2018.11.3

コミュニケーション能力向上につながる! 子どもの「自己表現力」を育む3つの方法。

コミュニケーション能力向上につながる! 子どもの「自己表現力」を育む3つの方法。

自分の感情を言葉にできず、泣きわめいたり、怒ってしまったり、物に当たってしまったり……。そんな場面で、保護者のみなさんは子どもにどう接していますか?

親の接し方によっては、子どもが余計にストレスを抱えてしまったり、周囲の友だちとのトラブルを起こすきっかけになったりしてしまいます。そしてその積み重ねが、その子のコミュニケーション能力にも影響してくるでしょう。

そこで、親としてどんな声がけをし、寄り添うべきか。さらに、子どもの「自己表現」を上手に引き出す方法をご紹介します。

子どもの「気持ち」を親が「言葉」にしてあげる

ボキャブラリーがまだまだ未熟な幼少期の子どもにとって、自分の感情をうまく言葉にすることは難しいこと。しかし他者とのコミュニケーションを考えたときに、自己表現はとても大切なのです。では、気持ちを表現する言葉をどのように引き出していけばいいでしょうか。

まず、自分の気持ちを表現するためには、子ども自身が自分の気持ちを知ることが重要です。親は、子どもの様子から気持ちを察知して、その気持ちを言葉にしてあげましょう

「子どもがとても「嫌な気持ち」でいる場合は、「イライラする」「悲しい」「悔しい」「寂しい」のように感情にもさまざまな種類があります。しかし、子どもが自分自身でどのように感じているのかを理解することは難しいです。周りの大人が、話を聞いてあげて、「それなら、その『嫌な気持ち』は『悔しい』ってことだと思うよ」というように、子どもの気持ちを言葉にしてあげましょう。子どもの気持ちに「ラベル」を貼ってあげるようなイメージです。」

(引用元:NHKエデュケーショナル|子どもの気持ちを知るヒント「思いを『言葉』で伝えさせる」

このように、子どもが初めての感情に向き合っているときは、親がその気持ちに当てはまる言葉や表現を代弁してあげるのです。すると、子どもが自分の今の感情と言葉をリンクさせて、それを習得することができます

また、このような感情と言葉のリンクを繰り返していると、周りにいる友だちの気持ちも理解できるように。そして友だちが、自分と同じような気持ちをもっていることや、ときに違う気持ちになることがわかるようになります

子どもの「自己表現力」を育む3つの方法2

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子どもが言葉を選んでいるとき、親は「待つ」!

子どもが自分の気持ちを表現できるように親が代弁してあげることが有効だと紹介しましたが、実は注意点もあります。大人が意図的な代弁をやりすぎてしまった場合、子どもはそうは思っていないのに、親の意見を押し付けられることになってしまうのです。

また、自分の望みや気持ちを口に出して伝える前に、何でも大人が代弁してしまったり、叶えてしまったりすると、子どもが周囲の人に自分の思いを伝えようとする意欲が育ちません

もしお子さまが言葉を選んでいるようであれば、「今、この子は一生懸命考えているんだ」と、言葉が出てくるまで待ってあげましょう

大人であっても重要なことを相手に伝えるときは、言葉を選ぶと思います。つい気持ちが焦ってしまうかもしれませんが、「子どもの表現力を育む時間」だと割り切って、ぜひ考える時間を与えてあげてくださいね。

この「考える時間」を奪ってしまうと、子どもは考えずに話すようになってしまいます。そしてその癖がついてしまうと、考えること自体が面倒になってしまうかも……。子どもが自分で気持ちを伝えるられるように、親が「待つ」ことはとても大切なのです。

子どもが何かを伝えたとき、周囲の大人にしっかりと話が聞いてもらえたという経験は自信につながり、自分の思いを伝えようとする意欲を育てることになります。

子どもの「自己表現力」を育む3つの方法3

絵本から豊かな「感情表現」を学ぶ

もし、自分の言葉選びや表現に自信がない方は、感情表現が豊かな絵本を子どもと一緒に読むなどして、親自身も学んでいくことが有効なようです。

たとえば、『どんなきもち?』(西村書店)などは、気持ちを表す言葉がたくさん登場するのでおすすめです。

わくわく、びくびく、もじもじ、しょんぼり。
むしゃくしゃ、やきもき、うっとり、どきん・・・・。

どんな時に、わくわくするのかな。
びくびくするって、どういうことかな。
怒っていることを伝えるには、どんな言葉があるのかな。

(引用元:EhouNaviStyle|「いま、どんなきもち?」 自分のきもちを考える絵本

子どもたちはこの絵本を読みながら、たくさんの気持ちがあることを知ります。

「こんなときは〇〇〇という言葉がぴったりだね」など、親子で話し合いながら読んでみましょう。登場する魚たちに共感しながら、自分のもやもやした感情を整理することができるようになるかもしれません。

お子さまのお気に入りの絵本にも、気持ちを表す言葉がたくさんあると思います。読み聞かせの際に、「どんなときに〇〇〇って気持ちにななるかな?」など、お子さまと話してみてくださいね。

たくさんの言葉を知ることで、お友だちや先生とのコミュニケーションがスムーズになり、園生活や学校生活を今以上に楽しめるようになるでしょう。

子どもの「自己表現力」を育む3つの方法4

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最近では、親自身も感情を表現する言葉が貧困になってきていることが問題視されています。「ヤバイ」「マジ」などのボキャブラリーだけでは、複雑な人間の感情を表現することは難しいといいます。まずは、親自身が普段からどんな言葉で気持ちを表現しているのかを見直すことも必要なのかもしれません。

子どもが上手に自己表現できるようになるには、小さな頃からの親の接し方や声掛けが影響するようです。子どもの気持ちを察して、事前に言葉選びをしてあげると、今の感情と言葉をリンクさせて習得することができます。もし、言葉選びが難しければ、気持ちについて考えさせる絵本を一緒に読んでみるのも効果的ですよ。

文/内田あり

(参考)
NHKエデュケーショナル|子どもの気持ちを知るヒント「思いを『言葉』で伝えさせる」
NHKエデュケーショナル|子どもが自分の気持ちをうまく表現できるようになるには?
ベネッセ 教育情報サイト|子どもの感情表現を人間的成長につなげる方法
PHP Online 衆知|子供の「感情」を育てよう
EhouNaviStyle|「いま、どんなきもち?」 自分のきもちを考える絵本
浦安に住みたい!web|子どもの才能を伸ばすお母さんの接し方 その3~”待つこと”と”がまん”が子どもの可能性を伸ばす~
ミース・ファン・ハウト作ほんまちひろ訳(2015),『どんなきもち?』, 西村書店.