あたまを使う/国語 2019.4.24

国語辞典を買ったらすぐやる3つのこと。「辞書引きの習慣化」はこうすればうまくいく!

松嶋 有香
国語辞典を買ったらすぐやる3つのこと。「辞書引きの習慣化」はこうすればうまくいく!

小さい体に大きくて真新しいランドセルを背負った1年生。通学路ではそんな子どもたちが一所懸命歩いている姿を見かける季節になりました。何もかもが始まる春。こちらまでわくわくしてきます。新しい習慣の一つとして「辞書を引く」ということを取り入れてみましょう。実は子どもの学習環境を見直すことで、大人にも良いヒントがたくさん得られるんですよ。

その1 外箱をはずそう!

こんにちは。ゆか先生です。前回は、国語辞典の選び方をお伝えしました。記事を読んで、親子で書店に出向いた方も多いのではないでしょうか。辞典売り場で、どれが良いかと選んでいる微笑ましい親子を見かけるたびに、こちらもとてもうれしい気持ちになります。「もしよろしければアドバイスしますよ」と声をかける怪しいおばさんがいたら、それは私です。何でも聞いてくださいね。さて、辞典を買ったらまずすることが3つあります。今日はそのお話をしますね。

さて、何ごとに関しても、それを習慣づけるためには、準備にかかる時間や動作を最小限にすることがポイントです

例えば、身近な例で言うと、体重計。ダイエットや健康管理の目的のために、毎日体重を量ると決めたとしましょう。もし、体重計が脱衣所の棚の奥、ケースに入っているとしたら、それを棚から出して、箱から出して、乗って量るまでに何秒かかりますか?

実は人間というものは、その間にも「量るのをやめる理由」をあれこれ思いついてしまうのです。「今日は食べ過ぎちゃったからやめとこ。増えているのわかりきっているし!」こんなふうに数秒の間に考えてしまうのです。

増えているのがわかりきっているけれども、あえて量るからこそ、意味があるのですよね? 量ったらドキッとするから量ることに決めたわけですよね? わかりきっているけれども、量ってみてはじめて「明日は気をつけよう」という反省につながるはずですよね? だから、目的がダイエットだとしたら、いいわけ無用でいつでもさっと量れるように体重計を出しておくのが正解なのです。

他に、毎朝ウォーキングをしようと決意したら、起きてすぐに着替えられるようウエアを枕元に置いておく。家計簿を毎日つけたいと決心したのなら、帳簿は引き出しの奥ではなく、最上段の開けたらすぐ見える場所に置いておく。楽器を習い、毎日練習すると決めたなら、いつでも練習できるよう、楽器をケースに入れないで出しっぱなしにしておく。こんな工夫が該当します。

逆に、やめたいと思っている悪習については、スタートするのに時間がかかるようにしておけばいいのです。スマホのゲームアプリは一番奥の画面に、しかもフォルダを作ってその中にしまう。ついつまみ食いしてしまうクッキー類は、さっと食べられないように、タッパーにうつして野菜室の奥にしまうなどです。おもしろいでしょう?

ちなみに私は、スマホのゲームアプリフォルダに「ひまなの?」という名前をつけ、最後尾に置きました。そのフォルダにたどり着くまで「またやるんだ、私……」といや~な気分になり、フォルダ名を見るたびに自分が情けなくなり、その一週間後には、見事フォルダごと削除できました。今、スマホにゲームアプリは1つも入っていません。

わかりやすいようにと大人の話にしましたが、実は子どもの学習にも同じことが言えます
続けてほしい良い習慣に関しては、とりかかるまでにかかる時間を最小限にするようにします。
やめてほしい悪い習慣については、手間をかけないとできないようにするというわけです。

さて、辞典の話に戻しますよ。国語辞典の目的は「言葉の意味を調べる」ことです。辞書が主体ではありません。つまり「さあ、今日は国語辞典の勉強をしよう」ではなく、何か本来の勉強などがあり、その途中で分からない言葉があったときに初めて国語辞典の出番となるわけです。

ですから、本棚から出す、外箱をはずす、その手間をなくすために、外箱自体をなくしてしまおうということです。外箱は捨ててしまって大丈夫です。 もう二度と使いません。

「いつまでもきれいに使いたい」こういう大人の気持ちも分からなくありませんが、いつまでもきれいに使うために、お子さんはかなりのエネルギーを使います。そのエネルギーがもったいないですよね。

また、小学生用の国語辞典は、早い子で4、5年生、遅くても6年生までしか使いません。その後は中学生用や大人用の辞書に切り替えます。それまでの期間だったら、毎日使ったとしても、綴じてある糸がほつれるほどにはなりません。むしろ、ぼろぼろになるまで使われた辞書って、天命を全うした感じがしませんか?

その2 名前を書こう!

私が次にすべきこととして推奨しているのが、本の「天」か「地」、まっすぐに立てた時の上か下ですが、そこに名前を書くことです。「自分だけのたからもの」としてもらうのです。ぜひお子さん自身に書かせてください。

これにも抵抗がある保護者の方がいるようです。買ったばかりの本にマジックで名前を書くなんて。しかも子どもの字で? と。また、できるだけきれいに使って下の子に、と思う人もいると思いますが、前回お話ししたとおり、兄弟姉妹がいてもそれぞれの辞書を使うことを強くおすすめします。ましてや、教育漢字改訂中です。下の子に、という考えは少し無理そうです。

人間は、人と共有のものより、自分のものを大切に扱います。名前を書いてあるものは特にそうです。そして自分で書いたならなおさらですよね。子どもも同じです。どんなに心配でも、ぜひ、お子さんに書かせてみましょう! そしてきちんと書けたねの言葉もお忘れなく。今日からこの辞典はあなただけのお友達ね!とも声をかけてあげましょう。

その3 リビングに置こう!

使うまでの手間を省くのに、外箱をはずす話を書きましたが、置き場所に関しても同じ法則が適用されます。使う時にさっと手に取れる場所にあることが大切。そのために、どんなシチュエーションで辞書を利用するか想像し、その場所に置けば良いということが分かります。

小学生の子どもを持つ友人で、すでに国語辞典を利用している方たちにアンケートをとってみました。ご協力くださいましたみなさん、ありがとうございました。

これによると、リビングの本棚、テーブルなど、6割強の人たちが、リビングに置いていることが分かります。これは、国語辞典を使う機会がリビングにいる時に多いからです。地球儀や世界地図、百科事典もリビングに置くといいということはここ数年、いろいろな教育雑誌でも取り上げられているもので、すべて「調べたいと思った時に調べる」というアクションがリビングで起きやすいことが原因です。

お笑い芸人が何か言ってみんなが笑った。その言葉を知らなかったから調べる。
ニュースでキャスターが何か言った。その言葉を知らなかったから調べる。
お父さんがお母さんに何かを言った。その言葉を調べる。
本を読んでいたら、知らない言葉が出てきたから、調べる。

そんなシチュエーションがリビングにはあふれていると思います。連載第1回でも書きましたが、知らないことをそのままにしないことが大切です。保護者のみなさんも、知らない言葉があったら、スマホではなく辞書を開いてみましょう。百聞は一見にしかず。スマホでインターネット検索したのとは全く違う世界を感じることができますよ!

次回からは、具体的な辞書の引き方について、基本的な方法と、発展的な方法についてお伝えします。

■ 連載『ゆか先生の 国語辞典の世界へようこそ』各回の内容
第1回:国語辞典でこの時代を生きぬくための基本動作が身につく
第2回:子どもにぴったりの国語辞典を選ぼう!  電子辞書ってどうなの?
第3回:初めての国語辞典。カバーは? 置き場所は? どんなふうに引くの?
第4回:ゲーム感覚でやる気をアップ! 付箋紙やノートで記録する方法など
第5回:漢字辞典、百科事典、ことわざ辞典、四字熟語辞典、語源辞典など、子どもの世界の辞典いろいろ
第6回:まとめ 国語辞典を使えるようになった子どもたちのその後