あたまを使う/教育を考える 2018.7.17

やる気に頼らず、勉強を “日常の一部” にする! 子どもの行動を勉強へと向かわせる「4つの仕掛け」

鈴木秀明
やる気に頼らず、勉強を “日常の一部” にする! 子どもの行動を勉強へと向かわせる「4つの仕掛け」

今回は、資格・検定の話とはちょっと離れて、子どもの勉強について考えるトピックです。

子どもの勉強へのやる気を高めるにはどうしたらいいのか……とお悩みの親御さんは多いことでしょう。そもそもですが、勉強へのやる気というのは、高めようと思って簡単に高められるものなら苦労しません。また、意思の力に頼った勉強は長続きしません。「勉強へのやる気を高めて勉強する」ということは逆にいうと、「やる気を高めないと勉強できない」ということになるからです。

そうではなくて、やる気の有無に関係なく勉強へと行動が向かう「仕掛け」をうまく用意してやることが重要です。そうすることで勉強を「習慣化」することができれば、やる気の有無に関係なく、勉強が自然と日常の一部になっていきます。

今回はそんな「子どもの行動を勉強へと向かわせる仕掛け」をつくるコツについていくつか挙げていきたいと思います。

勉強よりも嫌なことをあえてつくる

子どもにいきなり「勉強を好きになってもらう」ことはそう簡単ではないかもしれません。しかし、「勉強よりも嫌なこと」をあえて仕掛けとしてつくってやることで、うまく勉強へと(相対的に)行動を向けられるようになるかもしれません!?

たとえば、私は子どもの頃、家の手伝いなどをするのが嫌いな悪い子でした。親から「勉強するより家の掃除の手伝いをしてよ」などと言われると、逆にかたくなに勉強ばかりしてしまうような子どもだったのです。これがもし、私にもっと勉強させるための親の策略だったとしたらすごいことですが……。

行動経済学の用語に「松竹梅理論」というものがあります。飲食店のコースやお弁当のランクなどで、高額&高品質な順に「松」「竹」「梅」と3種類のコース料金が設定されている場合、「梅」だとケチくさいし「松」だと贅沢すぎるということで、人はついつい真ん中の「竹」を選んでしまうというものです。

この心理を利用して、商売人は本当に売りたいものを「竹」の位置にもってくるということをやっています。「竹」単品で提示するとちょっと高いと思われるものでも、「松竹梅」の3点セットで見せられるとすんなり買ってもらえたりするのです。

人は想像以上に「相対的な感覚」で動く生き物です。「竹(勉強)」だけを子どもに押し付けるのではなく、「松」や「梅」に該当する何かをあわせて提示してやることで、向かわせたい方向にうまく誘導してやることも可能になりますよ。

「中ボス」をつくる

テレビゲームやスマホゲームをやったことがある方にはご理解いただけるかと思うのですが、アクションゲームやロールプレイングゲームなどでは、ザコ敵や最終ボス(ラスボス)以外に、ステージやシナリオの区切りなどにちょっと強い敵(いわゆる「中ボス」)が存在しますよね。

この「中ボス」が実はゲームにとても良いスパイスを効かせるものとなっていて、中ボスという存在があるからこそプレイヤーのレベルアップのきっかけとなったり、イベント的要素として飽きがこないための良いアクセントになっていたりするのです。逆にいうと、ザコとラスボスしか登場しないゲームというのは非常につまらないものになってしまうでしょう。

ということで、勉強や習い事についても、最終的・長期的に目指す目標(ラスボス)の前段階に何回か「中ボス」的なステップ・関門となるものを積極的に設けてみることが有効です。資格・検定試験を「中ボス」として活用することももちろんできますし、スポーツにおける「練習試合」などもこれに該当するといえるでしょう。

勉強に限らず、物事に対して「続かない」「途中で飽きる」となってしまう原因の多くは、最終目標だけを見据えてしまって「その過程を楽しむ」という視点がないために起こることではないでしょうか。「中ボス」は最終目標への予行演習であると同時に、物事を継続するうえで重要な刺激を与えてくれるものでもあるのです。

毎日やったことの記録をつける

私は受験生のときに、毎日密かに日記というか勉強記録をつけていました。今日はどういう勉強をしたとか、テストが返ってきて何点だったとか、今日は○○があってあまり勉強できなかったなあとか……、毎日の「勉強の内容」や「テストの結果」や「感じたこと」などを、簡単にでいいので必ず何かしら書いて残すようにしました。また、その日一日の行動のタイムテーブルや勉強時間も記録するようにしていました。

これをやって何がよかったかというと、「勉強をサボった日は自分がいかにダメだったか」が可視化されたり、「この時間帯はもっと勉強にあてられるのでは?」という反省・検討ができたりすることです。目に見える形で記録をつけることで危機感が生まれ、勉強(行動)への意識が生まれます

最近は勉強の記録を残すアプリ「Studyplus」というのも出てきており、中高生にも愛用されているそう。勉強用SNSということで、友だちや全国のユーザの勉強記録を見ることもできます。「友だちがこんなにがんばってるんだから自分もがんばろう」「Studyplusにいい感じの勉強記録を残せるように今日もがんばろう」という形で勉強のモチベーションを高めることもできますね。

「Instagramにもっと美味しそうなごはんの写真をUPできるように料理を上達させよう!」というような人もいますし、SNSというのは案外「勉強をがんばる動機のすりかえ」として有用な仕組みともいえそうです。むしろそういう一見ちょっとズレた動機も、結果的に勉強へと行動が向くのであれば、積極的にうまく利用していくべきです。

どういう環境・状況だったらより勉強できるか?(できないか?)を考える

勉強は朝型がいいとか、こういう環境で勉強するほうがいいとか、いろいろなことがいわれていますが、万人に対して確実にこれが良いといえるやり方なんてものはない、と私は考えます。「朝型が向いている人もいれば夜型が向いている人もいる」というただそれだけの話だと思います。

重要なのは、お子さんがどういう環境・状況だったら勉強できるのか? 集中できるのか? ということをあらためて洗い出してみること。そして、子どもをそういう状況に置けるようにうまく仕掛けを用意したり、習慣付けしたりすることです。

たとえば「図書館のような周りがみんな勉強している環境なら自分もやろうと思える」という人もいると思いますが、私は実はまったく逆で、「他の人は誰も勉強していない場所や時間帯で自分だけ勉強しているのってすごい!かっこいい!」ということでテンションが上がるタイプなので、あえて誰も起きていない深夜に起きて勉強していました。自分が「やれる環境」はどういうものかを洗い出し、あえてそういう状況に自分を置くようにするわけです。

そして逆に、「こういう環境・状況ではとたんに勉強・集中できなくなる」ということをあらかじめわかっておくことも重要です。そういう状況に流れてしまうことをできる限り避けるようにします。たとえば、勉強する環境では子どもの視界に気が散るものを入れないなどですかね。

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉がありますが、「この子はどういうタイプかな?」ということをあらためて意識してみることが非常に重要なのです。