あたまを使う/からだを動かす/教育を考える 2019.4.1

“運動ができれば勉強もできる”は本当だった! 「学力」と「運動能力」の相関関係

“運動ができれば勉強もできる”は本当だった! 「学力」と「運動能力」の相関関係

子どもの頃、クラスに「運動も勉強も両方できる、万能型の同級生」が何人かいたという記憶はありませんか? それもそのはず、子どもの学力と運動能力には、相関関係があるといわれているのです。

今回は、運動能力と学力の関係や、それらをアップさせるための方法について紹介しましょう。

「運動能力」と「学力」には相関関係がある

スウェーデンのブンケフロという町の小学校で、毎日体育の授業をするクラスと、週2回体育の授業をするクラスを設けて、運動能力と学力の相関関係についての研究が行なわれました。その結果、毎日体育の授業を行ったクラスは、体育が週2回のクラスに比べて、算数、国語、英語の成績が良かったことがわかったのです。

アメリカでも同様の研究が行なわれましたが、やはり同じような結果が出ました。心肺機能・筋力・敏捷性が高い子どもたちは、算数と読解のテストで高得点を獲得。そして、体力的に優れているほど、得点が高くなったそうです。

なお、日本でも、文部科学省による小中学校の全国都道府県学力テストの結果と体力・運動能力の調査結果を照らし合わせたところ、「運動ができる子どもは勉強もできる」傾向があることがわかっています。

やはり「運動」と「勉強」には相関関係があるとみて間違いないようです。

「木のおもちゃ」が知育におすすめな理由。五感を刺激し、集中力を育んでくれる!
PR

文武両道な子どもの特徴3つ

また勉強も運動も得意な子どもには、以下のような特徴がみられることが多いといわれています。

【特徴1:よく歩いている】

フィンランドの調査によると、毎日たくさん歩く子どもは、ストレスに対する抵抗力が高くなり、勉強や宿題を最後までやり通すことが苦にならないといわれています。そのため、毎日の徒歩通学やウォーキングは、子どもの学力向上にも良い影響があるのです。

【特徴2:朝食をとる習慣がある】

文部科学省の調査によると、朝食をとっている子どもほど、テストの点数が高くなるといわれています。また、農林水産省の調査でも、毎日朝食を食べる子どもは体力合計点が高いとされています。勉強や運動で能力を発揮するためには、そのエネルギーとなる朝食が欠かせないといえるでしょう。

【特徴3:何度も繰り返し学べる】

例えば、漢字の読み書きや計算方法を覚えることと、ボールの投げ方を覚えることは、一見まったく違う分野に見えます。しかし、いずれも何度も繰り返すことで、脳から神経に「こうすれば、この漢字が書ける」「こうすれば、ボールがまっすぐ投げられる」という電気信号が発信されるという仕組みになっているのです。そのため、繰り返して学ぶことができれば、運動能力と学力ともに伸ばすことにつながります。

「学力」と「運動能力」の相関関係2

「運動能力」「学力」をともに伸ばすための方法

運動能力と学力をともに伸ばすためには、以下のような取り組みが効果的です。

■心拍数が増える有酸素運動をする

脳の記憶中枢として働く海馬や、情報伝達を担うケーブルの集合体である白質は、運動によって刺激を受けることで成長することがわかっています。また、身体を動かした直後は集中力が高くなることも立証されています。記憶力と情報伝達能力、集中力を向上させるためには、心拍数が1分間で最大150回まで上がるような有酸素運動が効果的。具体的には、なわとびやボール遊び、かけっこなどに取り組んでみましょう。

■“ちょこっと運動” を取り入れる

前述したように、身体を動かすと、その後集中力がアップします。そのため、子どもが宿題などをしているときに集中力が途切れてきたと感じたら、宿題はいったん中断して身体を動かしましょう。数分でできるラジオ体操などを取り入れるのもおすすめです。合間に運動を挟んで集中力を高めることで、集中すべき場面とそうでない場面の切り替えがうまくできるようになることも期待できます。

■集団で行なうスポーツに挑戦させる

サッカーや野球、バレーボール、バスケットボールなど、集団で行なうスポーツでは、それぞれの考えを持つチームメンバーの中で自分の意見を主張したり、他のメンバーの意見を理解したり、自分よりもレベルの高いメンバーにライバル心を燃やしたりといった、さまざまな場面があります。こうした経験は、子どもの思考力や共感力、社会性の向上にもつながります。また、「みんなで協力してひとつの目標に向き合い、悲しみや喜びを分かち合う」「熱中できるものがある」という経験は、子どもにとって一生の思い出にもなります。

「学力」と「運動能力」の相関関係3

***
現代の子どもは、交通手段の発達や公園などの減少などにより、身体を動かす機会が限られています。そのため、意識的にスポーツなどを取り入れる必要があります。親子でスポーツを楽しみ、学力・体力の向上につなげましょう。

文/田口るい

(参考)
農林水産省|1 子供の基本的な生活習慣の状況
東洋経済オンライン|子どもの学力と体力の知られざる深い関係
学研キッズネット|スポーツができる子は勉強もできる!?/子どもが伸びる家庭の10の習慣【第6回】
プレジデントオンライン|なぜ頭のいい人は「運動」が好きなのか
ベネッセ 教育情報サイト|学力も体力も生活習慣が左右!?
ベネッセ ウィメンズパーク|第1回 子供の成長と運動の関係 – スポーツキッズの体と心を応援!