芸術にふれる/アート/デザイン 2019.6.1

アートと子どもの距離が近い! 生まれ変わった「東京都現代美術館」で遊ぼう

長野真弓
アートと子どもの距離が近い! 生まれ変わった「東京都現代美術館」で遊ぼう

2019年3月末にリニューアルオープンした東京都現代美術館(MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO)が、さらに子どもに優しい場所に生まれ変わりました。

緑豊かな木場公園に面していて、インドア(美術館)もアウトドア(公園)もたっぷり楽しみながら学べる絶好のロケーション。親子でぜひ訪れたい魅力をご紹介します。

東京都現代美術館について

東京都現代美術館(通称MOT)は、1995年3月、「現代美術の振興を図り芸術文化の基盤を充実させることを目的として」開館しました。

戦後美術を中心にした所蔵作品は約5400点、所蔵図書資料は約27万冊にものぼり、それらは美術図書室で閲覧することができます。

展覧会は、絵画、彫刻から建築、ファッションに至るまで幅広く企画され、コンテンポラリー・アートを身近に感じられるようにと考えられています。

MOTの基本方針

MOTには、3つの基本方針があります。

1 文化の創造と魅力あるメッセージの発信
(現代美術の国内外への発信/現代美術の保存と継承/変容する価値観への対応)
2 現代美術の普及と次世代の担い手を育む
(優れた作品等の鑑賞機会の提供/現代美術の普及と子供たちの育成/新進・若手芸術家への支援と創造拠点化)
3 あらゆる鑑賞者に開かれた美術館の実現
(バリアフリー・ホスピタリティを指向するアートの拠点化/地域の核としての存在)

(引用元:MOT東京都現代美術館|MOTについて

特に、当初より次世代アーティストの育成と子どもたちへの教育普及活動に熱心に取り組む姿勢が印象的でしたが、リニューアルでさらに、現代アートと子どもたちをつなぐ架け橋として前進したように感じます。

リニューアルのポイントは「子どもに優しい美術館」

木場公園に面したガラス張りのMOTはとても開放的で、訪れた全ての人を温かく迎え入れてくれる佇まいです。公園を訪れたファミリーも気軽に利用してほしい、そんな願いもこのリニューアルには込められているそう。

MOTの想いが実を結んで、来館者には若いファミリー層も多いといいます。親子を引きつける魅力はどんなところにあるのでしょうか。

魅力1:明るくオープンな館内
現代アートを扱う美術館ということで、以前はクールな印象があった館内。リニューアル後に訪れると、案内ボードなどの什器には木が多用され、入口から広々と広がるエントランスホールに点在するベンチは円形のコルク製になり、ガラス張りのクールだった空間が柔らかく優しい印象に様変わりしていました。ガラスの外には公園の緑も望め、お子さんにも親しみやすい雰囲気は美術館のハードルを下げるのに一役買っています。

魅力2:五感を育む自然豊かなアウトドアスペース
木場公園には、植物園、広い芝生の広場、遊具など、子どもの五感を刺激する自然がたっぷりと広がっています。その中にある、MOTのアウトドアエリアにも工夫が。サウンドアーティスト鈴木昭男氏の作品「—道草のすすめー『点音(おとだて)and “no zo mi”』」が、美術館周辺に点在しているのです。耳マークのプレートの上で “音風景” に耳をすませば……音に集中することで、何気ないいつもの風景の中に、新しい発見やイマジネーションが広がります。自然と人工物であるアート、両方を楽しむことで、子どもたちの感性はぐんぐん広がりそうですね。

魅力3:こどもとしょしつ
一新された図書室の一角に新しくできた「こどもとしょしつ」。黄色いカーペットが子どもの好奇心を盛り上げてくれそうな可愛らしいスペースです。広くはありませんが、アートをテーマにしたこども向けの本が充実しています。日本語コーナーと英語コーナーがあり、英語のお勉強にもなりそう。有名な画家をテーマにした本から、厳選された絵本まで、本屋さんではなかなか見つからない美術に関する貴重なセレクションとなっています。貸し出しはされてないそうですので、丸テーブルやベンチに座って、興味のままに楽しんでほしいですね。

魅力4:ギャラリークルーズやワークショップの開催
アートの教育普及に熱心に取り組む姿勢はそのまま継続され、一般向けのギャラリークルーズやワークショップ、学校の授業の一環として受け入れるスクールプログラムなどが積極的に行われています。ギャラリークルーズやワークショップは不定期開催ですので、ウェブサイトでときどきチェックされることをオススメします。

魅力5:遊びココロいっぱいのカフェやレストラン
親子で利用しやすくなった大きな利点が、レストランのリニューアルです。子ども向けメニューの充実、広々した空間に加え、美術館内のレストランならではの、アートをテーマにした楽しい工夫があるのです。

■メニューが塗り絵
メニューの裏がモナリザの塗り絵になっています。ダ・ヴィンチの気分で色をつけてみましょう。
■絵になる席
いくつかの席には変わった仕掛けが。壁や天井に鏡の額縁が飾られています。そこに映るのは――なんと自分たちの姿! 気がついたら店内を彩る装飾の一部になっています。
■アトリエ
彫刻が2つ置いてあるキッズスペースで、自由にぺたぺたと色を足したり、引いたり。毎日変化するアート作品となっています。

大人がアートを嗜むだけではなく、子どもにも学びがたくさんつまった楽しい美術館に生まれ変わったMOT。実際に楽しそうに館内で過ごすお子さんたちの姿がありました。遊びの延長でアートと触れ合える美術館は貴重な存在となりそうです。

【MOT東京都現代美術館】
東京都江東区三好4丁目1−1(木場公園内)
開館時間:10:00~18:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日
観覧料:コレクション展(常設)
一般 500円(400円)/大学・専門学校生 400円(320円)
高校生・65歳以上 250円(200円)/中学生以下 無料

***
現代アートは、大人の凝り固まった頭と感性では理解しにくいものも正直あります。そんな新しい感性の作品は、まだ頭が柔らかい子どもたちにこそ素直に響くのかもしれません。アーティストの斬新な発想が、子どもたちの自由な発想と出会ったとき、とてもおもしろい反応がありそうですね。企画展は小学生以下、コレクション展(常設)は中学生以下無料ですので、ぜひ気楽に訪れてみてください。

写真◎長野真弓

(参照)
MOT東京都現代美術館
100本のスプーン 東京都現代美術館内
東京都公園協会|木場公園