教育を考える 2019.6.6

「生活習慣」を整えて学力アップ! すぐに効果が出る “子どものためのR-PDCAサイクル”

編集部
「生活習慣」を整えて学力アップ! すぐに効果が出る “子どものためのR-PDCAサイクル”

子育てをしていて、「悩みがひとつもない」と言い切れる親御さんは、いないのではないでしょうか。ほとんどの人が、大なり小なり子どもにまつわる悩みを持ちながら、ひとつひとつ解決していく努力や工夫を繰り返しているはずです。

今回は、あらゆる悩みや心配事を追求すると必ずたどり着く『生活習慣力』を身につける方法をお教えします。

すべての悩みはつながっている!

「朝食を食べない」「好き嫌いが多い」「朝起きられない」など生活にまつわる悩みから、「なかなか宿題をやらない」「忘れものが多い」「苦手な教科についていけていない」など学習や学校生活に関する悩み、さらに「お友だちとのトラブルが多い」「休み時間はいつもひとりで過ごしているようだ」「自分の気持ちを言えずに我慢しがち」などメンタルに関する悩みまで、親はいつでも子どもの心配をしてばかりです。

どんなに毎日注意しても、子育て本を何冊読んでも解決しない……。すると「私の育てかたが間違っているのかな?」と余計不安になってしまいますよね。しかし、それらの悩みは、生活習慣を見直した途端に驚くほどスムーズに解決できることもあるのです。

発達心理学を専門とした目白大学専任講師の荒牧美佐子先生は、次のように解説しています。

基本的な生活習慣は、日々の生活の流れの中にありますから、そのうち何か一つだけを身に付けさせようとしてもうまくいかず、それぞれが影響し合い、全体的な成長を遂げていきます。(中略)こうした負のスパイラルに陥らないよう、保護者のかたには、お子さまが気持ちよく生活が送ることができるようなサポートをしていただきたいです。

(引用元:ベネッセ教育情報サイト|小学校での学びの土台を作る 子どもの生活習慣【基礎編】

心身ともに不健康な状態だと、集中力が低下したり情緒不安定になったりします。また、どんなに勉強時間を増やしたところで、土台となる生活習慣が乱れていると学習内容は身につきません。

ベネッセ総合研究所が実施した「幼児期の家庭教育調査・縦断調査」によると、生活習慣の定着している子どもほど、学びに向かう力が高いことが明らかになっているそう。

生活習慣力を身につけることは、先を見通す力につながります。たとえば、休み時間にトイレに行って次の時間の準備をしておくことで、結果的に授業にも集中できる、といった良いサイクルをスムーズにつかめるようになるのです。

基本的な生活リズムを固定したうえで勉強時間を確保することが、子どもの健やかな精神や学力向上の支えとなるのは当然ですね。では、高い生活習慣力を身につけるには、どのような工夫が必要なのでしょうか?

まずは「現状把握=自分を知る」ことから

PDCAサイクルという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ビジネスシーンではよく耳にするこの言葉、会社の業務や製品を改善するために用いられる考え方を意味します。

P 目標を設定し(Plan)
D 行動し(Do)
C 振り返り(Check)
A 改善する(Action)

簡単にいうと、“計画的に行動して、その成果を評価する” というサイクルを繰り返すことで、仕事のやり方を改善する手法です。最近では、常に変化する現状を把握する必要もあるという考えから、「R 自分を知る(Research)」が加えられるようになりました。これによって、自分の強みや弱みに気づき、目標達成までの過程を自己管理できるというわけです。

ビジネスシーンでは当たり前のように浸透しているR-PDCA。実はこの手法、子どもの生活習慣力アップにも活用できるのです。

ポイントは、親や教師から “やらされる” のではなく、“自発的・自律的に” 目標を設定して行動し、その行動の成果を振り返って改善する習慣をつける、ということ。つまり、子ども自身に自己マネジメント力をつけてもらうのが最終的な目的です。

自己マネジメント力をつけると、子どもの思考は次のように変化していきます。
「夢を実現するために、自分に合う勉強の仕方に変えていこう」
「もっとテレビやゲームの時間を減らして読書に回してみよう」
「教科書に出てきた作家のほかの作品も読んでみよう」
このように、自分の生活と学習の実態を把握して、改善策を考えて実行するようになるのです。

R-PDCAサイクルで子どもの意識がみるみる変わる!

早稲田大学教職大学院の田中博之教授が提唱している小学生向けのR-PDCAサイクルは、「子どもが自分の時間を可視化して把握するのに役立つ!」と、多くの保護者の方たちから支持されています。

実際に始める前に、まず1冊のノートを用意しましょう。市販の書き込み式R-PDCAサイクルノートもあるので、使いやすいものを選ぶといいかもしれません。


田中博之 監修(2018年),『3・4年生用 小学生のための生活習慣力アップノート』,日本能率協会マネジメントセンター.

■RーPDCAサイクル実践方法

「R」(Research)
まず、自分を知ろう!
自分の性格や得意なこと、苦手なこと、好きなことを知るための「マイページ」をつくります。個性を伸ばし、苦手を克服するために何が必要なのかを把握することが目的です。好きな遊び、好きな食べ物、どんなことをしているとき楽しいのか、1年後の目標、将来の夢や目標を書きましょう。

「P」(Plan)
今月の予定を書こう!
予定が一覧できるようにスケジュール帳形式が◎。今月中にどんなことができるようになりたいのか、いつまでにやらなければならないのか、色つきのペンやシールなどで目立つように印をつけましょう。

今週の計画を書こう!
早寝、早起きをする。ご飯を残さず食べる。算数のドリルを1日2ページやる、など1週間単位での目標を書きます。そして、1週間の終わりに、目標をクリアできたか見直しましょう。マルをつけてチェックするなど、成果を可視化するのがポイントです。

「D」(Do)
計画に沿って実際に行動しよう!
計画通りに行動するのが難しい場合は、状況に応じて変更してもかまいません。

「C」(Check)
毎日書き込もう!
日記のような感覚で、毎日書く習慣をつけます。
「今日やることリスト」や「生活チェックリスト」では、犬の散歩をする、家のお手伝いをする、などチェック項目はできるだけ細かくしましょう。クリアしやすいので達成感が得られます。ほかにも「今日のできごと日記」では、絵や文章で1日を振り返ります。最後には必ず「おうちの人からひとこと」を。

週の終わり、月の終わりには親子で一緒にノートを見ながら振り返りましょう。チェックリストによって客観的に分析できます。

「A」(action)
反省点を次に活かそう!
「時間配分がうまくいかなかったから、次回は算数の勉強時間を長めに確保しよう」など具体的な計画を立てます。

上記のサイクルを繰り返すことで、生活習慣力がアップして計画通りに行動できるようになります。また、月の終わりに保護者が「できたこと」をフィードバックすると、子どもは自信がつき、自己肯定感アップにもつながるでしょう。

***
生活習慣を規則正しく整えることが、子どもの健康と学力向上を考えるうえで大切なのはわかりきっていても、実際にどこから整えていけばいいのかわからない……。

そうお悩みの保護者の方は、ぜひ、R-PDCAサイクルを試してみてください。1冊のノートを通じて、子ども自身は自分の頭の中を整理でき、親は子どもが何を考えているのかを把握できるので、適切なアドバイスを与えられるでしょう。

(参考)
ベネッセ教育情報サイト|小学校での学びの土台を作る 子どもの生活習慣【基礎編】
ベネッセ教育総合研究所|自己マネジメント力が子どもの総合学力を伸ばす
日経XTREND|小学生向け「PDCA本」が親心をつかんだ理由
田中博之 監修(2018年),『3・4年生用 小学生のための生活習慣力アップノート』,日本能率協会マネジメントセンター.