「うちの子、よく考えて分析するのが好き」「突拍子もないアイディアを出してくる」「いつも『どうして?』と質問攻めにされます」。子育てをしていると、子どもの性格や行動に戸惑うことがありますよね。でも、それは子どもがもともともっている「個性」や「気質」の表れかもしれません。
本記事では、マイヤーズ氏とブリッグス氏が提唱するMBTI(Myers-Briggs Type Indicator)をもとにした、「こどもまなびラボ」オリジナルの子ども向け性格タイプ分類から、「INTPタイプ(しずかなる博士さん)」の子どもについて詳しく紹介します。INTPタイプのお子さんがもつ特性を伸ばしつつ、バランスよく成長できるための具体的な育て方を見ていきましょう。
なお、ここでご紹介する内容はあくまで一つの指針です。子ども一人ひとりの個性は異なりますので、「こうあるべき」という正解はありません。お子さんの様子を見ながら、参考にしていただければ幸いです。
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目次
INTPタイプ「しずかなる博士さん」ってどんな子?
INTPタイプは、「内向的(I)×直観型(N)×思考型(T)×知覚型(P)」を組み合わせた性格タイプです。「こどもまなびラボ」では、静かに物事を観察し論理的に分析する姿が小さな研究者のようであることから、オリジナルで「しずかなる博士さん(ハカセ)」と名付けています。
物事の本質を理解しようとする好奇心旺盛な性格で、独創的な発想と論理的な分析力をもち合わせています。
INTPタイプの子どもの基本的な特徴
・内向的な性格:ひとりで考えたり、自分の内面世界を探索することが好き
・好奇心旺盛:「なぜ?」「どうして?」と根本的な理由を追求する
・論理的思考:物事を筋道立てて考え、理屈で納得することを重視する
・柔軟性:計画よりも状況に応じて臨機応変に対応する
・独創的:既存の枠にとらわれない、自由な発想ができる
INTPタイプの子どもの日常生活での様子
INTPタイプのお子さんは、物事の仕組みを理解することに強い興味を示します。おもちゃを分解してみたり、日常の「当たり前」に疑問をもったりすることがよくあります。また、大人が思いもよらない視点から質問をすることもあるでしょう。
また、自分の頭のなかで考えることを好み、表面的な会話よりも深い思考を好む傾向があります。一見すると無口に見えることもありますが、興味のあるテーマについては驚くほど雄弁になることも。学校では「物静か」と評される一方で、気を許せる人の前では難しい質問を次々と投げかけてくるという二面性をもつこともあります。
INTP「しずかなる博士さん」の子どもを育てるためのヒント
INTPの子どもの主な気質に合わせた育て方のヒントをご紹介します。それぞれの特性を活かしながら、バランスよく成長できるようサポートしましょう。
1. 知的好奇心を大切にする
INTPタイプの子どもは生まれつきの探究者です。「なぜ?」という問いを大切にし、一緒に答えを探す姿勢を見せましょう。
2. 思考の時間と空間を確保する
内向的なINTPタイプの子どもには、ひとり考えたり、自分のペースで物事に取り組める環境が必要です。
3. 論理的な説明を心がける
理屈で納得したいINTPタイプの子どもには、「なぜそうするのか」という理由を論理的に説明することが効果的です。
4. 柔軟性を尊重する
計画に縛られるよりも状況に応じて対応するのを好むINTPタイプの子どもには、ある程度の自由度を与えることが重要です。
5. 創造性を育む環境を作る
独創的な発想ができるINTPタイプの子どもには、自由に考え、試せる場を提供することで創造性がさらに育ちます。
INTP「しずかなる博士さん」タイプの子どもに向いている?! 【習い事編】
INTPタイプの子どもの特性を活かせる習い事や活動には、以下のようなものがあります。
・プログラミング:論理的思考と創造性を同時に使える
・科学実験教室:「なぜ」を探求し、仮説を検証できる
・ロボット製作:理論と実践を組み合わせられる
・チェスや将棋:論理的思考力が養われる
・数学や論理パズル:抽象的な概念を操作する楽しさを体験できる
・ものづくり教室:アイデアを形にする喜びを体験できる
・作文や小説:内面世界を言葉で表現する力が育つ
習い事を選ぶときは、単に技術を教わるだけでなく、「なぜそうなるのか」という原理も学べるものが向いています。また、競争よりも自分のペースで取り組める環境の方が、能力を発揮しやすいでしょう。
INTP「しずかなる博士さん」タイプの子どもに向いている?! 【仕事編】
INTPタイプの子どもは、将来、論理的思考力と独創性を活かせる分野で活躍が期待できます。MBTIの提唱者であるマイヤーズとブリッグスは、INTPの特性として複雑な理論を理解し、新しいアイデアを生み出す能力に優れるとしています。
・研究者や科学者:好奇心と論理的思考力が活かせる
・プログラマーやシステムアナリスト:論理的な問題解決能力が重要
・データサイエンティスト:複雑なデータから意味を見出す能力が求められる
・技術開発者やエンジニア:新しい技術やシステムを生み出せる
・大学教授:専門分野の深い知識と分析力が必要
・哲学者や思想家:概念を深く掘り下げる能力が活かせる
・作家:独創的な世界観を構築できる
・ゲームデザイナー:論理的なルールと創造性の両方が必要
これらの職業は、INTPがもつ論理的思考と創造性、抽象概念への理解力と非常に相性がよく、MBTIの理論的枠組みでも適性が高いとされています。
もちろん、これはあくまで傾向であり、個人の興味や能力、環境によって向き不向きは変わってきます。子どもの「好き」を大切にしながら、可能性を広げていくサポートが重要です。
科学的位置付けと注意点
MBTIは心理学的理論に基づいていますが、その妥当性や信頼性については賛否両論があります。また、性格や気質を理解する理論は他にもさまざま存在します。
たとえば、INTPタイプの子どもは、トーマスとチェスの「気質の9分類」では、新しい環境での反応が慎重な「接近・回避」、刺激に対する敏感さを示す「感受性」、一つのことに集中できる「注意の焦点」などが高い点が特徴的であると分類できるかもしれません。
また、ビッグファイブ理論では、INTPタイプの子どもは新しい経験や考え方に開かれている「経験への開放性」が非常に高いと特徴づけられることが多いでしょう。
しかし、こうした性格分類は、どれも参考のひとつにすぎません。タイプにとらわれすぎず、子どもの個性を尊重しながら、必要に応じて専門家の見解も参考にしてください。性格タイプはあくまで子どもの理解を深めるためのひとつの視点であり、子育ての参考として柔軟に活用することが大切です。
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静かに観察し、論理的に考え、独創的なアイデアを生み出すINTPタイプの子どもたちは、未来の科学や技術の発展に貢献できる可能性を秘めています。その特性を理解し、適切にサポートすることで、子どもたちが自分らしく輝ける未来へと導いてあげましょう。
(参考)
The Myers-Briggs|Self-awareness starts here
The Myers-Briggs|Personality type for kids — why it matters
Mayer&Briggs|The 16 MBTI personality types
16Personalities|INTPの性格(論理学者)
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