あたまを使う/非認知能力 2025.12.2

リーダーになる子は「目立つ子」じゃない? 静かに信頼を集める子の【3つの特徴】

編集部
リーダーになる子は「目立つ子」じゃない? 静かに信頼を集める子の【3つの特徴】

「◯◯さんは、リーダータイプかも」
勉強もできて、友達も多くて、先生にも頼られている。でも──本当に “人を動かすリーダー” になれる子は、じつはそんなわかりやすいタイプではないかもしれません。

これからの社会で最も信頼されるのは、「この人になら任せられる」と思われる力。つまり、“信頼される力”をもっている子です。

AIやSNSで誰もが発信できる時代。強く主張することよりも、人に信頼され、安心して任せてもらえる力こそ、チームを動かし、社会を前に進めるリーダーの本質になっています。

この記事では、リーダーシップ研究や発達心理学の知見をもとに、「信頼される子」に共通する3つの特徴と、家庭でその力を育てるための “今日からできる教育ハック” を紹介します。

特徴1:約束を守る——小さな誠実さが信頼をつくる

リーダーに求められるのは、「有能さ」よりも「誠実さ」。ハーバード・ビジネス・スクールのフランシス・フレイ教授らの研究*1では、信頼は完璧さではなく、誠実さ(authenticity)から生まれるとされています。

信頼を構成する3つの要素として、「誠実さ」「論理性」「共感力」が挙げられており、特に誠実さは “本当の自分として行動しているか” という信頼の土台です。

たとえば、「明日○○をやるね」と言ったことをちゃんと覚えている、「うっかり忘れたけど、ごめんね」と素直に言える。こうした小さな行動の積み重ねが、「この子になら任せても大丈夫」という信頼につながります。

🏠 今日からできる教育ハック

  • 約束を守れたときに「ちゃんと覚えてたね」「最後までやり切ったね」と、行動を具体的にほめる
  • 守れなかったときも責めず、「どうすれば次は守れる?」と “再挑戦の機会” をつくる
  • 親自身も「ごめん、忘れてた」と正直に言い、誠実さのモデルになる

「約束を守る」は当たり前のようでいて、信頼の基礎。この “誠実さの積み重ね” こそ、リーダーシップの最初の一歩なのです。

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特徴2:人の気持ちを理解しようとする——共感が信頼を深める

共感力は、リーダーシップにおいて重要な要素であることが、複数の研究で示されています。

発達心理学の研究*2では、幼児期から共感性は発達し、保護者が感情について話し合い、子どもに視点取得を促すことで、より強い共感力と向社会的スキルが育つことが明らかになっています。

また、教育現場でのリーダーシップ研究*3でも、共感力をもつリーダーは教師やチームメンバーと密接な関係を築き、彼らのニーズや動機を理解し、組織全体のビジョンを共有する力が高いとされています。

共感とは、相手に優しくすることではなく、「この人はいま、どう感じているんだろう?」と理解しようとする力です。”その一言”、”その沈黙” の裏にある気持ちを想像できる子ほど、友達や仲間から「安心して話せる相手」として信頼を得ます。

🏠 今日からできる教育ハック

  • 会話のなかで「もし○○くんならどう思う?」と、他者の視点を促す
  • ドラマや絵本を見たあと、「この人、どんな気持ちだったと思う?」と一緒に考える
  • 子どもが友達の気持ちを気にかけたら、「いい気づきだね」「そう思えたの素敵だね」と言葉にして承認する

共感できる子は、人に寄り添えるだけでなく、対立する意見を整理し、チーム全体を前に進める “調整力” も備えます。理解しようとする姿勢こそが、信頼を深める最強のリーダー資質です。

3人の男の子が肩を組んでいる

特徴3:人に任せられる——”信頼する力” が “信頼される力” になる

Googleが2008年から実施したリーダーシップ研究「Project Oxygen」*4では、優れたマネージャーの行動特性として「チームメンバーに権限を与え、マイクロマネジメントをしない」ことが上位に挙げられました。

この研究では、優れたマネージャーに共通する8つ(後に10つに拡張)の行動特性が特定され、そのなかでも「チームメンバーをエンパワーする」ことが、離職率の低下、満足度の向上、パフォーマンスの改善に強く関連していました。

リーダーとは、すべてを自分で抱える人ではなく、人を信じて、任せる人です。

子どもも同じです。誰かに任せる = 相手を信頼するという行為。この「信じて任せる」経験を重ねることで、子ども自身も “信頼される側” へと育っていきます。

🏠 今日からできる教育ハック

  • 家事や係の仕事を「一度任せたら、口を出さずに最後まで任せる」
  • 結果がうまくいかなくても、「次はどうすればいい?」と一緒に振り返る
  • 任せる経験を繰り返すことで、“責任感と信頼感” がセットで育つ

「信じてもらった経験」が、自己肯定感とリーダーの芽を育てます。信頼は一方通行ではなく、信じることで信じられる循環を生むのです。

まとめ:信頼される子が、チームを動かす

リーダーシップとは、前に出て引っ張ることではなく、まわりから信頼されること。「約束を守る・相手を理解する・人を信じる」この3つの積み重ねが、子どもの “信頼される力” を育てます

家庭での声かけを少し変えるだけで、「強い子」ではなく、「信頼される子」に育てることができます。リーダーとは、”人に任せられる人”。そのスタートは、家庭の小さな信頼の積み重ねから。

子どもが「この人になら任せられる」と思われる存在に育つーー。それこそが、これからの時代を動かすリーダーシップです。

***
あなたのお子さんは、まわりから信頼されていますか? 前に出るタイプじゃなくても、大丈夫。あなたのお子さんがもつ「約束を守る誠実さ」「人の気持ちを理解する優しさ」が、これからのリーダーシップそのものです。

(参考)
*1 Harvard Business School|Frei, F. X., & Morriss, A. (2020). “Begin with Trust.” Harvard Business Review.
*2 Frontiers in Psychology|Wagers, K., & Kiel, E. J. (2019). “Parenting and temperament influences on empathy development.”
*3 Taylor & Francis Online|“The role of empathy and empathic leadership practices in schools – a scoping review” (2025)
*4 Harvard Business Review|Garvin, D. A. (2013). “How Google Sold Its Engineers on Management.”
*5 PMC (PubMed Central)|“The Influence of Parenting and Temperament on Empathy Development in Toddlers”