教育を考える/食育 2018.6.28

キユーピー独自の資格制度“マヨスター”による『マヨネーズ教室』【食のまなび探検隊「キユーピー(株)」その4】

編集部
キユーピー独自の資格制度“マヨスター”による『マヨネーズ教室』【食のまなび探検隊「キユーピー(株)」その4】

【食のまなび探検隊「キユーピー(株)」その3】のつづき

子どもの食の大切さについて学ぶため、企業の食育活動に関するお話をうかがう『食のまなび探検隊』。「キユーピー(株)編」その4では、全国の小学校へ出向いて授業をする「マヨネーズ教室」について詳しくお聞きしました。

楽しく学んで野菜が好きになる授業の秘密、そしてキユーピー独自の資格を持つ『マヨスター』たちの食育に対する想いとは? 知れば知るほどマヨネーズと野菜が身近に感じられますよ。

マヨネーズの魅力を伝える伝道師『マヨスター』とは?

ーーでは次に、現在キユーピーが推進している食育活動についてお聞かせください。

鈴村さん:
いわゆる出前授業として『マヨネーズ教室』を行なっています。生徒のみなさんと一緒にマヨネーズを手作りする体験授業がメインですが、水(酢)と油が混ざり合う「乳化」の仕組みを教えるなど、マヨネーズを通して食の大切さや楽しさを学んでもらう目的があります。2002年から毎年全国の小学校へ出向き、2017年度は延べ328校で実施しました。

『マヨネーズ教室』の講師は社内認定制度“マヨスター”の資格を持つ従業員たちです。

ーーマヨスター!?

菅原さん:
そうです。『マヨネーズ教室』を運営するための社内資格を作りました。キユーピーでは、営業・生産・研究とさまざまな部署で働くすべての従業員を対象とした「マヨスター制度」を設けています。“会社全体で食育に携わる人を増やしていきたい”という思いから、小学生対象の出前授業である『マヨネーズ教室』開始とともにできた制度です。

マヨネーズについて子どもたちに教えるんだから、マヨネーズの担当者がやればいいじゃないか、と思われるかもしれません。しかし従業員からも、何かものを売るとか作るだけではなく、お客様と関わりたい、世の中とちょっとつながっていたい、という声が多く、それを会社全体としてサポートしたいという思いもあるんです。

ーー自社の製品を愛し、もっともっと魅力を伝えたい、という想いがこの「マヨスター」という制度を生み出したきっかけでもあるんですね。

菅原さん:
「食育担当」という肩書きがついてしまうとプレッシャーになるかもしれませんが、従業員が誰でも参加できるマヨスターという制度であれば、それぞれが独自に食育活動に取り組むことができます。

矢島さん:
マヨスターの資格を取得したら、ひとりが10回行くんじゃなくて、10人で1回ずつ行こうね、という風に考えて推進していっています。資格を取って終わりじゃないよ、授業をしに行くのが大事だよ、と。

↑資格取得者に渡される「マヨスターカード」

自分たちの普段の仕事にも興味を持ってもらいたい

鈴村さん:
実際に小学校で授業をするとき、まず最初に自己紹介から始めるんですね。マヨスターが「私はキユーピーのどこどこに勤めていて、普段はこんなお仕事をしています」って。で、その後に続いて全員が自己紹介をします。そうするとみんなバラバラなんですよね、仕事が。

食育の仕事をしているわけではなくて、たとえば「いつもは研究するところで赤ちゃんのためのお食事を作っています」とか、「品質保証(というとわかりづらいので)パッケージの裏の表示を考えています」とかね。

ーー普段食べている商品を作っている人や、その研究をしているような人にはなかなか会えないので、子どもたちにとっても貴重な体験ですね!

鈴村さん:
だからそういった話をしてあげると「ああ、いろんな人が来てくれているんだな」ってわかりますよね。

あとは、「会社っていろんな仕事があるんだ」ということもわかります。会社とはいろいろな仕事をする人がいて成り立っている、そのことを少しでも理解してくれれば、ある意味社会勉強のひとつになると思うんです。

矢島さん:
先生方も「食育担当の方ではないんですね」と驚かれます。学校側がこの『マヨネーズ教室』を申し込まれるとき、企業の人と子どもたちが触れ合うことを期待される気持ちもあるらしいのですが、そういった意味でも非常に意味があると考えています。

だからマヨスターたちには、必ず最初に「自分は普段どういう仕事をしているのか」ということを説明するようにお願いしています。そして「もしそのマヨスターのお仕事に興味があれば、あとで詳しい話を聞いてみてね」と子どもたちにも伝えます。

ーーマヨスターの方たちと直接触れ合えるんですね。

矢島さん:
子どもたちは興味津々で「マヨネーズの研究ってどういうことをやっているの?」と聞いてきます。私たちもそういった話をすることによって、子どもたちの未来に少しでも良い影響を与えられたらいいな、と考えています。

鈴村さん:
『マヨネーズ教室』に参加して、ファンの方々や消費者の方々に触れ合えるということは、やはり私たちにとってもすごく嬉しいことなんですよ。

出前授業から帰ってくると、みんな嬉しそうな顔をしていますよ(笑)。ということは、きっと授業をしている間も嬉しい顔になっていると思うんです。それを見た子どもたちに「自分たちが普段食べている食品を作っている人って、こんなに嬉しそうな顔をしているんだ」ということが伝われば、食に対する気持ちにも何かしら変化が生まれるんじゃないかな? と個人的には期待しているんです。

マヨネーズ教室が子どもたちにもたらす変化

ーーマヨネーズ教室は、野菜やマヨネーズについてDVD視聴を交えながら45分の講義をしたあと、マヨネーズ作りをして試食をする、という流れで進めていくのですね。この授業をきっかけに、子どもたちから感じ取れる変化はありますか?

鈴村さん:
講義のとき、「野菜好きなひと~~」って最初に聞くんですよ。反応はさまざまですが、「じゃあ逆に嫌いな野菜は?」って聞くと「トマト!」「ピーマン!」「きゅうり!」と実に色々な野菜の名前が出てきます。

マヨネーズ教室の試食ではきゅうりを使うので「ごめんね、今日はきゅうりなんだよ」とう言うと、子どもたちから「え~~」という声が返ってきますね(笑)。

でも実際、自分たちでマヨネーズを作ってみる。するとそれを食べてみたくなりますよね? そのまま舐めることもできますが、どうせなら何かにつけて食べたい。そこできゅうりのスティックにマヨネーズをつけて食べてみる。

すると結構食べるんですよ、これが。みんな食べるよね?

矢島さん:
食べますね。先生もびっくりされますよ。「嫌いだったけど食べられた!」って。そこで「じゃあみんなで拍手しよう!」なんて言って拍手して盛り上がります(笑)。

ーー「自分で作ったマヨネーズを食べてみたい」という好奇心と、教室でお友だちと一緒に食べるという楽しい雰囲気が、自然と好き嫌いを克服させてくれるような気がします。家庭でもドレッシングを一緒に作ってみたり、ベランダで一緒に野菜を育てたりと、子どもの好奇心を刺激することが大切ですよね。

矢島さん:
実際に、千葉大学にご協力いただいて保護者向けのアンケートをとって論文にまとめたものがあります。その結果、マヨネーズ教室に参加したあとは「野菜の好き嫌いが改善した」「食べ物や料理への関心が高まった」「家庭内で食生活や栄養についての会話が増えた」という報告が出ています。

鈴村さん:
野菜が嫌いな子どもってたくさんいると思うんですけど、みんな何かちょっとしたきっかけ次第でそれが改善される可能性を秘めていると思うんです。私たちキユーピーの活動がその「きっかけ」になれば嬉しいですね。

→【食のまなび探検隊「キユーピー(株)」その5】につづきます