2021.8.20

子どもを伸ばすリビングには〇〇があった。リビング学習の効果を上げる方法

長野真弓
子どもを伸ばすリビングには〇〇があった。リビング学習の効果を上げる方法

「東大生はリビングで勉強している」と、リビング学習が話題になって久しいですね。でも、勉強場所をリビングにするだけで、本当に成績が伸びるのでしょうか!? 今回は、勉強だけでなく、好奇心や創造力なども含めた「子どもの能力アップを叶えるリビング」について考えてみました。

以下は、子どもを伸ばすリビングの条件です。あなたの家のリビングはいくつ当てはまりますか?

  • 家族団らんの時間がある
  • リビングにキッズスペースがある
  • おもちゃはオープン収納になっている
  • おもちゃは定期的に入れ替えをしている
  • 子どもはリビングで勉強をしている
  • すぐに取り出せる場所に勉強道具をまとめている
  • 高さ調節ができる椅子を使っている
  • 照明が暗すぎない
  • リビングに本棚がある
  • リビングに地図と地球儀がある
  • リビングに辞書がある

「家族団らん」が子どもの脳を成長させる!?

「リビング」と「子どもの成長」――さて、どんな関係があるのでしょう?

『わが子を天才に育てる家』著者で一級建築士の八納啓創氏は、リビングでの会話が多い家庭で育った子どもは、コミュニケーション能力が高いと話しています。また、「家族団らんが子どもの脳を成長させる」と強調するのは、脳研究者で東京大学薬学部教授の池谷裕二氏。

子どもと同じ部屋で過ごせば、親の目が届くし、お互いの声が聞こえるのも安心感につながります。実は、就学前に親との接点が多ければ多いほど、記憶にかかわる脳の器官「海馬」が大きく成長し、知的能力の発達がよくなるというデータがあります。

(引用元:&Stories by Mitsui Home|子供が居心地のいい空間とは 太字は編集部が施した)

さらに『東大脳の育て方』など多数の著書がある脳医学者・瀧靖之氏も、リビングでの家族団らんが、子どもの脳の発達に大きく貢献していると述べています。幼少期は思考や創造性をつかさどる前頭葉が発達する大切な時期。ですから、この時期に家族団らんでコミュニケーションを多く体験するればするほど、共感性などの「生きる力」が育まれるのだそう。

リビングは子どもの成長にこんなにも密接に関わっているのですね。では、子どもの成長を促すリビングについて、次項から詳しく説明していきます。

伸びる子のリビング1

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
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【未就学児】子どもを伸ばす「キッズスペース」

まずは、未就学児のお子さんがいるご家庭のリビングについて考えていきましょう。乳幼児期は、家族とたくさん交流をもてるリビングが理想的。ですから、子ども部屋ではなく、親の目が届くリビングで遊ばせたほうがよいそうです。次のポイントを参考にしてみましょう。

ポイント1:キッズスペースをつくる

リビングに子ども専用の空間をつくりましょう。前出の脳研究者・池谷氏の自宅では、あえてソファを壁につけずに少し隙間をあけておくのだそう。そのソファ裏スペースが、子どもの最高の遊び場となるからです。子どもは、 “秘密基地” のような狭い場所が大好き。リビングの一角を家具などで仕切って、キッズスペースにしてもいいですね。

小さなテーブルを置けば、そこでお絵かきやねんど遊びもできます。乳幼児教育学が専門の大豆生田啓友氏は、「工作グッズを入れたトレイ」を置いておくことをすすめています。「子どもが好きなことに徹底して取り組める環境」を整えてあげると、子どものやり抜く力が育まれるそうですよ。

ポイント2:おもちゃの収納場所は子ども目線で

おもちゃの収納場所は、子ども目線で考えましょう。子どもがアクセスしやすく、手が届く場所であることが何よりも重要です。

おもちゃはオープン収納がベスト

『頭のよい子が育つ片づけ術』著者で(社)日本収納カウンセラー協会主宰の飯田久恵氏は、オープン収納をすすめています。たとえば、カラーボックスに仕分け用のケースをセットするなど、中身が見やすく、おもちゃが取り出しやすくなるような工夫をしましょう。前出の大豆生田氏によると、自分が遊びたいときに、自分で遊びたいおもちゃをパッと選べるような収納が理想的なのだそうですよ。

おもちゃは “指定席” に片づける

「クレヨンや画用紙はこの棚」「人形は青のボックス」など “おもちゃの指定席” を設けましょう。飯田氏は、「子どもでもラクに戻せる指定席を決めてあげれば、片づけの習慣はちゃんと身につくもの」と話しています。また、「片づけなさい!」と強い口調で命令するのはNG。「きょうだいでお片づけ競争をする」「音楽に合わせてノリノリでお片づけ♪」など、子どもが自主的に片づけられるよう、お片づけも遊びにしてしまいましょう。

おもちゃは定期的に入れ替える

おもちゃは、子どもの成長にともない増えてしまいます。しかし、アメリカ・トレド大学の研究(2017年)では、「おもちゃの数が少ないほど、子どもの創造性は育まれる」という結果が。「ひとつ買ったら、ひとつ処分する」などのルールを設けて、おもちゃは定期的に入れ替えたほうがよさそうです。おもちゃメーカーのセガトイズが環境問題に取り組む一環として始めた玩具回収制度「セガトイズエコプロジェクト」を利用してみるのもひとつの手。他メーカーのものや壊れたおもちゃも下取りOKですよ。

伸びる子のリビング2

【小学生】効果が上がる「リビング学習」4つのコツ

次は小学生のリビングを考えていきましょう。「リビング学習」が話題になり始めてから10年以上がたち、いまや小学生の約8割がリビング・ダイニングで勉強をしているようです(株式会社ニトリ・株式会社ベネッセコーポレーション共同調査 2020年)。リビング学習が選ばれる理由は、「安心感がある」「集中力が保てる」「すぐ質問できる」「(親が子どもの)学習状況を把握しやすい」など。

100マス計算などの「陰山メソッド」で知られる教育者・陰山英男氏もリビング学習の効果を認めているひとりです。陰山氏、そして、中学受験のプロ・小川大介氏、前出の飯田氏、八納氏のアドバイスを参考に、リビング学習のコツをご紹介します。

コツ1:親の視線を感じさせない

勉強に集中するためにはリラックスが大事ですので、親に見張られているという緊張感は避けたいところ。たとえば、ダイニングテーブルに親子で対面で座るというのはよくありません。子どもは常に親の視線が気になってしまいます。空間に余裕があれば、窓際に横長の机を置くのがよいでしょう。きょうだいで並んで勉強することも可能です。

コツ2:親は口出しをしない

同じ空間で子どもが勉強していると、親は気になって、口を出してしまいしがち。「もっと字をきれいに書きなさい」「まだその問題を解いてるの?」などの小言は、子どもの集中力もやる気も低下させてしまいます。家事や仕事、読書をしながら、「子どもの顔は見えないけれど、学習の雰囲気がわかるくらいの距離」で、子どもの勉強を見守りましょう。

コツ3:勉強道具は見える場所にまとめる

勉強道具を探す手間が原因で、勉強を後回しにしてしまう子は少なくありません。勉強道具は収納トレーなどにまとめ、子どもが「勉強しよう」と思ったときに、ノートや鉛筆、消しゴムなどをすぐに取り出せるようにしておきましょう。また、ダイニングテーブルで勉強する場合は、消しゴムかすが散らばらない学習用テーブルマットを敷くのもおすすめです。

コツ4:椅子や照明は子どもに適したものを選ぶ

リビング・ダイニングは、もともとくつろいだり食事をしたりする場なので、家具や照明が勉強に適していないこともあります。特に椅子は重要で、足がぶらぶらするような高すぎる椅子は集中の妨げになります。「E-Toko 頭の良い子を目指す椅子 学習チェア」のような、座面、足置きともに高さ調節ができる子ども用の椅子がよいでしょう。照明についても、頭や手の影で手元が暗くなってしまう場合は、デスクライトで照度を足すなどして、調整してあげてください。

伸びる子のリビング3

【未就学児・小学生】学習意欲を高めるアイテム3つ

人は環境から大いに影響を受けます。何に囲まれて過ごすかで、興味の対象や習慣が変わることもあるでしょう。そこで、子どもの好奇心や学習意欲を高めるためにリビングに置いておきたい、おすすめアイテムを3つご紹介します。

アイテム1:アラカルト本棚

多くの教育関係者がリビングに本棚を置くことをすすめています。「大人になってからの認知能力の高さは、子ども時代に本に囲まれた環境にあったかどうかに大きく影響される」と脳科学者の茂木健一郎氏も言っているように、読書習慣は子どもの将来の学力を左右するからです。書斎や子ども部屋に本棚を置いているというご家庭は、ぜひこの機会に本棚をリビングに移動させてみてはいかがでしょう?

そして、子どもの好奇心や学習意欲を促す「アラカルト本棚」をつくってみてください。「アラカルト本棚」とは、「アラカルト方式で好きな本を選ぶことのできる家族共有の本棚」のこと。『東大生の本棚』著者である西岡壱誠氏が子どもの頃、自宅には、文化系、理系、雑誌、漫画などさまざまなジャンルの本が並ぶ本棚があり、気のむくままにいろいろな本を読んでいたそう。この環境が、好奇心と探究心を育み、学力向上にも役立ったと話しています。

「アラカルト本棚」をつくるときの注意点をひとつだけ。本は、大きさや種類(辞書、実用書、小説など)ではなく、テーマ(車、動物、宇宙、伝記など)で分類しましょう。テーマ別に分けることで、子どもが読みたい本を見つけやすくなりますよ。

アイテム2:地図と地球儀

地図や地球儀も、子どもの好奇心を刺激するアイテム。「勉強しなさい」の代わりに、リビングに地球儀を置いてくださいと言うのは、前出の小川氏。たとえば、家族でテレビを見ていて「リビアってどこにあるんだろうね?」といった会話をすることがありますよね。そんなとき、リビングに地球儀や地図があれば、「紅海をタンカーが通るの? 狭いのにぶつからないの?」と、話が広がるかもしれません。

もしお子さまが「ガーナの首都はアクラだよ。お母さん、知ってた?」なんて得意顔で言ってきたらしめたものです。子どもが伸びる魔法の言葉、「すごいね」「おもしろいね」「もっと教えて」と返してくださいね。「しゃべる地球儀 パーフェクトグローブ ネオビジョン」は、小川氏がおすすめしている地球儀。音声解説つきで、クリアな映像も見られる未来型地球儀です。遊びながら学べるツールが満載なので、地理だけでなく、歴史の知識もするする頭に入るでしょう。

アイテム3:辞書(国語辞典)

国語辞典もリビングの必須アイテム。なぜならば、国語辞典を使う機会は、勉強部屋よりもリビングにいるときのほうが圧倒的に多いから。文章力養成コーチの松嶋有香氏は、「お父さんがお母さんに何かを言った。その言葉を調べる」「ニュースでキャスターが何か言った。その言葉を知らなかったから調べる」というアクションはリビングで起きやすいと話します。

また、国語辞典を引くときの「準備にかかる時間や動作を最小限にする」のも大切なのだそう。松嶋氏は「国語辞典を買ったら、まず最初に外箱を外しましょう!(外箱は捨ててもよい)」とすすめています。すると、「調べよう」と思ったときすぐに「調べる」ことができます。手間が少ないから、辞書引きが習慣になるのです。

こどもまなび☆ラボおすすめの国語辞典は、『新レインボー小学国語辞典 改訂第6版』。全ページオールカラーで、見やすく、引きやすく、使いやすい! 新学習指導要領にある「思考力」「判断力」「表現力」に対応するのための「学び」が詰まった国語辞典です。

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【小学生】リビング学習を卒業するのはいつ?

では最後に、リビング学習を卒業する年齢について考えてみましょう。ノムコムwith Kids「子ども部屋についてのアンケート」調査(2015年)によると、中学生までは6割以上の子どもがリビング学習をしているようですが、高校生以上になると、リビング学習をしている子は7割以下に。個人差もありますが、どうやらリビング学習を卒業するのは中学生~高校生のようです。

とはいえ、リビング学習卒業後も、リビングが家族団らんの場であることには変わりありません。積水ハウスの調査では、「子どもは成長とともに独立心が芽生え個室を求めるようになるが、同時に家族が集まる場所にも心地よい居場所を求める傾向がある」ことがわかっています。子どもがリラックスできるような空間を保ちたいものですね。

***
リビングは家の中心にあり、家族のかたちを表す場所と言っても過言ではありません。その心温まる場所で勉強することが子どもにとって悪いわけはありませんよね。学習を含め、リビングで過ごす子どもの様子をしっかりと見守ってあげることが、伸びる子のリビングの秘訣と言えるかもしれません。

(参考)
四十万靖 著, 渡邊朗子 著(2010), 『頭のよい子が育つ家』, 文春文庫.
小川大介(2016),『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』, すばる舎.
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