あたまを使う/教育を考える/サイエンス/知育 2018.10.11

理数系科目に強くなる! 子どもの「空間認識力」を鍛える、5つの日常トレーニング。

編集部
理数系科目に強くなる! 子どもの「空間認識力」を鍛える、5つの日常トレーニング。

物が「どんなふうに」あるのか、その状態を即座に正しくとらえる能力のことを「空間認識力」といいます。

空間認識力は、立方体の積み木で作られた形を見て積み木の数を答えたり、地図を見ながら目的地を目指したりするときなどにも必要とされます。

実は、この空間認識力が発達している子は、理数系の科目を苦手と思わないことが多いのだそう。空間認識力の高さと理数科目の不得手にどのような関係があるのか、また、理数科目に強い子に成長するよう空間認識力をアップさせるために家庭では何ができるかについて今回は紹介していきます。

物事の本質をとらえる力「空間認識力」

空間の中で物がどのような状態にあるのかを素早く正確に把握する能力を「空間認識力」といいます。空間認識力が高い人は、積み木の数を数える問題や図形の問題が得意だと言われますが、実は空間認識力は普段の生活にも密接に関係しています

呼び方には「空間認識能力」や「空間認知力」などいろいろありますが、意味しているものは同じです。例えば、私たちの普段の生活において、以下のような場面で空間認識力を無意識に使っているのです。

・待ち合わせ場所へ間に合うように行く
・明日の15時までに銀行で変更手続きをして、支払いを済ませる
・パーキングで縦列駐車をする
・キャッチボールで相手が受けやすいようにボールを投げる
・飛んでくるボールをバットで打つ

ちなみに、空間認識力には男性ホルモンのテストステロンが関係しているとされています。以前「話を聞かない男、地図が読めない女」という本がベストセラーになりましたが、地図を読むのが苦手だったり方向音痴だったりする人は女性のほうが多いようです。

これは、テストステロンの分泌が少ないために空間認識力が男性よりも未発達なためと考えられていて、成人女性がテストステロンを服用すると空間認識力が高まるという研究も行われています。

空間認知力とSTEM(科学・技術・工学・数学)との関連性

空間認識力が高い人は、建物の設計や機械のエンジニアリング、医療技術などの職業に適性があり、STEM(科学・技術・工学・数学)分野に強いという研究報告もあります。

積み木の問題を例にとると、一方向から見た物体の状態をイメージとして頭に取り込み、まるで目の前で自由自在に動かすように脳内でイメージを左右上下に動かして立体として把握し、積まれているブロックの数を算出しています。

また、パーキングで縦列駐車をするときは、自分が運転している車の大きさと停めるスペースを把握し、頭上から自分の車を見ているかのようにイメージしながら前後左右の空間を意識して車を操作します。

現在は技術が発達したことで、まるで頭上から見ているような映像を車載モニターでチェックしながら楽に駐車できる車も登場しましたが、仕組み自体は脳内で処理していたことを視覚化させたもので、空間認識力を使って車を操作するという考え方は同じといえるでしょう。

物体や事象をシミュレーションしながら、分析、予測、判断する空間認識力を高めることは、STEM分野の学問に大きく関連し、理数系科目に強い子を育てることにつながります

子どもの空間認識力アップトレーニング

空間認識力は普段の生活の中で向上させることができます。簡単にできる空間認識力アップのトレーニング方法を5つご紹介しましょう。

【1】形や空間に関わる単語をたくさん使って会話する
「これ、あそこの隣に置いてくれる? 違う違う、そっちじゃなくて。そうそう、そこ」など、子どもとの会話の中で「これ」「あそこ」「そっち」「そこ」をつい使っていませんか?

そんなときは、少し気を配って「この白い小鉢を食器棚の上から3番目の棚にある、木のお椀の横に並べて置いてくれる?」と言い換えてみましょう。大きさ、高さ、形状、位置関係を具体的に伝える言葉をたくさん使って会話することで空間認識力アップにつながります。

【2】 日常生活の中で形や空間に関わる体験をさせる
スーパーで買い物をしたとき、レジで袋詰めの手伝いをさせてみましょう。どれくらいのスペースに何を入れたらバランス良く袋に収まるかを考えて袋詰めを行なうと、空間認識力アップのトレーニングになります。

このときのポイントは親が口を出さないことです。おもいきって任せてしまいましょう。それが難しいようであれば、「さあ、次は何にする?」など、子ども主導で袋詰めを行ってみてくださいね。

【3】 組み立て式のおもちゃや工作で遊ばせる
空間認識力を高めるためには、積み木やブロックで遊ぶのが効果的といわれますが、小学生になってから改めて遊ぶのは気恥ずかしいと思う子もいるかもしれません。そんなときは、ペーパークラフトや廃材を使ったおもちゃ作りがおすすめです。

インターネットで検索すれば、ペーパークラフトの台紙データや廃材での工作アイデアも簡単に手に入ります。説明書きを読んで理解しながら、できあがりをイメージして形を作る遊びは、思った以上に空間認識力を鍛えられますよ

【4】 ジグソーパズルで遊ばせる
立体的な工作遊び以外にもジグソーパズルもおすすめです。パズルの絵を完成させるために、ピースを手にとって絵柄を予想したり回転させたりしながらあれこれ試行錯誤している間に空間認識力がアップしていきます。

また、ジグソーパズルが得意な人は、空間認識能力だけでなく、色彩判別能力図形認識能力知覚統合力に優れていることが多いのだそうです。

【5】 地図を使って遊ぶ、あるいは地図を描かせる
外で遊ぶのが好きな子は、近所の地図を見ながら歩く探検ごっこをしたり、逆に近所を歩いて見つけた目印になる建物などを地図に描いたりしてみましょう。動物園や水族館などテーマパークの館内地図を渡して、ルートプランを立てさせるのも効果的です。

このようなトレーニングを遊びながら行なうことで、大きさや向き、位置関係、形をすばやく把握できるようになり、子どもの空間認識力はみるみるアップします。

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親子で体力づくりも兼ねたキャッチボールもおすすめです。相手が受け取りやすいように方向や高さ、強さなどを考えて投げることと、逆に相手の手を離れたボールがどのように飛んでくるのか予想して、自分の位置や体勢を調整しながら受けとることで空間認識力アップにつながりますよ。

(参考)
All About|数学や科学に強くなる!子供の空間認識力を高める方法
ならいごとキッズ マガジン|数学が得意になる!?空間認識能力を鍛える方法
石川幸夫の教育ブログ|鍛えたい能力「空間認知能」記事をクリップする
安蒜会計事務所|~経営にも役に立つイメージ思考~◆イメージトレーニングの神秘
デイヴィッド=J=リンデン(2017),『脳はいいかげんにできている その場しのぎの進化が生んだ人間らしさ』,河出文庫
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