からだを動かす/スポーツ/体操 2020.7.3

コーディネーショントレーニングで運動神経がよくなる! 効果的な練習方法を紹介します

編集部
コーディネーショントレーニングで運動神経がよくなる! 効果的な練習方法を紹介します

いま、コーディネーショントレーニングが注目されています。トレーニングというと、筋トレのような筋肉を鍛えるトレーニングを想像しがちです。しかし、コーディネーショントレーニングは違います。神経に刺激を与えるトレーニングなのです。

「子どもの運動神経をよくしたい!」と考える親御さまは少なくないはず。ぜひ、コーディネーショントレーニングを取り入れてみてください。今回は、「コーディネーション能力をアップさせる方法」をたくさんご紹介します。

コーディネーションとは

コーディネーションとは、1970年代に旧東ドイツで生まれた、アスリートの運動能力向上のための理論です。コーディネーション(coordination)は、日本語にすると「調整」「一致」といった意味になります。ですから、コーディネーション能力とは、状況に合わせて「体の動き」や「力の加減」を調整する能力と言えるでしょう。

私たちの体がスムーズに動くのは、脳と神経が連係しているからです。脳は目や耳から入った情報をすばやく処理して、全身に張り巡らされた神経系(神経回路)に電気信号を送ります。つまり、脳は「どう動くのか」を筋肉に伝えているのです。

東京学芸大学教育学部准教授である高橋宏文先生は、著書『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』のなかで、脳が発信する電気信号について以下のように話しています。

脳と体、あるいは体の部位と部位の「神経回路」がしっかり連係しているほど、電気信号は速く、正しく伝わります。これによって体がスムーズに、そして自分の思い通りに動かせるようになるのです。

(引用元:高橋宏文(2018),『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』, メディア・パル. )

「運動神経がいい」とか「運動センスがある」なんて言うことがありますよね? 自分の体を自由自在に動かせる「運動センス」の正体は、コーディネーションだったのです。

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コーディネーション能力がぐんぐん伸びる年齢

高橋先生は、「コーディネーション能力は幼児期・児童期に伸ばすべき」と話しています。なぜならば、神経系は子ども時代に急激に成長し、5歳くらいで成人の80%、12歳にはほぼ100%まで発達してしまうから。ということは、私たち大人のコーディネーション能力は12歳あたりからほとんど変化していないのですね……。

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(画像引用元:国立スポーツ科学センター|女性アスリート指導者のためのハンドブック「発育・発達について」

この神経系が発達を続けている幼児期・児童期に、さまざまな動きを経験すればするほど、神経系は刺激され、運動神経がよくなると言われています。

山梨大学教育学部長で身体教育学が専門の中村和彦教授も、著書『運動神経がよくなる「からだ遊び」―小学校入学までに差がつく!』のなかで、「日本のトップアスリートたちの約6割は、幼少期に毎日2時間以上遊んでいた」と話しています。現在のトップアスリートたちは、子どもの頃のさまざまな遊びを通して、自身の神経系を刺激していたのです。

12歳くらいまでのあいだにさまざまな動きを経験することが、コーディネーション能力向上のポイントなのですね。

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コーディネーションの「7つの能力」

コーディネーション能力は、「定位能力」「反応能力」「連結能力」「識別(分化)能力」「リズム化能力」「バランス能力」「変換能力」という7つの能力に分けられます。この7つの能力は、それぞれが個別なものではありません。何かの動作や運動をするときは、7つのうちのいくつかの力がお互いに連動して、体を自分の思ったとおりに動かしているのです。

それぞれの能力をひとつずつ確認していきましょう。

◆定位能力

相手や味方、ボールなどと自分の位置関係や距離を感じる力、把握する能力
ボール投げであれば、相手が1メートル先にいるのと、5メートル先にいるのとでは、必要な力が変わってきますよね。その判断をする力が定位能力です。
(例)縄跳びで回る縄を跳び越す、人とぶつからずに走る

◆反応能力

合図にすばやく、正確に対応する能力
音や人の動きなどの情報をすばやく察知して、正しくスピーディーに動き出す力です。
(例)短距離走で合図と同時にスタートがきれる、速いボールに対して体が動く

◆連結能力

関節や筋肉の動きをつなげ、スムーズに動かす能力
いくつかの異なる動作をスムーズにつなげて、流れるような一連の動きにする力でもあります。
(例)移動して、ボールを取り、そして投げるまでの動作がスムーズにできる

◆識別(分化)能力

手や足、用具を意のままに操作する能力
力を入れる、すっと力を抜く、徐々に力を入れるなど、必要なときに必要なだけの力を出力する “器用さ” のことです。
(例)バットやラケットをコントロールする、ボールを速く投げたりゆっくり投げたりする

◆リズム化能力

タイミングを計ったり、動きをまねしたり、イメージを表現する能力
目で見た動きを、自分の体でできる力です。この能力がないと動きがぎこちなくなってしまいます。
(例)パスがタイミングよくできる、縄跳びで一定のリズムで跳べる

◆バランス能力

必要な体勢を保つ能力
体勢が崩れたときに、立て直すことができる力であり、不安定な物の上や空中で体勢を保ち、動ける力です。
(例)スノーボードに乗る、空中でボールをキャッチして乱れずに着地する

◆変換能力

状況に合わせてすばやく動作を切り替える能力
急な変化に対して、適切な動きをとれる力です。状況判断、身体操作、定位能力、反応能力などが複合的に関わっています。
(例)並走している相手がダッシュをしたら自分も速度を上げられる、バウンドが変わったボールを捕球する

次項では、7つの能力すべてをアップさせるコーディネーショントレーニングを紹介します。

コーディネーション4

コーディネーション能力をアップさせる遊び

コーディネーション能力は、遊びのなかで伸ばすことができます。高橋先生は、7つのコーディネーション能力すべてをアップさせる遊びとして、「キャッチボール」を挙げています。

たとえば、相手やボールとの距離感を測るのですから「定位」が含まれますし、タイミングよくボールを離さなければなりませんから「リズム化」も含まれます。安定したフォームで投げるには「バランス」が必要ですし、ボールやグラブといった用具を使うには「識別」の力も必要。ほかにも「反応」「連結」の力も鍛えられますし、相手が投げたボールがそれるようなことがあれば、「変換」の力も必要でしょう。

(引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|自らの体を自在に動かす“7つの能力”と「運動センス」を高める意外な方法 ※太字による強調は編集部が施した)

野球ボールだけでなく、ドッジボールビニールボールなど、いろいろな大きさのボールを使うと効果がアップするそうです。「えー! ただのキャッチボール!?」なんて言わずに、お子さまと一緒にコーディネーショントレーニングをしてみてくださいね。

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効果抜群! コーディネーショントレーニングメニュー

次に、それぞれの力を向上させるコーディネーショントレーニングをご紹介します。以下の注意点に気をつけながら、コーディネーショントレーニングを実践してみてくださいね。

  • 親が最初にやってみせるなどして、子どもが動きを正確にイメージできるようにする。
  • 同じ動きが続くとマンネリ化するので、「より正確に」「より速く」「より大きく動く」など、常に新しい刺激を脳に与え続ける。
  • メニューをどんどん変える。
  • 1回のトレーニング時間は30~40分。1週間に数回で十分。心身がフレッシュなときに行なう。

■物や人との位置関係を把握するトレーニング【定位能力】

<ボールを見よう>

  1. 大人が転がしたボールをジャンプして飛び越える
  2. すぐにボールを取って大人に投げ返す
  3. もとの場所に戻って仰向けに寝る
  4. 大人が投げたボールを上半身を起こしてキャッチ

※5回ほど繰り返す

■合図にすばやく正確に対応するトレーニング【反応能力】

<鏡になろう>

  1. 大人と同じ動きをすばやく正確にまねをする
  2. 20~30秒間続ける

※大人はわかりやすい大きな動きをする

■身体をスムーズに動かすトレーニング【連結能力】

<ボール運び>

  1. 仰向けに寝た状態で両手を伸ばしてボールを持つ
  2. 両手両足を上げて、手のボールを足で挟む
  3. 両手両足を上げて、足のボールを手で挟む

※1~3を3回ほど繰り返す

■手足や用具を操作するトレーニング【識別(分化)能力】

<紙コップでキャッチ>

  1. 小さなボールを上に投げる
  2. 紙コップでボールをキャッチする

※紙コップを下にスッと下げてボールの勢いを殺すと◎

■動きをまねる、タイミングを計るトレーニング【リズム化能力】

<お手玉>

  1. 左右の手に1つずつお手玉を持つ
  2. 右手でお手玉を上に投げる
  3. 左手のお手玉を右手に移し、左手でお手玉をキャッチする

■体勢を保つトレーニング【バランス能力】

<バランスがとれるかな>

  1. 両腕を横にまっすぐ伸ばした状態で、片足で立つ
  2. そのまま目を閉じて30秒バランスを取り続ける

■状況に応じて動作を切り替えるトレーニング【変換能力】

<ハンドテニス>

  1. ふたりで向かい合う
  2. なるべくワンバウンドで、手でボールを打ち合う

コーディネーショントレーニングは、子どもが「楽しい!」と思うことが一番大切です。うまくできない子どもを見ていると、つい「どうしてできないの」「そうじゃないでしょう」などと言ってしまいがちですが、否定の言葉では子どもの能力は引き出せません

また、子どもの年齢や体力、現在のコーディネーション能力によって、コーディネーショントレーニングは変わります。無理に難しいコーディネーショントレーニングに挑戦させるよりも、いまのお子さまが楽しめるメニューを提案してあげてください。

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コーディネーショントレーニングにおすすめの本

コーディネーショントレーニングの本はたくさんありますが、そのなかでも特におすすめの本を3冊ご紹介します。ぜひ親子一緒に取り組んでみてくださいね。

小学校入学前のお子さまにぴったりな本

小さなお子さまでも、楽しみながら「バランス」「リズム」「反応」「操作」「認知能力」をアップさせることができます。簡単にできる運動150例、年齢別プログラム30例を紹介。

 

運動が苦手なお子さまも楽しくトレーニングできる本

「子どもたちの運動神経はもっと伸ばすことができる!」と著者の高橋宏文先生は言います。運動センスを磨くためのコーディネーショントレーニングがステップごとに紹介されているので、運動が大好きな子も苦手な子も楽しくトレーニングできるはず。

 

目で見てわかる! 動きが理解しやすい本

遊び感覚でできる運動や、ボールを使った運動など、子どもを飽きさせないトレーニングばかりが収録されています。DVDつきなので、コーディネーショントレーニングの動きがしっかりイメージできるでしょう。

 

特定のスポーツの「コーディネーショントレーニング」

また、コーディネーショントレーニングは、バスケットボール、サッカー、テニス、バレーボールなど、どんなスポーツにおいても有効なのだそう。もしお子さまが、何かスポーツを頑張っているのであれば、専門性の高いコーディネーショントレーニングを取り入れてみてもいいかもしれません。

■バスケットボールのコーディネーショントレーニング

ユニークな練習方法がたくさん収録されています。遊び感覚でトレーニングをしているだけで、知らないあいだにグンとバスケット技術がアップするそうですよ!

 

■サッカーのコーディネーショントレーニング

コーディネーショントレーニングを積極的に取り入れることによって、パスやドリブル、ボールコントロールなどの基礎技術が短期間で習得できるようになりますよ。

 

■テニスのコーディネーショントレーニング

運動神経を高めて脳を活性化させる、新しいテニスのトレーニング本です。ボレー、グランドストローク、レシーブ、サーブ、スマッシュを強くする方法がたくさん詰まっています。

 

■バレーボールのコーディネーショントレーニング

バレーボールに必要な機能を高めるコーディネーショントレーニングメニューだけでなく、レシーブ、トス、スパイクの基本から、ポジション別、戦術の発展練習まで、“勝つチーム” を目指す練習メニューが満載です。

 

コーディネーショントレーニングにおすすめのグッズ

コーディネーショントレーニングが楽しくなるグッズもありますよ。お子さまが喜んでトレーニングしてくれそうなグッズを選んでみてくださいね。

■クレージーボール
どこにバウンドするのかわからないクレイジーボール。「識別(文化)能力」や「反応能力」が驚くほどアップします。

 

■バランス8
10歳前のお子さまにおすすめの8の字型平均台です。大人も遊べるので、親子で競争してみてはいかがでしょう。

 

■バランスストーン
「バランス能力」はもちろんのこと、「リズム化能力」アップに効きますよ。室内・屋外どちらでも使用可です。

 

楽しく遊びながら、コーディネーショントレーニングができるなんてうれしいかぎりですね。

コーディネーショントレーニングが体験できる運動教室

子ども向けのコーディネーショントレーニングは「キッズコーディネーショントレーニング」と呼ばれることが多いようです。キッズコーディネーショントレーニングを取り入れた運動教室をご紹介します。

■キッズスクール「運動塾」
コナミスポーツクラブのキッズ向け体操スクールです。なんと4ヶ月のお子さまからレッスンに参加することが可能。お子さまの発育発達に合わせたレッスンメニューに沿ってレッスンが進むので、楽しく運動能力を伸ばすことができそうです。

■biima sports
3歳〜10歳までの、まだ専門的にスポーツを始める前のお子さまを対象としたスポーツ教室。早稲田大学教授陣と共同開発した“最新のスポーツ科学”に基づいたレッスンで「基礎運動能力」を高めることができます。

■リアルフィジカル運動教室
プロの「キッズコーディネーショントレーナー」が指導してくれる、ワンランク上の運動教室。コーディネーショントレーニングを取り入れた独自のカリキュラムは、運動が苦手なお子さまだけでなく、運動好きなお子さまの能力をも伸ばします。

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キッズコーディネーションの資格

「もっとキッズコーディネーショントレーニングについて知りたい」という方は、「キッズコーディネーショントレーナー」の資格を取得してみてはいかがでしょう。子どもの発育発達や心理、トレーニング方法についての正しい知識を習得できますよ。

<プログラム内容>
第1章 Coordination Training基礎理論
第2章 スポーツ医学
第3章 エクササイズの実践
第4章 Lessonの進め方
第5章 Lesson Plan
第6章 コーチング
第7章 発達心理学
第8章 KIDSビジネス
第9章 日本の教育の現状
第10章 エクササイズ集

詳しくはこちら↓
■キッズコーディネーショントレーナー資格(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)

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運動センスの正体である、コーディネーション能力。できれば12歳までに磨いてあげたいものですね。子どもの運動神経は、トレーニングをすればするほど、ぐんぐん伸びていきます。「親子で楽しくコーディネーショントレーニング」を今日から始めてみませんか?

(参考)
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「運動センス」の正体とは? コーディネーション・トレーニングが磨く“内観力”
高橋宏文(2018),『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』, メディア・パル.
中村和彦(2013),『運動神経がよくなる「からだ遊び」―小学校入学までに差がつく!』, PHP研究所.
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|自らの体を自在に動かす“7つの能力”と「運動センス」を高める意外な方法
J-STAGE|コーディネーション運動が幼児の運動能力に与える 効果―投球・捕球能力の量的変化と質的変化―
国立スポーツ科学センター|女性アスリート指導者のためのハンドブック「発育・発達について」