってあるのです。

「本好き」にするには親のサポートが重要

上記をはじめとした様々な調査から、アメリカ合衆国教育省は「親のサポート」の重要性についてこう語っています。

親が子どもに本を読ませるのは、子どもがよりよい読み手になるのに最も重要なことの一つ。若い読み手には、文字とその音を認識する練習が必要不可欠。本を読むのが得意になるたった一つの方法は、とにかく読む練習を重ねることだ。

(引用:Gutloff, Karen(1999),”Reading Research Ready to Go.”, NEA Today. Washington, DC: National Education Association.)

親から手本を見せてもらうことで、子どもは次第に本の読み方、そして楽しみ方を学んでいくのです。

幼少期の読み聞かせが子どもの成績を上げる理由

なぜ親子で行う幼少期の絵本の読み聞かせが子どもの学力を上げるのでしょうか? 前記事と合わせ、以下のような順番で学力向上に直結することがわかります。

1. 親が子どもに読み聞かせをする
2. 子どもが「本好き」になる
3. 子どもが自分でも読書をするようになる
4. 子どもの「日本語了解能力」が上がる
5. 総合的な学力が高まり、全教科の成績が上がる

読み聞かせが子どもの学力に与えるプラスの影響の裏には、こんな秘密が隠れていたのですね。

***
お子様の総合的な学力の向上に効果的な絵本の読み聞かせ、ぜひ今日から実践してみてください。

■関連記事:文部科学省や海外の調査から紐解く「本好き」な子どもと学力の深い関係

(参考)
松永暢史(2014),『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』,すばる舎.
The Guardian|Reading for fun improves children’s brains, study confirms
National Education Association|Facts about Children’s Literacy
文部科学省|平成28年度 全国学力・学習状況調査 報告書
Gutloff, Karen(1999),”Reading Research Ready to Go.”, NEA Today. Washington, DC: National Education Association.
浜崎隆司,黒田みゆき(2017),「絵本の読み聞かせがその後の人生に及ぼす影響 ― テキストマイニング法を用いて―」,鳴門教育大学研究紀要.