あたまを使う/国語 2018.2.28

すべての学力の土台となる「国語力」

編集部
すべての学力の土台となる「国語力」

国語という教科について、特別な勉強をする必要はないと考える人は少なくありません。なぜなら、生まれたときから日常的に耳にする言語そのものであり、普段の生活においてそこかしこに存在する文章のほとんどは日本語=国語であるととらえられているからです。

しかし「国語力」は他のすべての教科に強い影響を及ぼします。算数も理科も、文章問題の内容を理解できなければ答えを導き出すことは困難でしょう。つまり、「国語力」を鍛えることによって、すべての教科を読み解く能力が向上するのです。

「国語力」とはどのような能力?

まず「国語力」とは、具体的に何を指すのでしょうか。

大まかに語彙力・論理的思考力の2つから成り立っており、どちらかが欠けてもその力を発揮することはできません。

つまり、どんなに知っている言葉が多くても、その言葉を取り入れながら文章を組み立てる能力が低ければ、宝の持ち腐れとなってしまうでしょう。逆に、難しい文章を論理的に読み解き、他者にわかりやすく伝える能力が備わっていたとしても、語彙力が不足していては活かすことができないのです。

それらに加えて、読解力表現力なども「国語力」を総合的にアップさせるには欠かせない要素であると言えるでしょう。知っている言葉の数、その言葉の意味、文章を読み解く力、内容に対する理解力、そして人に伝える力……普段何気なく使っている日本語=国語は、実は複雑な要素が絡み合って成り立っているのです。そしてそれぞれの要素をしっかりと鍛えることによって、他の教科にも強くなる基礎作りに役立つでしょう。

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語彙力を高めることで得られるメリット

語彙が豊かであることは、勉強面においても社会人として生活する場面においても、大きな利点となることは誰もが理解できます。では語彙が豊富であることによって、具体的に何が高まるのでしょうか。

「現代人の語彙に関する調査」(朝日新聞・ベネッセ共同調査)から、大変興味深い結果が導き出されました。それは、語彙力が豊富な人ほど主観的幸福度が高く、また世帯年収の高さにも少なからず関連があるということです。つまり、豊かな語彙は社会に対する見聞を広めるだけでなく、間接的ではあるものの、より良い生活にもつながる可能性が高いのです。

さらに同調査によると、語彙力が高い人ほど「語彙力が実際に役立った」と実感していることがわかります。具体的には「レポートなど長い文章の作成」「授業での発表」「就職試験の面接」「仕事でのプレゼンテーション」といった場面はもちろん、「家族との人間関係」においても語彙力の強さが良い方向へと作用していることを感じているのです。

また、年齢や性別にとらわれずに、たくさんの人と会話する機会が多いことは語彙力アップにつながるという結果も出ています。子どもの世界を広げるだけでなく、語彙力を高めるためにも、あらゆる場面で積極的に交流の輪を広げてあげるといいでしょう。

論理的思考力を鍛えることで他教科が伸びる

東進ハイスクールの現代文講師として活躍し、論理的な国語術に関する著書を多く執筆している出口汪先生は、国語力を上げることが他の教科に強くなる近道だと力説します。

国語力は、すべての教科の土台です。なぜなら、英語や数学、理科や社会の問題でも、問題文を論理的に読んで、論理的に考え、論理的に答える力が求められるからです。また、どの教科も、学習した内容を論理によって理解・整理することで、記憶しやすくなるだけでなく、自分の頭で考えることができ、自学自習の力もつくようになります。その結果、応用力も養成され、テストでも高得点を取ることが可能となるのです。

(引用元:出口汪(2015),『子どもの頭がグンと良くなる! 国語の力』,水王社.)

さらに、「国語によって言葉の力を身につけた子どもは、豊富な語彙力に比例して、様々な角度からものごとを見たり、微妙で繊細な心のありようを感じたりすることができるようになる」ことで「様々な価値観や人の心の奥底にあるものを理解できる、深みのある人間へと成長する」とも述べています。

他の教科に強くなるだけではなく、子どもの将来にも確実に必要とされる「国語力」。小さいうちからその素地を作ってあげることで、子どもが成長したときに成果を実感することができるはずです。

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国語力を高めるためには、子どもにたくさんの本を与えるだけではなく、その内容への理解を深めることが大切です。お互いに感想を伝え合ったり、内容について論理的な視点で議論をしたりすることで、親子の時間もさらに充実したものとなるのではないでしょうか。

(参考)
第2回 現代人の語彙に関する調査|調査詳細データ1 語彙力の世代別・種類別実態
第2回 現代人の語彙に関する調査|調査詳細データ3 社会参画への意欲 語彙力の有用感・役立ち感 デジタル利用
出口汪オフィシャルサイト|グーンと伸びる、小学生のチカラ
出口汪(2015),『子どもの頭がグンと良くなる! 国語の力』,水王社.