あたまを使う/算数 2025.11.25

算数がきらいな子の “原因は勉強ではない”|家庭でできる数字遊びで算数センスが育つ!【3~12歳】

野口燈
算数がきらいな子の “原因は勉強ではない”|家庭でできる数字遊びで算数センスが育つ!【3~12歳】

「算数きらい!」
お子さんのそんな言葉に、ドキッとした経験はありませんか?
「計算がむずかしい」「答えが合わない」といった “苦手意識” は、じつは “できないから” ではなく、 “わからない・つまらない” が積み重なった結果なのです。

算数を好きになるきっかけは、特別な勉強よりも日常の小さな “数字体験” であると言われています。お菓子を分ける、時計を見る、買い物で値段を比べる……そんな何気ない場面こそが、子どもに「算数っておもしろい!」を届ける入口になるのです。この記事では、今日からできる年齢別の “算数好きの育て方” を紹介します。

日常生活には「算数好き!」のヒントがたっぷり

算数は「わかると楽しい」教科ですが、一度「わからない」と感じてしまうと、苦手意識が強くなりやすい教科でもあります。保護者のみなさんも、一度つまずいてしまって克服できないまま算数・数学が苦手科目になってしまった方も多いはず。

けれど、算数は計算ドリルや学校のテストをこなすだけのものではありません。 “算数が楽しくなるチャンス” は日常生活のなかにたくさん隠されています。

たとえば、お菓子を分けっこする「わり算ごっこ」、買い物でおつりを考える「お金の計算あそび」、お風呂で数を数える「10数える間に潜ってみよう!」など、こうした身近な遊びが「あれ? 算数っておもしろいかも!」と感じる第一歩になります。

「算数が苦手」という気持ちは、裏を返せば “できるようになりたい” という思いの表れです。おうちでのちょっとした工夫で、算数は「好き!」に変わるはず。次項では、年齢別の「すぐに取り入れられる算数好きの育て方」を紹介します。

年齢別算数力の伸ばし方02

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【年齢別】「算数きらい!」を “楽しい!” に変えるおうち習慣

算数嫌いな子が算数好きになるきっかけは、「数字を感じる体験を増やす」こと。 “教える” よりも、 “一緒に楽しむ” がキーワードです。ここでは、今日から家庭でできる「算数が好きになるヒント」を年齢別に解説していきます。

■就学前(3~5歳)

この時期は、 “算数” というよりも “数量感” を育てる段階です。「数える」「比べる」「形を感じる」など、体を動かしながら数に触れる体験が何より大切。まだ数字を書く必要はありません。「これとこれ、どっちが多い?」といった問いかけを通して、 “考えること” そのものを楽しめる子に育てましょう。

おやつを数える遊び:「ビスケット3枚ずつね」と、数を声に出して共有する
ブロックや積み木で比較:「どっちが高い?」「何個多い?」で数量・形の感覚を育む
お風呂でカップあそび:「何杯でいっぱいになる?」など “測る・比べる” を体感

こうした体験は、後の計算理解の土台となる「数量感覚」につながります。

年齢別算数力の伸ばし方03

■小学校入学直前

入学前は “数字への抵抗感をなくす” ことが目標です。「できた!」という達成感よりも、「考えるっておもしろい!」を一緒に感じられる時間を意識しましょう。買い物や時計など、生活のなかにある “数” を自然に取り入れると、数字が身近な存在になります。「勉強としての算数」ではなく「生活のなかの算数」を親子で共有することがポイントです。

買い物ごっこで合計を考える:「りんご100円とバナナ50円で、いくらかな?」
数字カード・サイコロゲーム:偶数・奇数・順番を遊びながら覚える
時間感覚を意識する:「あと5分で出発!」など、時間と数を結びつける

時計やお金など生活に直結した数を使うと、子どもの理解がぐっと深まります。

■小学校低学年(1・2年生)

この時期のカギは「できた!」という成功体験。少しずつ計算が複雑になっていきますが、答えよりも「考える過程」を認めてあげることが、算数嫌いを防ぐポイントです。おうちでも “数を使う場面” を増やして、生活と学びをつなげてあげましょう。「間違えちゃったね」よりも「よく考えたね!」と声をかけるように心がければ、失敗を恐れず挑戦する姿勢が育ちます。

料理で分量を一緒に計る:「大さじ2」「半分」など、分数や単位の感覚が育つ
おつかい計算ごっこ:「100円で何が買える?」予算内で選ぶ力もアップ
点つなぎ・迷路あそび:順序・数列・空間把握のトレーニングに

“間違えてもOK” という雰囲気をつくることで、「考えるって楽しい!」に変わっていくでしょう。

年齢別算数力の伸ばし方04

■ 小学校中学年(3・4年生)

「どうしてそうなるの?」と、答えに到達する過程に興味をもち始める時期。公式をただ覚えるよりも、 “理由を理解するおもしろさ” を感じられると、算数がぐんと楽しくなります。この学年の子どもは自分の考えを言葉にする力も育ってくるため、「なんでそう思ったの?」と聞いてあげると、論理的に考える力も磨かれますよ。

DIY・お菓子づくりで単位を測る:cmやgなどを実際に測定して、体感で理解
“計算ミス探し” ゲーム:親子で問題を出し合い、ミスの理由を考える
図形折り紙:対称・角度・辺など、図形感覚を遊びながら身につける

身近な作業や工作が、「学ぶ」よりも「考える算数」につながります。

■小学校高学年(5・6年生)

この時期は「算数の意味」や「学ぶ理由」に興味をもたせることが大切です。 “なぜこの式で解けるのか” “どんな場面で役立つのか” を考えることで、算数が「社会とつながる学び」に変わります。得意・苦手が分かれる時期だからこそ、無理に勉強させるより、好奇心を刺激する体験を意識しましょう。

買い物のお得計算に挑戦:「どっちが安い?」で割合の感覚を鍛える
ニュースやグラフを一緒に読む:データを読み解く力を育てる
プログラミングで論理的思考に触れる:Scratchやロボット教材で “考える算数” を体験

算数を “生活や未来につながるスキル” として感じられると、自発的な学びへと変わります。

***
算数を好きになるきっかけは特別な教材や勉強法ではなく、日々の暮らしのなかにたくさん転がっています。日常の小さな「できた!」や「わかった!」が増えるほど、算数を身近に感じられるようになるでしょう。今日からできる「算数あそび」を少しずつ取り入れて、 “苦手” を “好き” に変える毎日を始めてみませんか?

(参考)
ベネッセ教育情報|数の理解 数の読み書きや、数の理解のために、こんな工夫をしました
Chiik!|幼児期に育てたい数量・図形・文字等への関心・感覚とは|無藤隆名誉教授
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「10まで言えるのに、5個が数えられない」? 未就学児への“数”と“時間”の教え方
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|入学前からできる! ベテラン小学校教員が明かす「算数センス」の育て方
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HugKum|【算数センスの磨き方:6歳(入学準備)編】おさえておきたいのは「10の合成・分解」「数の保存性」「数の順序・比較」
独立行政法人教職員支援機構|小学校学習指導要領 算数科の改訂のポイント
Z会おうち学習ナビ|夏休みに体感! 身のまわりにある算数のおもしろさ