あたまを使う/国語 2018.7.4

いつになったら直るの? 子どもの「ひらがな」「カタカナ」の書き間違いや「鏡文字」

編集部
いつになったら直るの? 子どもの「ひらがな」「カタカナ」の書き間違いや「鏡文字」

お子さまが、覚えたてのひらがなやカタカナを書くとき、ときどき左右反転している文字が混ざっていることはないでしょうか。また、画数が多かったり少なかったりすることもあるかもしれません。

かの有名な天才レオナルド・ダ・ヴィンチや『不思議の国のアリス』を書いたルイス・キャロルは、左右反転の鏡文字と正しい向きの文字を難なく使い分けたそうですが、とはいえ、まずは正しい文字をきちんと身につけてもらいたいというのが親心ですよね。

文字の間違いを直してほしいと思って教えてみても、なかなか正しく書くことができないお子さまへの対処法を、間違え方のケースに分けて考えてみたいと思います。

ケース1:文字が左右上下反転する「鏡文字」

左右や上下に反転させた「鏡文字」を書いてしまうケースです。逆さ文字、裏文字、鏡映文字とも呼ばれていて、わりと多くの子どもが経験します。鏡文字を書く子は「左利き」だったり、幼児期で脳の発達が未熟なため、左右を素早く理解できないことが原因として考えられるそうです。

スイスの心理学者ジャン・ピアジェの認知発達論をふまえ、「教師主導の保育ではなく、子どもが主体的に活動できるような指導を目指している」幼児教育株式会社は、幼児の鏡文字について以下のように説明しています。

鏡文字は、幼児が左右の関係把握が難しいことと、利き手がまだ分化していないことにより現れます。つまり幼児では、大脳の右半球と左半球の働きが未分化だからです。だから、発達的には、鏡文字を書くのは普通のことであって、心配する必要はありません。大脳の成熟とともに、空間の関係把握の働きが発達し、ごく自然に修正されていきます。

(引用元:ポプリス|幼児の行動のふしぎ

例えば、大人になってからも街なかのウインドーディスプレイなどで反対側から見た「さ」の文字を「ち」と誤読してしまったという経験はないでしょうか。それによく似た状況が子どもたちの脳の中で起きていると考えればイメージしやすいかもしれません。

子どもに左利きの傾向が強いと感じるようであれば、文字を教えるときに「左利きの視点」で説明すると、すんなり理解してくれることがあります。例えば、「さ」の一画目のような横線を1本「引く」という動きであれば、右利きの子どもは「左から右へ引く」と正しい書き順になりますが、左利きの子どもが「引く」という動作をすると「右から左へ」逆方向に線を引いてしまいます。左利きの子どもには「左から右へ押す」イメージを伝えるのが正しく書きやすくなるコツになるわけです

ケース2:形が似ている文字の混同

これは子どもが文字を覚えるときのみでなく、外国人学生が日本語を学習するときにも起こりやすいケースです。

ひらがなやカタカナには一見すると形がよく似ている文字が多く存在します。具体的には「さ→き」「は→ほ」「し→も」「い→こ」「ろ→る」「わ→ね」「め・ぬ・あ」など。文字の形状がよく似ていることが見間違いを引き起こしているため、幼児期だけでなく、青年期や成人で初めてひらがなやカタカナに出会う日本語学習者にも見られる傾向です。

このような文字の形状が似ていて間違いやすいものは、自宅に一文字ずつ書かれた積み木のようなおもちゃがあれば、似ているものを並べて見比べることで違いに気づかせると良いでしょう。また、間違いやすい文字を比べながら書き取りの練習をするドリル形式の市販教材、オンラインで無料配布の教材を利用する方法もあります。

日本だけじゃない、幼児の文字間違い

文字が正しく認識できないと学習障害や発達障害を心配してしまいがちですが、多くの子どもは幼児期から小学校の低学年のあたりまでに、鏡文字や似ている文字の書き間違いをしなくなっていきます。

小学校へ入学するまでに正しい文字をしっかり身につけさせようと、子どもの学習意欲に配慮せず教え込むのはむしろ逆効果です。間違って書いたときは、それを責めず、どこがどう違うのか正しい文字と見比べて気づかせることを大切にしましょう

ところで、おもちゃショップの「ToysЯus(トイザらス)」の「Я(ら)」は、左右反転あるいは1文字だけひらがなで表記されていますが、実はこのように記している理由があります。

Toys”Я”usという名は”Toys are us”(おもちゃは私達)から生まれたもので、米国ではおもちゃといえばトイザらスをイメージするくらい米国人の生活に馴染んでいます。さらに身近に感じてもらえる様に、ロゴを子供達がよく間違える”Я”(裏返ったR)としています。これに合わせ、日本名も「ら」のみをひらがなにしています。

(引用元:トイザらス|よくある質問一覧、その他

文字を覚えたての子どもは形を間違えやすいというのは、日本だけでなくグローバルな現象のようです。何度か間違って書いていたけれど、いつの間にか正しく書けるようになっていたという子どもがほとんどですから、今しか見られないお子さまの成長過程を焦らずに見守りましょう

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右脳と左脳を交互に柔らかく使える幼児期ならではの「文字の間違い」ですが、逆に大人は脳トレとして活用してみるのも良いでしょう。あえていつもとは違う左右対称の鏡文字を書くことで、左右の脳に刺激が伝わって活性化が期待できそうです。

(参考)
トイザらス|よくある質問一覧、その他
明治図書 教育zine|ひらがなを鏡文字で書いてしまう子
ポプリス|幼児の行動のふしぎ
東京大学大学院情報学環 学際情報学府 山内祐平研究室|【学者紹介】Jean Piaget
東京外国語大学 留学生日本語教育センター論集37 195~202p(2011)|かな教材の改訂に向けて