教育を考える/体験 2018.9.10

失敗を成長の糧にするためのポイント。親は我が子の失敗とどう向き合えばよい?

編集部
失敗を成長の糧にするためのポイント。親は我が子の失敗とどう向き合えばよい?

子どもには失敗よりむしろ成功体験を積ませたほうがいい。いや、失敗こそが学びの機会だ――。どちらの考え方も、よく耳にしますよね。

人生には失敗はつきもの。ですが、幼い子どものうちからどんどん失敗経験をさせたほうがいいのかと問われると、少し考え込んでしまう親御さんは多いのではないでしょうか。

親は我が子に、失敗とどう向き合わせればよいのでしょう。子どもが失敗した時、あるいは失敗しそうになったとき、親はどう関わってあげればよいのでしょうか。子どもの成長につながる失敗との付き合い方について考えてみます。

「失敗よりむしろ成功させるべき」は本当?

「子どもには、積極的に成功体験を積ませるべきだ」ということが良く言われます。その理由は、成功体験が自己肯定感を育むことにつながるから。

自己肯定感とは「自分は大切な存在だ」と感じる感覚のこと。子どもの自己肯定感を育むには、乳幼児期のうちに大人がしっかりと子どもに向き合い安心感を与えたり、成功体験を積ませたりすることが大切だと言われています。

成功を重ねれば、自分はできるという自信が生まれます。これが自己肯定感です。自分を肯定する感情があると、さまざまなことにチャレンジする意欲が湧き、困難にも立ち向かえるようになるほか、いろいろな人と関わりながら多くの経験をすることができるのです。

このように、成功体験は子どもの自己肯定感につながるのですから、子どもに成功を経験させるのは当然大切であり必要なこと。しかしこれを聞いて、「ならば我が子には、失敗するようなことにはチャレンジさせず、成功できそうなことをどんどんやらせよう!」考えてしまうのはいささか短絡的です。なぜなら、「成功体験だけが重要であり、失敗させるべきではない」というわけではないからです。

子どもの「失敗の機会」を奪っていませんか?

失敗は言うまでもなく、成長につながる学びを得る絶好のチャンスです。大人にとってそうであるように、子どもにとっても、失敗は大事な経験。失敗しない人生などありませんし、今は幼い子どもたちも、近い将来必ずどこかで失敗を味わう日が来るはず。そうなる前に失敗を経験しなかったら、本当に失敗してしまったときの対処の仕方を知らずに育つことになってしまいますよね。困難に直面した時にすぐ諦めるような子どもになってしまうかもしれません。

それなのに、成功体験を積ませたほうがいいからと、成功できそうなことばかりを選んだり、失敗してしまいそうなことを避けたりしている親御さんはいませんか? あるいは、まだ失敗してもいないのに、子どもが失敗しそうになっただけでつい声を荒げたり叱ったりしてしまってはいませんか?

もちろん、生命の安全に関わるような明らかな危険行為や、周囲の人や社会に迷惑をかけるような行為をしでかすことは避けるべき。しかし、「自分でチャレンジしてみた結果、失敗を経験する」ということは、長い目で見て必ず子どもの成長の糧になります。もし、子どもの成功を追い求めるあまり失敗を避けていることに気づいたのなら、成功体験だけでなく失敗経験も同じぐらい大事だということを、理解したほうがよさそうです。

子どもの失敗とどう向き合うか

ではここからは、子どもにはどのように失敗を経験させればいいのかを考えてみましょう。

■ 「前向きな失敗」を経験させよう

子どもに、自分が夢中になれることにチャレンジする過程で失敗を経験させてみましょう。自分の好きな分野で何か目標を決め、「これを頑張る!」ということを宣言させます。宣言させたら、失敗を含めたチャレンジの過程を見守るのです。

好きなこと、興味があること、自分から進んで取り組めることなら、何でも構いません。自転車の練習、料理のお手伝い、習い事のダンスレッスン、新しい漢字を覚えること……。好きなことなら、失敗しても前向きにまた頑張れるはず。失敗してもチャレンジを続けることで、忍耐強く取り組む姿勢を養うことができるでしょう。

■ 子どもが失敗した時の対処法

自転車の練習をしていて何度も転ぶ。お母さんの料理を手伝ったらお皿を割ってしまった。先生のお手本通りにダンスが踊れない。なかなか書けるようにならない漢字がある……。そんな子どもの失敗に、親はどう対応するべきでしょう。ポイントを3つ紹介します。

1. 必要以上に叱らない
「だから言ったでしょう」「こんなに難しいこと、どうせできないのに」。子どもが、自分の身の丈に合わない無謀な挑戦をしている時や、親が困るような失敗をした時、つい子どもの失敗を叱責してしまうのはよくあることでしょう。できもしないことをやろうとして案の定失敗すると、否定的な言葉を言ってしまいたくなるものですよね。

そんな場合でも、すぐさま子どもの失敗を責めたり必要以上に否定したりしないようにしましょう。子どもは、失敗を恥だと感じ、チャレンジ精神を失ってしまいかねません

2. 失敗がすぐさま成長につながるわけではないと心得る
子どもが同じ失敗を繰り返すと、「何度同じことを言わせるの!」「昨日も同じ失敗したじゃない」などと言ってしまうことがあるでしょう。ですが、子どもにとってこの言葉はあまり意味がないかもしれません。

教育評論家の親野智可等氏は、「子どもは本質的に自己改造への強烈なモチベーションを持つことができない」のだと言います。大人なら、失敗したことを反省し、次からは気を付けて行動することができますよね。ですが子どもは、失敗をすぐに次につなげられるとは限りません。自分の将来や人生のことを真剣に考えられるような年齢でないと、失敗を糧に成長しようという意識を持つことができないのだそうです。

親にしてみれば、「失敗したのだから次は失敗しないように気を付けてほしい」と思うものですが、子どもはすぐに成長できるわけではありません。長い目で見れば、いつか失敗しなくなります。そのことを心得ておけば、子どもの失敗を必要以上に責めることもなくなるのではないでしょうか。

3. 具体的にアドバイス&努力とプロセスは評価する
失敗からすぐに学べないとはいっても、失敗したからといって放っておけばいいというわけではありません。失敗しなくなるような工夫をしてあげたり、的確なアドバイスをしてあげたりすることは大事です。「手に泡がついたままお皿を持つと、すべって割れちゃうよ」「先生のダンスと○○ちゃんのダンス、ビデオで見比べてみようか」など、どうしたら失敗しなくなるのか、どうすれば次はうまくいくのかを、具体的に伝えるのです。

子どもを励ますつもりで、「あなたならできるよ」「○○ちゃんは頭が良い子だから、次は間違えないで答えられるよ」などと声をかける親御さんもいるかもしれません。しかし、これらのような才能・人格を絡めたコメントをするのは避けるべき。また同じ失敗をしたときに、「自分にはやっぱり才能がない」と考え、挑戦するのを止めてしまう可能性があります。

その代わりに、「今日は1時間も集中したから、昨日に比べて上達したね」といったように、たとえ失敗したのだとしても努力したという事実は評価してあげましょう。そうすることで、時間と努力を重ねれば失敗を乗り越えられる、と信じることのできる子どもになります。困難にも粘り強く取り組める心を養うことができるでしょう。

■ 親が失敗談を話す

失敗に価値があることはわかっても、やはり失敗させたくないことはありますよね。学校に行くときは忘れ物をしてはいけない。お友達に乱暴なことを言ったら、人間関係が壊れてしまう――。そんな場合は、親が失敗談を話してあげることをお勧めします。

子どもの頃の失敗談でも、最近の失敗でもいいでしょう。「この間、買い物に行ったのにお財布を家に忘れちゃったの。あの時は、買い物しないまま帰るしかなくて困ったよ」「子どものころ、友達にひどいことを言っちゃって。相手を傷つけてしまったことを今でも後悔しているんだ」などと話せば、子どもにとって良い教訓になります。

親は子どもにとって、何でもできるスーパーマンのような存在。そんな親でも失敗することがあるんだと分かると、子どもも安心してチャレンジしてみようと思えるでしょう。子どもは親への親しみや信頼をより強く感じるようになり、素直に学ぼうとしたりもするはずです。

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子どもに成功を味わわせたいからといって、失敗を避けていてはいけません。親と子どもが一緒になって失敗と上手に向き合うことが、失敗を恐れずチャレンジする子どもを育てるために大事なことなのです。

(参考)
ベネッセ教育情報サイト|大人になった時に影響が?!子どものうちに自己肯定感を高めよう!
PHPファミリー|子どもが失敗したときのお母さんの話し方
教育研究所ARCS|子どもにたくさんの失敗を経験させよう
ベネッセ教育情報サイト|子どもの成長の糧になる「失敗」とは? 専門家がアドバイス
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