教育を考える 2025.5.14

「関税」って、ひとことで言うと?【親子で学ぶ 経済の話】

編集部
「関税」って、ひとことで言うと?【親子で学ぶ 経済の話】

「お母さん、 “関税” ってなに?」

ある日、テレビのニュースを見ていた小学生の子どもに、突然そう聞かれてドキッとした――そんな経験、ありませんか?

大人になってからも、なんとなく耳にしている経済用語。でもじつは、「説明しようとするとよくわからない……」ということ、意外と多いものです。

今回は、そんな「親も子も学べるシリーズ」として、「関税」をテーマに優しく解説します。

関税って、ひとことで言うと?

「関税」とは、外国から入ってくる商品にかける「税金」のこと。

たとえば、海外から日本に運ばれてくるチョコレートや車、服やおもちゃに関税がかけられることがあります。それは、ちょっとした「入場料」のようなもの。「外国から来る商品は、日本に入るときにお金を払ってね」というルールがあるのです。

【子どもへの説明例】

「外国から来る商品が日本に入るときに払う『入国料』のようなものだよ。海外でつくられたチョコレートやおもちゃ、服などが日本に来るとき、ときどき、この『入国料』を払うことになっているんだ」

日本とアメリカの国旗

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関税の目的とは?

関税には、こんな目的があります。

1. 外国の安い商品に負けないようにするため
たとえば、安くつくられた外国の服が日本にたくさん入ってくると、日本の服屋さんの商品が売れなくなってしまうかもしれません
⇒ 関税をかけることで、国内のお店や産業を守ります
2. 国のお金を増やすため
関税は税金のひとつ!
⇒ 国の収入になり、そのお金で道路や学校をつくったりできるのです
3. 国同士の「ケンカの道具」にもなる
「あなたの国が変なルールをつくったから、うちも関税を上げるよ!」というような「報復関税」も起きます
⇒ 経済のバランスが崩れ、世界中に影響が出ることも……

【子どもへの説明例】

「関税は、日本でつくったものが、安い外国の商品に負けないようにするルール。だから、関税をかけて得たお金は国の収入にもなって、道路や学校づくりに使えるよ! ただ、ときどき『そっちがやるなら、こっちも!』って国同士でケンカになることも……。関税は上手に使えばフェアにできるけど、使い方次第でトラブルにもなっちゃうんだ」

🍎 りんごで学ぶ! 関税のしくみ🍎

🍎 日本のりんご:1個150円
🍏 アメリカのりんご:1個100円

そのままだと、安いアメリカのりんごを買いたくなりますよね?
でも、日本の農家さんが困ってしまうかも。

そこで――
🇺🇸 アメリカのりんごに関税30円をかける!
→ 100円+30円=130円に。

すると、日本のりんご(150円)とあまり変わらない価格になります。
これで日本のりんごも同じように売れるようになるのです。

関税がない→自由貿易も増えている?

関税は「かける」ばかりではありません。「自由貿易」という取り決めで、関税をなくす国同士も増えています。

たとえば、日本とオーストラリアが「お互いの農産物には関税をかけない」と約束すると、もっと安く・多くのものが売買できるようになるのです。

でも、いいことばかりではありません。たしかに、安くてよい商品が入ってくるのは嬉しいこと。でもその反面、国内の産業が弱くなってしまうことも。つまり関税は、「守る力」「バランスをとる力」をもっていると言えるのです。

【子どもへの説明例】

「関税は、かけるだけじゃなくて、なくすこともあるよ。たとえば、日本とオーストラリアが『自由貿易』の約束をして、お互いの農産物に関税をかけないようにすると、もっと安くたくさんの物が売り買いできるんだ」
「でも、いいことも多いけど、安い外国の商品に押されて、日本の農家が困ることもある。だから関税は、国の産業を守る仕組みでもあると同時に、国同士のケンカのもとになることもあるんだよ」

🗣️ 関税についてもっと話そう! 親子の対話ヒント 🗣️

前述した会話例だけでなく、以下のような対話も広げてみてください。難しく考えることはないのです。子どもの目線に合わせた質問をしてみましょう。

🍏 「もしお小遣いで買えるりんごが増えたら嬉しい? でも、おじいちゃんが農家さんだったらどう思う?」
🛍️ 「安いけどあんまりよくない商品と、ちょっと高いけどすごくよくできた商品。どっちを買いたい?」
🌍 「世界中で “ただ安い” ってだけで物が売れたら、なにが困るのかな?」

子どもの興味を引き出すには、まず大人が「なんでだろう?」と心から関心をもつことが大切です。年齢や理解に合わせて、ゆっくり会話を楽しんで。だってこれは、世界の話。決して他人ごとじゃありません!

船に積まれた貨物と飛行機の写真

***
「親が知っている」と「子どもも育つ」――。関税という一見難しそうな言葉も、じつは私たちの生活と深く関わっています。わかりやすく説明できる親がそばにいると、子どもも世界を知ることに前向きになれるはず。「知っているふり」から一歩抜け出して、「知っている親」になってみませんか?