2019.3.7

「言葉ゲーム」で子どもが辞書にハマる! はじめての辞書を大活躍させる方法

編集部
「言葉ゲーム」で子どもが辞書にハマる! はじめての辞書を大活躍させる方法

「小学校入学を期に、もっと辞書に親しんでもらいたい」
「早い段階から辞書を引くことに慣れさせたい」
「わからない言葉を自分で調べる癖をつけさせたい」

大人が子どもに辞書を与えるとき、きっとさまざまな想いを込めているはずです。授業で使用するようになるのは小学校3年生からですが、辞書に慣れさせるのに早すぎることはありません。

今回は、子どもが辞書と仲良くなるためのコツをお教えします。

辞書を引くことはいいことだらけ!

今の時代、わからないことはインターネットですぐに調べることができます。親御さん自身も、わざわざ辞書を引くよりも、手元のスマートフォンですばやく調べたほうが効率的だと感じてはいませんか?

しかし、紙の辞書を「わざわざ」引くという行為は、私たちが思っている以上に良い影響があります。これからはじめての辞書を選ぶ人も、すでに辞書を買ったけどまったく活用できていないという人も、子どもが辞書を引く習慣をつけるメリットについて改めて考えてみましょう。

■問題解決能力が身につく!

辞書引き学習の生みの親・深谷圭助氏は、「疑問に思ったらすぐに調べる癖がつくと、自ら問題を解決する力の獲得につながります」と述べています。

疑問に感じた言葉に出会ったとき、気になってすぐに調べる子は自分の好奇心や興味の対象に対して敏感です。その感性を最大限に引き出すためにも、疑問をすぐに解消し、さらに新しい疑問を生み出して解決する、というサイクルが効果的。1冊の辞書があれば、子どもの疑問のほとんどは解決できます。

■一覧性によってプラスの知識が手に入る!

学研プラス辞典編集室の今井優子編集長は、国語辞典特有の「一覧性に着目しています。

言葉を探していく過程で、ちょっと前だったりうしろだったりして、1ページずつめくることがあると思うんですけど、途中でイラストがあって興味をひかれたら、そこで止まってもいいわけです。そうやって関係ない語にも目を止めて、言葉がこんなにあるということを感じるだけでも意味があると思いますよ。

(引用元:学研キッズネット|国語辞典で伸びる力、養われる力とは/シリーズ 専門家にきく! 実践! 国語辞典を楽しく使いこなそう 学研 子ども向け国語辞典編集室インタビュー第1回(全4回)

目的の言葉を調べるだけならインターネットでも充分です。しかし国語辞典で調べると、同音異義語や反対語などもおまけとして知ることができます。つまり、言葉そのものの意味プラスアルファの知識が得られるというわけです。

■辞書の正確性が子どもの判断力を育てる!

インターネットは便利である反面、検索して一番上に出てきたものが一番正しいとは限りません。一方国語辞典には、インターネットとは比べものにならない正確性がベースにあります。なぜなら、本になって出版されているものは何度も精査された情報であり、誰もが信用できるに値するからです。

大人はそれまでの経験で「この情報は正確かどうか」と判断できます。しかし、子どもはまだ判断力が未熟であり、間違った情報を信用してしまいがちです。「判断する力」をつけるためのツールとしても、国語辞典の活用は理にかなっているのです。

はじめての辞書を大活躍させる方法2

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
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子どもがもっと辞書を好きになる!

では次に、日常の中でどのようにして辞書を取り入れればいいのか、子どもが辞書を好きになるにはどうしたらいいのか、具体的なコツをお教えします。

■はじめての辞書の選び方

これから辞書を購入する予定であれば、次のことを覚えておくと辞書選びに迷いません。

まずは一緒に書店へ行き、実際に見本を触り、ページをめくってみましょう。最も重視するのは、子どもがひとりで使いこなせること。低学年のうちは、すべての漢字にふりがなが振ってある「総ルビ」のものがおすすめです。例文にもルビが振ってあると、よりスムーズに理解が深まります。また最近の子ども向けの辞書では、漢字の書き順も掲載されているのが一般的。言葉の意味と書き順を一度で学ぶことができて一石二鳥です。

複数の辞書が気になった場合は同じ言葉を引き比べてみましょう。出版社によって表現に違いがあるので、どの説明がわかりやすいか、文字が見やすいか、じっくり見比べます。

■辞書を置く“場所”が重要!

子どもの「知りたい!」「気になる!」にすぐに応えられてこそ、辞書は本領を発揮できます。もし机の中にしまいこまれていたら、汚れないようにケースに入っていたら……最初のアクションが「面倒なもの」になってしまいますよね。

できればリビングに、そしてケースから出して置いておきましょう。テレビを見ているとき、家族で会話をしているとき、ふと頭に浮かんだ「?」を瞬時に解消することで、子どもは辞書の利便性に気づきます。

■遊びの中にも辞書を取り入れる

辞書に慣れさせるためにも、ぜひ辞書を片手にしりとりを。自分では思い浮かばなかった言葉との出会いがあり、新鮮な驚きとともにより強く記憶に残るでしょう。

また、目を瞑ってパラパラと辞書をめくり、ピタッと止めたページに沿って適当に指をさします。言葉の意味の部分だけを読み上げて、その言葉はなんなのか当てっこする遊びも、楽しみながら学びにつながるのでおすすめです。

■「調べて終わり」にはしない!

前出の学研プラス今井氏は、調べた言葉をさらに発展させるために次のような提案をしています。

たとえばスナック菓子の袋に「さくさく」って書いてあったらそれをいっしょに調べてみる。国語辞典だととなりに「ざくざく」がのっていますから、次は「ざくざく」と書かれているお菓子を買ってきて、「さくさく」とどうちがうのかを実際に食べ比べてみる、なんていうふうにどんどん広げていけるといいですね。

(引用元:同上)

体験したことを言葉で表現できれば、子どもの世界は無限に広がっていきます。ただなんとなく通り過ぎていく出来事に足を止めて、意味を調べて言語化できる能力をつけることは、確実に子どもの将来の可能性を広げていくことにつながります。

はじめての辞書を大活躍させる方法3

親がすべきこと・できること

最後に、子どもが辞書と仲良くなるために親としてできることをまとめました。お子さんがどのようにして辞書と関わっているのか、適度な距離感で見守ってあげるのがポイントです。

■最初の一歩は「すでに知っていることを調べる」

「せっかく買ったのに全然興味を示してくれない」という場合、子どもが好きなものについて調べてみましょう。好きな食べ物や動物を改めて辞書で調べてみると、あっと驚く新鮮な発見があるかもしれません。

■「頼りにしてるよ」がやる気につながる

親がわからない言葉に出会ったときも、ぜひ子どもに調べてもらいましょう。「これってどういう意味かな? 教えてくれる?」と聞けば、子どもはがぜんやる気を出します。

■親も辞書を引く姿を見せる

子どもが辞書を引いているとき、ぜひ親御さんも大人用の辞書で同じ言葉を調べてみましょう。普段から親が辞書を引くことが当たり前の光景になっていれば、子どもも自然と手に取るようになります。

■強制しない!

「絶対に辞書を引かなければ」というプレッシャーに押しつぶされて、辞書を手に取ることが億劫になってしまっては元も子もありません。すぐに「自分で辞書を引いて調べなさい」と言うのではなく、気分が乗らないようであればインターネットで調べてあげてもいいでしょう。

***
辞書は子どもにとって、わからないことを教えてくれる大事な友だちです。仲良く、末長く付き合っていくためにも、日常的にうまく活用するように心がけたいですね。

(参考)
Study Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもの問題解決能力を高めてくれる。今こそ“辞書の力”を見直そう!
3M|正しい「辞書引き」学習法とは?
学研キッズネット|国語辞典で伸びる力、養われる力とは/シリーズ 専門家にきく! 実践! 国語辞典を楽しく使いこなそう 学研 子ども向け国語辞典編集室インタビュー【第1回】(全4回)
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