教育を考える 2025.2.6

【保育士が解説】オムツが外れない……トイレトレーニング成功のための5つのコツ!

【保育士が解説】オムツが外れない……トイレトレーニング成功のための5つのコツ!

「お友だちはオムツが外れているのに」「何度やってもトイレトレーニングがうまくいかない」と、焦りを感じていませんか?

まわりの子と比べてはいけないとわかっていても、大切なわが子のことはどうしても気になるものです。今回は、保育士歴10年の筆者が、トイレトレーニングの個人差の理由と、成功に導くコツをお伝えします。

オムツって、何歳までに外れるの?

オムツは3歳ごろまでに外れる子どもが多く、多くの家庭が「3歳までには」という目標をもっているのではないでしょうか。

厚生労働省の「乳幼児健康診査事業実践ガイド」では、1歳6か月健診のタイミングでトイレトレーニングの状況について確認し、開始の条件について保健指導が行なわれる旨が記載されています。ですので一般的には、健診後の1歳半から2歳ごろにトイレトレーニングを開始することが多いようです。

しかし、トイレトレーニングを始めるのに「〇歳の〇か月には」という決まりはありません。ひとりひとりの子どもの成長に合わせて始めることが大切です。まずは、以下の目安を参考にしてみましょう。

🚽トイトレ開始の発達目安
  1. おしっこ・うんちの感覚を理解している
  2. ひとり歩きが安定し、おまるに不安なく座っていられる
  3. おしっこの間隔が1~2時間くらい空いている
  4. おしっこやうんちを言葉やサインで知らせてくれる
  5. トイレに興味をもち抵抗感なく出入りしている

こうした成長の目安は、トイレトレーニング開始の一つの指標となります。しかし、同じ月齢でも子どもによって成長は違うので、始める時期もひとりひとり違います

また、環境面でも始めやすい条件があります。春から夏の薄着の季節は着替えがしやすく、トレーニングがスムーズに進みます。また、保育園に通っている場合は、先生からアドバイスをもらえるのもよいタイミング。そして特に重要なのが、親の心に余裕があることです。

トイレトレーニングを始めたその月にオムツが外れる子どももいれば、1年以上かかかる子もいます。また、一度オムツが外れても、イヤイヤ期がきたり体調不良でリズムが崩れたりすることで、再度オムツが必要となってしまうケースもあります。このように長い期間がかかることもあるので、親が焦らずゆっくり取り組める状態かどうかが、成功の大切なポイントです。

オムツと洋服の画像

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トイレトレーニング開始! 園や先生はどんな対応をしてくれているの?

トイレトレーニングを始めるにあたり、通っている保育園との連携は欠かせません。子どもは、日中長い時間を保育園で過ごしているため、まずは保育園での様子を聞いてみるのがおすすめです。そして、トイレトレーニングを始めるため情報を共有していきたいとお願いしておきましょう。

トイレトレーニング開始後の保育園での対応

1歳児~2歳児クラスでは、以下のような流れでトイレトレーニングを進めていきます。

1歳児~2歳児クラスのトイトレの流れ
・トイレトレーニングに関する絵本を読み聞かせる
決まった時間にトイレに連れて行く
・子どもの排泄リズムを掴む
・リズムに合わせて個別にトイレに誘う

いずれオムツから「おにいちゃんパンツ」「おねえちゃんパンツ」に変えて、トイレで排泄することを伝えていきます。トイレについて知ったら、まずは出る出ないにこだわらず、定期的におまるに座ります生活のなかで「トイレに行く」という習慣をつけることが大切です。そしてどのタイミングでオムツが濡れているか確認し、リズムを把握して個別に声をかけていきます。お昼寝後は、特に成功率が上がる傾向があります。

できたときは、ほめて自信をつけていきますが、そう簡単に進む子どもばかりではありません。なかには、失敗することで過度に落ち込んだり、お友だちから失敗を指摘されて恥ずかしくなったりしてトイレを嫌がる子どもも。子どもの意欲を維持するため、失敗を責めないよう意識します。どれだけ小さなことでも「〇〇はできたね」と認めることで、自信を積み上げていくのです

トイレトレーニング開始後の家庭での対応

家庭でも保育園と同じく、生活の区切りにトイレに誘っていくとよいでしょう。特に、朝起きたあとすぐのトイレは、成功率が高まるのでおすすめです。保育園がお休みの日でも、同じようなリズムでトイレに誘うのが理想的です。

また、少しでも自信をつけてもらえるよう、失敗しても以下のように「できたこと」を見つけてほめてみましょう。以下に例をあげてみました。

家庭でして欲しい声かけ
・「おしっこ教えてくれてありがとうね」
・「ちゃんとトイレまで来られてすごいね」
・「さっきまでずっとパンツ濡れずにすごせたね」


家庭でのトイレトレーニングで重要なのは「親の機嫌がよい」ということ
です。焦ってトイレに誘ったり、トイレの失敗にイライラしたりしていると、子どもはなんとなくトイレにいやなイメージをもってしまいます。「トイレいっしょに行こう!」「間に合わなくても大丈夫だよ」「濡れたから着替えようか!」と、明るく楽しく声かけができれば、前向きにトレーニングを進められます。

トイトレの画像

トイレトレーニングが楽しくなる5つの方法

ここからは、トイレトレーニングが楽しくなる声かけ&対応を5つご紹介します。子どもの性格に合うものがあれば、ぜひ取り入れてみてくださいね。

1. トイレにしかない楽しさを用意する

まず、トイレの明るく楽しい雰囲気作りが欠かせません音の鳴るおまるご褒美シールトイレにしかいない玩具(ぬいぐるみや電車)などを用意し、トイレに行くことを楽しいと思えるようにしましょう。

2. トイレに行けたことだけでもほめる

子どもが失敗しても、ため息をついたり責めたりするのはNGです。トイレに行けただけでもほめましょう。自信がなくなり、トイレ行くこと自体を嫌がってしまう可能性があります。失敗しても「ちゃんとトイレ来られたね!」と前向きな声をかけることで、トイレトレーニングへのモチベーションを保てます。

3. 自分で選んだトレーニングパンツを履く

自分で選んだ大好きなキャラクターのパンツを履くことは、とても効果的です。「パンツうれしい」「濡らしたくない」という気持ちが芽生えます。なお、子どものパンツにはお尻側にしかキャラクターが描かれていないものも多くあります。キャラクターを自分で見るため前後ろ逆に履きたがる場合は、子どもの意思を尊重して指摘しないようにしましょう。

4. 成功は周囲を巻き込んで盛大にほめる

トイレトレーニングに成功体験は欠かせません。家族みんなで「〇〇くんがトイレでおしっこできたよ」と伝え合い、オーバーに驚きほめてあげましょう。また、通っている保育園の先生にも知らせてほめてもらうと、トイレトレーニングは楽しいものだと感じられます。

5. 親子ともに余裕がないときは休憩する

ただし「失敗しても責めない」というのは、決して簡単なことではありません。忙しいときに掃除や洗濯が増えるとなると、イライラしても仕方のないことです。時間や精神的に余裕がないときは、しばらくお休みするというのもひとつの手段。また、子どもがイヤイヤ期でどうしてもトイレに行きたがらない場合なども同じく、楽しくできないときは焦らず思い切って休憩するのが一番です。

***
トイレトレーニングは本当に個人差が大きく、オムツが外れるまでの期間はそれぞれです。うまくいったとしても一進一退することも珍しくありません。「いつかは外れるかな〜」くらいの気持ちでゆとりをもって進めていきたいですね。

また、「家庭ではトイレに行きたがらないけど保育園では抵抗なく行ける」という子どももいますが、それは環境の違いなのでそこまで気にする必要はありません。保育園ではたくさんのお友だちといっしょに進めるため、自然と前向きになれるのです。家庭でも焦ることなく、楽しくトレーニングを乗り切ってくださいね。

厚生労働省|乳幼児健康診査事業実践ガイド

【ライタープロフィール】
山本あやか(やまもと・あやか)
児童学科で4年間学び、保育士資格や幼稚園教諭一種免許を取得。保育士として約10年勤務。現在、小学生2人を育てながら「働きながら子育てする大変さ」と対峙中。ワーキングマザーが安心して子どもを預けられるよう、さまざまな情報を発信します。