「うちの子、友達の気持ちを敏感に感じとる」「想像の世界に浸ることが多い」。子育てをしていると、子どもの性格や行動に驚かされることがありますよね。でも、それは子どもがもともともっている「個性」や「気質」の表れかもしれません。
本記事では、マイヤーズ氏とブリッグス氏が提唱するMBTI(Myers-Briggs Type Indicator)をもとにした、「こどもまなびラボ」オリジナルの子ども向け性格タイプ分類から、「INFJタイプ(こころの案内人さん)」の子どもについて詳しく紹介します。INFJタイプのお子さんがもつ特性を伸ばしつつ、バランスよく成長できるための具体的な育て方を見ていきましょう。
なお、ここでご紹介する内容はあくまで一つの指針です。子ども一人ひとりの個性は異なりますので、「こうあるべき」という正解はありません。お子さんの様子を見ながら、参考にしていただければ幸いです。
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目次
INFJタイプ「こころの案内人さん」ってどんな子?
INFJタイプは、「内向的(I)×直観型(N)×感情型(F)×判断型(J)」を組み合わせた性格タイプです。「こどもまなびラボ」では、深い共感力と豊かな内面世界をもち、また人の心の支えとなり、迷っている人に寄り添って道を示してくれるなことから、オリジナルで「こころの案内人さん(ココロ)」と名付けています。
相手の気持ちを深く理解し、思いやりのある行動を自然にとることができる、心優しく洞察力に富んだ子どもです。また、豊かな想像力をもち、独自の価値観や理想を大切にする特徴があります。
INFJタイプの子どもの基本的な特徴
・内向的な性格:ひとりの時間を大切にし、静かな環境で深く考えることを好む
・共感力の高さ:他者の感情を敏感に察知し、相手の立場に立って考えることができる
・豊かな想像力:内面世界が充実しており、創作活動や空想を楽しむ
・理想主義的:自分なりの価値観や理想をもち、それに基づいて行動する
・計画性:物事を順序立てて考え、計画的に取り組むことを好む
INFJタイプの子どもの日常生活での様子
INFJタイプのお子さんは、友だちや家族の感情の変化に敏感で、相手が悲しんでいると自然に寄り添ったり、慰めの言葉をかけたりします。「○○ちゃんが泣いているから、一緒にいてあげる」「こうしてみたらどうかな?」というように、思いやりのある行動を自発的に取ることが多いです。
また、ひとりで本を読んだり、絵を描いたり、空想にふけったりする時間を大切にします。静かな環境で自分の世界に浸ることで、心の安定とエネルギーの回復を図ります。人が多い場所では疲れやすく、家に帰るとひとりの時間を求めることもあります。
INFJ「こころの案内人さん」の子どもを育てるためのヒント
INFJの子どもの主な気質に合わせた育て方のヒントをご紹介します。それぞれの特性を活かしながら、バランスよく成長できるようサポートしましょう。
1. ひとりの時間と静かな環境を確保する
内向的なINFJタイプの子どもには、心を落ち着けて自分と向き合える時間と空間を提供することで、内面的な成長が促されます。人が多い場所では疲れやすいため、家に帰った後のリチャージタイムを確保することが重要です。
2. 共感力を認める
高い共感力をもつINFJタイプの子どもには、その優しさと思いやりを認めてほめることで、自信を育むことができます。相手の気持ちを理解する素晴らしい能力をもっていることを伝え、日常のなかで認めてあげましょう。
3. 創造的な活動を支援する
豊かな想像力をもつINFJタイプの子どもには、創作活動や芸術的な表現の機会を積極的に提供することで、内面世界の豊かさが形として現れます。物語作りや絵画など、創造性を発揮できる活動を支援しましょう。
4. 価値観や理想について話し合う
理想主義的なINFJタイプの子どもには、自分の価値観や理想について話し合う機会を設けることで、自己理解と道徳的な成長を促せます。「なぜ?」という深い質問には真剣に向き合い、一緒に考える時間を大切にしましょう。
5. 計画的に取り組める環境を整える
計画性を重視するINFJタイプの子どもには、物事を順序立てて進められる環境を整えることで、より充実した取り組みができます。計画を立てて実行する喜びを感じられるよう、段階的な目標設定をサポートしましょう。
INFJ「こころの案内人さん」タイプの子どもに向いている?! 【習い事編】
INFJタイプの子どもの特性を活かせる習い事や活動には、以下のようなものがあります。
・読書クラブや文学教室:豊かな内面世界と想像力を育める
・美術やイラスト教室:感情や想像を視覚的に表現できる
・音楽(ピアノ、バイオリンなど):情緒を音楽で表現できる
・書道や習字:静かな環境で集中力を養える
・演劇やダンス:感情表現力を身につけられる
・心理学や哲学の子ども向け講座:深く考える力を伸ばせる
・ボランティア活動:共感力を社会貢献に活かせる
・瞑想やマインドフルネス:内面との対話を深められる
・ボランティア活動:共感力を社会貢献に活かせる
習い事を選ぶときは、競争的すぎない環境で、自分のペースで取り組めるものが向いています。また、創造性や感情表現を重視した活動を選ぶことで、INFJタイプの特性がより活かされるでしょう。
INFJ「こころの案内人さん」タイプの子どもに向いている?! 【仕事編】
INFJタイプの子どもは、将来、共感力と洞察力を活かせる分野で活躍が期待できます。MBTIの提唱者であるマイヤーズとブリッグスは、INFJの特性として他者への深い理解力や、理想を現実化する能力に優れるとしています。
・カウンセラーや心理療法士:共感力と洞察力が重要
・教育者や保育士:子どもの心に寄り添える
・ソーシャルワーカー:社会的な理想の実現に貢献できる
・作家や詩人:豊かな内面世界を文章で表現できる
・芸術家やデザイナー:創造性と感受性が活かせる
・医療従事者(看護師、理学療法士、獣医など):患者に寄り添う仕事
・非営利団体職員:社会貢献への理想を実現できる
・編集者や出版関係:文章や表現に対する深い理解力が活かせる
これらの職業は、INFJがもつ共感力と理想主義的な性格特性と非常に相性がよく、具体的な根拠として心理学的な研究やMBTI理論で推奨されています。
もちろん、これはあくまで傾向であり、個人の興味や能力、環境によって向き不向きは変わってきます。子どもの「好き」を大切にしながら、可能性を広げていくサポートが重要です。
科学的位置付けと注意点
MBTIは心理学的理論に基づいていますが、その妥当性や信頼性については賛否両論があります。また、性格や気質を理解する理論は他にもさまざま存在します。
たとえば、INFJタイプの子どもは、トーマスとチェスの「気質の9分類」では、新しい環境に慎重に関わる「接近・回避」や、感情の変化が穏やかな「反応の強さ」、そして集中して物事に取り組む「注意の持続性」が強いという特徴的な組み合わせをもつことが多いでしょう。
また、ビッグファイブ理論では、INFJタイプの子どもは他者への配慮を重視する「協調性」と、責任感の強い「誠実性」、そして芸術的な感受性を示す「開放性」が高いと特徴づけられることが多いでしょう。
しかし、こうした性格分類は、どれも参考のひとつにすぎません。タイプにとらわれすぎず、子どもの個性を尊重しながら、必要に応じて専門家の見解も参考にしてください。性格タイプはあくまで子どもの理解を深めるためのひとつの視点であり、子育ての参考として柔軟に活用することが大切です。
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深い共感力と豊かな内面世界をもつINFJタイプの子どもたちは、将来、人々の心に寄り添い社会に温かさをもたらす存在として活躍できる可能性を秘めています。その特性を理解し、バランスのとれた成長をサポートすることで、子どもたちが自分らしく輝ける未来へと導いてあげましょう。
(参考)
TThe Myers-Briggs|Self-awareness starts here
The Myers-Briggs|Personality type for kids — why it matters
16Personalities|INFJの性格(提唱者)
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