あたまを使う 2019.8.24

子どものうちから必要な「プレゼンテーション能力」を伸ばすために家庭でできること

編集部
子どものうちから必要な「プレゼンテーション能力」を伸ばすために家庭でできること

仕事の世界ではよく耳にする「プレゼンテーション能力」、子どものうちはまだまだ必要ないなんて思ってはいませんか? じつは最近、ビジネスシーンだけでなく子どもたちの生活の中にも、プレゼンテーションの場が増えてきています。グローバル化をはじめとするあらゆる理由から、今を生きる子どもたちにとってプレゼンテーション能力は必須となっているのです。

今回は、子どものプレゼンテーション能力を伸ばすために、家庭でできることをご紹介しましょう。

子どもたちに「プレゼンテーション能力」が必須なワケ

「プレゼンテーション」と聞いてイメージするのは、スクリーンに映したデータや資料を指し示しながら、大勢の聴衆を前によどみなく話す姿ではないでしょうか。スティーブ・ジョブズ氏やビル・ゲイツ氏の並外れたプレゼン力が、彼らのビジネスの発展に大きく寄与したことはよく知られていますよね。

しかし、今やプレゼンテーション能力は、彼らのように突出したセンスやビジネスキャリアがある人たちだけのスキルではありません。グローバル化が進む社会を生きる子どもたちにとって欠かせないスキルなのです。『世界最高の子育て――「全米最優秀女子高生」を育てた教育法』(ダイヤモンド社)を出版し話題となったボーク重子さんは、子どもたちに必要なプレゼンテーション能力について次のように述べています。

これからのグローバル社会では、一人ひとりの考え方や意見がちがうことがスタンダードになります。もちろんそこには、「正しい」とか「間違いだ」とかいう基準はありません。言ってみれば、どんな意見も正解なのです。自信を持って自分の考えを表現し、他人との意見の交換から学ぶ。こうした姿勢を身につけた子どもが、将来的に優れた人材になるはずです。

(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|グローバル社会を生き抜く「プレゼン力」は自信から生まれる――全米最優秀女子高生の母・ボーク重子さんインタビューpart2

親世代の歩んできたものとは全く異なる社会を生きていく子どもたちにとって、わかりやすい自己表現を行ない、相手と意見を交換する能力は必須なのです。

また、2020年から新たに導入される学習指導要領では、これまで当たり前だった「先生が話して生徒がノートを取る」といった受け身の授業ではなく、子どもたちが主体的に考え、友だちとの対話を通じて深く理解する「アクティブ・ラーニング」が主流となります。子どもたちの生きる世界において、自分の考えをまとめてわかりやすく伝える能力は、もはやビジネスの現場と同じくらい、もしくはそれ以上重視されていると言っても過言ではないのです。

家でプレゼン02

プレゼンテーション能力は筋トレと同じ?!

プレゼンテーションがうまい人というと、大勢の人の前でも臆することなく、ときにユーモアを交えながら聴衆の興味を引きつけて話ができる、生まれながらのセンスを持っている人だという印象をもっている方もいるかもしれません。先ほども例に挙げたスティーブ・ジョブズ氏は、聴く人の集中力を途切れさせない話し方や、身振り手振りなどの演出を自在に操る、まさにプレゼンテーションの神様のような存在と言えるでしょう。

しかし、このような人の心をつかむプレゼンテーションを行なう能力は、トレーニングすれば誰でも身につけられるのだそう。子どもや若者向けのプレゼン授業やワークショップを行なう一般社団法人アルバ・エデュ代表の竹内明日香さんは、次のように述べています。

プレゼンはスポーツや芸術ほどにはセンスを問われない分野ですから、「ノウハウ×練習」で上手になるんですよ! プレゼンは筋トレと一緒なのです。

(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|世界で通用する「話すちから」を鍛えよう! 『アルバ・エデュ』竹内明日香さんインタビュー【第1回】

控えめで自己主張が苦手だといわれる日本人でも、適切な形で学んで練習すれば、プレゼンテーション能力を鍛えることができるのです。それにはまず、「話すちから」を育てることが大切だと竹内さんは話します。

たとえば、面接のときに自分のことをきちんとアピールすることだったり、親に買ってほしいものをしっかり伝えられるかなどもそうですし、とりとめのない考えが浮かんだとき、自分の考えはこうだ、と論理立てて整理することも、全て「話すちから」なのです。

(引用元:こどもまなび☆ラボ|世界で通用する「話すちから」を鍛えよう! 『アルバ・エデュ』竹内明日香さんインタビュー【第1回】

例えば、「ゲーム買って!」という子どもの一言をもとにしても、プレゼンテーションのトレーニングができるということです。では、具体的に何をすれば「話すちから」を育むことができるのでしょうか。

家でプレゼン03

「ゲーム買って!」で「話すちから」を鍛えるには

竹内さんによれば、相手に何かを伝えるには、まず以下の3つを考えることが大切なのだそう。

●自分が聞き手に伝えたいことは何か?
●相手が最も喜ぶ情報は何か?
●相手を納得させるにはどうしたらいいか?

 

子どもがパパやママにゲームを買ってもらう交渉をしていると想定して、これら3つについて考えてみましょう。

●自分が聞き手に伝えたいことは何か?
ゲーム機とゲームソフトを買ってほしい

●相手がもっとも喜ぶ情報は何か?
・テストの点数が下がらないようにする
・今までやっていたお手伝いを続ける
・早寝早起きなど正しい生活習慣はキープする
・視力を下げないように気をつける
・次から次へとゲームソフトを買い足さない

●相手を納得させるにはどうしたらいいか?
・勉強やお手伝い、早寝早起きなど今まで頑張っていたことは続ける
・視力を下げないためにもゲームの時間を決める
・ゲームソフトは、自分で計画を立ててお小遣いやお年玉で買う

親御さんからしても、子どもからこのような内容を伝えられれば、「買ってあげてもいいかも」と思えるのではないでしょうか。相手に自分の意思を伝えて説得するには、ただ「ゲームを買ってほしい」とねだるのではなく、パパやママに「それなら買ってもいい」と思ってもらうにはどう伝えるべきかを考え、順序立てて話すことが大切です。すなわち、「話すちから」を育てるには「考えるちから」も必須だということですね。

子どもが何かをねだってきた際には、上記3つを伝えて「この3つを考えてパパとママを説得してごらん」と言ってみてはいかがでしょう。プレゼンテーション能力を鍛える良いトレーニングになりますよ。

家でプレゼン04

「考えるちから」「話すちから」を家庭でアップする方法

先の例で述べたように、プレゼンテーション能力、すなわち「話すちから」を育むには、「話す内容を考えるちから」も必要になります。むしろ、土台として「考えるちから」がなければ「話すちから」はつかないと言えますね。

欲しいものをねだるとき以外にも、家庭で「考えるちから」や「話すちから」を育むことのできる習慣をご紹介しましょう。

●子どもに選択させる
日本では、子どもが幼いうちはその日着る服や履く靴、持っていくカバンなどを全て保護者が決めている場合が多いことでしょう。しかし欧米では、たとえ子どもであっても自分の意思を表明することが求められます。

アメリカで4,000人以上の子どもの教育に携わっている船津徹さんによると、欧米の家庭では子どもに “YES or NO!” “It’s up to you!”と選択させ、幼い頃から「好き・嫌い」「イエス・ノー」をはっきり表現できるようトレーニングしているのだそう。こうして選択に迫られることで、自分で考える習慣がついていくのです。

子どものためを思うあまり、「このカバンは小さいから今日持っていくのには向いてない」「この組み合わせはおかしいからやめたほうがいい」などと口を出すのは、お子さんから考える機会を奪っていることにつながりかねません。

無制限に選択させるのも考えものですが、小さい頃には洋服や靴下、カバンといったちょっとしたものから、子どもに選ばせることを習慣づけてみてはいかがでしょう。

●感情を言葉にする習慣をつける
お子さんの前で、ポジティブな感情を口にしている人も多いのではないでしょうか。しかし、子どもの表現力を上げるためには、ネガティブな感情を表現することも大切です。

教育コンサルタントの上野緑子さんいわく、親がネガティブな感情を表現することで、子どもは「ネガティブな感情も表現していいんだ」と知り、どんなときでも素直に感情を表現するようになるのだとか。

子どもの前で弱音を吐くのは気が引けるかもしれませんが、たまには「今日、お仕事でミスしちゃって悔しかったんだ」といった話もしてみてはいかがでしょうか。

また、上野さんいわく、子どもがうまく自分の感情を表現できない際に親がサポートしてあげることも大切なのだそう。「かけっこ、1位になれなくて悔しかったね。先週パパとたくさん練習したから余計に悔しいよね。次は1位をとりたいね」と表現を手伝うことで、子どもの表現力が上がります。

●家族の前でプレゼンごっこ
お子さんが幼稚園や学校から帰宅したあと、「今日はどんなことをしたの?」と話を聞くご家庭は多いことでしょう。それを発展させた形で簡単なプレゼンごっこをしてみてはいかがでしょうか。

その日に起きた出来事の話でも、学校で流行っているものの話でも、何でもかまいません。原稿を持たずに3分間程度お話するプレゼンごっこをしてみてください。前出のボーク氏は、子どものプレゼンに対して褒めるだけではなく、あえて別の意見も提案することを推奨しています。

子どものプレゼンに対しては、ほめるばかりでなく、あえて「わたしはそうは思わないけどな」「別の考え方もあるんじゃない?」と別の意見も提案してみましょう。目的は、子どもの意見を変えさせることではありません。「そんな考え方もあるんだ」と気づかせ、自分の意見をあらためて見直させることで、深い思考力を養うのです。また、ちがう意見が出てきたときに即座に「批判された!」と喧嘩腰になったりネガティブに捉えなくなったりする習慣を身につける訓練にもなります。

(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|グローバル社会を生き抜く「プレゼン力」は自信から生まれる――全米最優秀女子高生の母・ボーク重子さんインタビューpart2

日本で生活する人たちの、国籍やバックグラウンドの多様化が進む今、自分の価値観とは異なる意見を受け入れる練習も必須ですね。

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プレゼンテーション能力を高めるには「考えるちから」「話すちから」を育むことがカギのようです。今回、ご紹介した方法はすぐに始められるものばかりですので、さっそく今日から親子でスタートしてみませんか?

(参考)
こどもまなび☆ラボ|世界で通用する「話すちから」を鍛えよう! 『アルバ・エデュ』竹内明日香さんインタビュー【第1回】
こどもまなび☆ラボ|子どもたちが国際社会で活躍するために必要な「話すちから」 竹内明日香さんインタビュー【第2回】
All About|プレゼンテーション能力をアップする!
ITOKI|竹内さん、グローバルに働くうえで日本人に足りないものはなんですか?
文部科学省|主体的・対話的で深い学びの実現(「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善)について(イメージ)
ダイヤモンド・オンライン|インド・欧米に学ぶ「考える力」を伸ばす教育とは
学びの場.com|意外と知らない”アクティブ・ラーニングのねらい”(vol.1)