からだを動かす/スイミング 2019.11.29

子どもがスイミングで進級できないときに “親ができる” 4つのこと

子どもがスイミングで進級できないときに “親ができる” 4つのこと

「進級テストを何度も受けたけれど進級できない」「最初は順調に進級していたのに、急にテストに受からなくなった」など、スイミングスクールで思うように結果が出ないと、子どものモチベーションが下がり始めてるのではないかと心配になりますよね。

そんなときに親は何ができるのでしょうか? 4つのことを説明します。

1. 大きな目標と小さな目標を立てる

日本水泳連盟競泳委員長の上野広治氏は、上達のポイントとして自分に合った練習メニューを組み立てることをあげています。その最初の一歩が目標設定です。上野氏は、目標を設定せず、ただ毎日練習を重ねても、モチベーションの維持は難しいといいます。

世界水泳選手権などですばらしい結果を残している入江陵介選手は、コーチと一緒に大きな目標と小さな目標を設定したのだそうです。大きな目標は「8年後の2012年ロンドン五輪に出場し、メダルを獲る」こと。しかし、これだけでは現実感がないので、いま頑張れば実現できそうな目標も細かく設定したといいます。

たとえば高校生のときは、高校生の中で1番になる、高校生の新記録を出すという目標を立てました。それも大きな目標なので、まず入学直後の日本選手権では16位以内に入ることを目標にしました。結果として6位になり、本人も驚くほど良い結果に。そして大きな目標としていたロンドン五輪では、なんと3つのメダルを獲得したのです。

目標を細分化することは脳科学の面でも有効だと、脳科学の澤口俊之氏はいいます。頑張りが実を結ぶことによって脳内からドーパミンが分泌されると、やる気や能力が高まるのだそうです。子どもと一緒に目標や練習メニューについて話し合ってみましょう。

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2. 日々の練習をノートに記録しよう

目標が決まったら、いよいよ実践です。上野氏は、次のような内容を記録した練習ノートをつけると良いといいます。

  • 練習で感じたこと
  • 反省点
  • 嬉しかったこと
  • つらかったこと

 
日々の練習をノートに記録するのは、競技に限らず多くのアスリートが実践しています。たとえば、フィギュアスケートの羽生結弦選手は、「発明ノート」と名づけて記録をつけています。

テレビのインタビューでは、「調子が悪くて何が何だかわからなくなったときに、昔の自分の言葉とかを見て頑張っています」と答えています。中でもいちばん読み返すのが、「絶対に 勝ってやる」という言葉だそうです。

(引用元:東洋経済オンライン|道を究めた人は「自分ノート」に何を書いたか

教育評論家の親野智可等氏によると、書くことで考えが深まり、記憶に残って次に活きるのだそうです。だからこそ、こうしたノート術があることを、大人が子どもに教えてあげるべきだといいます。

ただし、強制させて「書くこと」自体に悪いイメージを持たせてはいけないので、まずは子どもが書きたいと思うことから、楽しく練習ノートをつけるよう声をかけてみましょう。

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3. 目標とする水泳選手を一緒に研究する

また、モチベーションを維持する方法には「モデリング」があります。モデリングとは、自分の望む結果を出している人の行動や思考をまねることで、自分も同様の結果を得るというテクニックです。ダイエット中の女性が、憧れのモデルの写真をスマートフォンなどの待ち受け画像にしてやる気に火をつけるのも、モデリングのひとつといえます。

憧れの水泳選手や同じスイミングスクールに通うライバルなど、目標となる人を見つけ、彼らについて子どもと一緒に研究してみましょう。たとえば、日本水泳連盟会長・青木剛氏によると、北島康介選手の平泳ぎは、足首をしっかり曲げて、足の裏で水をつかむように強いキックをするのが、世界トップレベルのスピードを生み出していたのだそうです。

このように、なぜ彼らの泳ぎはすごいのか親子で話し合ってみたり、書籍などで調べたりすると、自分の泳ぎの弱点も見つけられます。また、入江選手はライバルの存在は欠かせないものだといいます。同じスクールの生徒の泳ぎも注目すると、より良い発見ができるかもしれません。

陵介は、ライバルたちにも感謝する。ライバルがいるから、陵介は水泳を頑張れる。陵介にとってライバルは、おたがいに一生けんめい練習した成果を出して、いいレースができる仲間でもある。

(引用元:入江陵介 (2013),『夢に向かって泳ぎきれ: 水泳・入江陵介』, あかね書房.)

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4. 練習後のケアを見直す

練習後の疲労を残さないためのケアも大切です。たとえば上野氏は、クーリングダウンのために、練習後、全力の40%くらいの力で10~15分ほど泳ぐと良いといいます。また、青木氏は、ケガをしない体づくりのために、アフタースイミングの水中ストレッチを推奨します。これらのアフターケアがしっかり行なわれているか確認し、不十分な場合はスクールの先生に相談するとよいでしょう。

ご家庭では、食事休養を見直してみましょう。特に、タンパク質や鉄分を意識して摂取すると、疲労回復に役立ちます。補足として、練習前にはバナナのような消化に良いものでエネルギー補給をするのがおすすめです。

スイミングスクールがない日も陸上トレーニングに励んでいるお子様もいるかもしれませんが、しっかり体を休める日を作ることも大切だと上野氏はいいます。また、体の成長をたすける日々の睡眠も重要です。

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進級テストになかなか合格できないと、お父さんやお母さんも心配になりますよね。しかし目標設定や練習内容の見直しを通して、水泳の楽しさや自分の弱点などを発見できると、大きく前進する可能性があります。楽しくスイミングが続けられるよう、温かくサポートしてあげましょう。

文/かのえかな

(参考)
上野広治 (2015),『みるみる上達!スポーツ練習メニュー 7 水泳』, ポプラ社.
入江陵介 (2013),『夢に向かって泳ぎきれ: 水泳・入江陵介』, あかね書房.
THE21オンライン|脳科学から見えてきた!やる気を高める4つの方法
東洋経済オンライン|道を究めた人は「自分ノート」に何を書いたか
NLP-JAPAN ラーニング・センター|NLP用語集:モデリング
青木剛 (2005),『水泳―オリンピックのスーパースイムでうまくなる! (めざせ!スーパースター)』, ポプラ社.