教育を考える 2018.12.17

集中力が鍛えられる一人遊び。子どもの思考をストップさせる“ひと言”に気をつけて!

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集中力が鍛えられる一人遊び。子どもの思考をストップさせる“ひと言”に気をつけて!

子どもは2歳頃から、自ら一人で遊ぶようになります。自分なりに遊びを考え楽しんでくれる……となると、親は少しの間解放されたような、でも少し心配なような、なんとも言えない気持ちになるかもしれません。

なかには、まだ上手に遊べないからとすぐに手助けしようとしたり、寂しいだろうと一緒に遊んであげる親御さんも。

でも実は、一人で遊ぶ時間は、子どもの成長にとってとても大切な時間。幼い子どもが一人何かに没頭しているとき、親はどうしてあげるのが望ましいのでしょうか。

思考をめぐらす一人遊びに、お邪魔は厳禁

真剣に積み木を重ねたり並べたりしている子どもは、それだけでも頭の中で思考をめぐらせることを楽しんでいます。積み木の上にもう一つの積み木を乗せたらどうなる? 三つ目を乗せたら、どうして全部が崩れてしまうのかな? そんなことを考えながら、自分の手で考えを試しているのです。

ここで親が「こうすると倒れないね」「高く積み上げたいの?」「おうちを作ってみよう」などと口出しをしてしまうと、そこで自主的な思考はストップしてしまいます。

東京大学名誉教授・白梅学園大学学長の汐見稔幸氏は、子どもが自主的にやろうとする意欲を育てるには、親がいつも先周りをすることは避けるべきだと言います。

子どもが自分でやり始めたことは、なるべくそのままやらせてあげます。ちょっと後ろから見ていて、危ないときは助言をする、助けを求めていたらサポートする、という態度がとても大事だと思います。

(引用元:汐見稔幸(2011),『0〜3歳 能力を育てる 好奇心を引き出す』,主婦の友社.)

安心安全な環境の中、親はすぐに応えられる場所に

では、一人遊びの最中は、親はどの程度の距離を持って見守るべきなのでしょうか。

事故の不安がある場所や誤飲の心配があるものが近くにあったりするのなら、親はすぐそばにいるべきですが、親も子も安心できる場所であれば少し離れていても大丈夫。

子どもが自分をめぐる世界をひとりで探索するのを見守ってやるのは、なによりも大切なことです。ただし、その環境が安全な場合に限ります。子どもは経験を重ね、新たな挑戦に立ち向かうことを学び、自力で問題の解決方法を見つけだします。親がすぐ近くにいることをわかっていれば、子どもはさらに勇気づけられ、自立心の芽生えの兆候が現れます。

(引用元:デズモンド・モリス(2009),『デズモンド・モリス 赤ちゃんの心と体の図鑑』,株式会社 柊風舎.)

一人遊びの最中、親に質問を投げかけてきたり、作ったものを「見て見て!」と呼ばれたりしたときには、すかさず応えてあげると、子どももやる気アップ。家事をしている最中でも、そばまで行って一緒に喜んだりほめたりしてあげましょう。「待ってて」や「あとで」ばかりでは、せっかくの探究心や好奇心が削がれてしまいます

子どもの思考をストップさせる“ひと言”に気をつけて!2

一人遊びの楽しさに共感し、さりげないサポートを

誰に言われるでもなくどんどん挑戦するのが子どもというもの。子どもにとっては、おもちゃだけでなく家の中のものや目に入るものがすべて、好奇心の対象と成り得ます。

何かに興味を持ち一人遊びを始めたのなら、親は「ちょっと後ろからサポートしてあげる」という気持ちで寄り添えば、自立心が育まれていくはずです。

そんな “ちょっとだけ” サポートをご紹介しましょう。

■はさみを使う遊び

はさみを使って切るのに夢中になったら、「危ない」「散らかる」と制限するのではなく、まずは「好きなんだね」と共感してあげること。そしてできればチラシなど切ってもよい紙をたくさん用意してあげます。

■おままごと

自分の世界で夢中になっているとき、子どもはものすごい集中力を使っています。そんなときに「お母さんも入れて」なんて言うのはNG。ただし、子どもから呼ばれたときにはすぐに反応してあげましょう。

■ブロック遊び

真剣に積み上げていたり何かを作り出そうとしたりしていて、話しかけても聞こえないようなときの子どもは、フロー状態(集中力が高い脳の状態)に入っているかも。おやつや食事の時間を少しだけずらしてあげてもいいかもしれません。

■屋外での遊び

虫が好きな子だったら、思う存分虫探しができる時間を作ってあげます。近所の公園や草むらでも十分です。家では、知識や思考の幅を広げる図鑑や百科事典を与えてあげましょう。

また、一人でもくもくとやる子も多いのが、パズル。脳機能研究、神経哲学を専門としている十文字学園女子大学教授、白百合女子大学講師の森田勝之氏は、パズルを完成させるまでの試行錯誤は脳を鍛える基本であり、完成するまであきらめない、我慢する、といった経験が感情のコントロールの基礎となっていくと言っています。

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一人遊びの大前提として、一人で遊んでいてほしいからと突然ほったらかしにするのではなく、自発的に始まった場合にそっと見守るということが大切です。また、大人でさえ、一人で何かに夢中になっているときに必要のない参加表明や余計な口出しがあると集中力が途切れてしまうもの。

まずは子どもの気持ちに寄り添って、真剣な顔つきで一人遊びを楽しんでいる様子であればそっと見守り、相手が欲しいと感じているようであれば一緒になって遊んであげると、自立心や集中力を育むだけでなく、親子の信頼関係も深めていくことができるはずです。

文/酒井絢子

(参考)
Study Hacker こどもまなび☆ラボ|遊んでいる子どもを叱るのはNG!? 「集中力」を作り出す、たった2つの方法とは
Study Hacker こどもまなび☆ラボ|雨の日におすすめ! 「ひとりで」「親子で」「友だちと」楽しめる『室内遊び』
まいとプロジェクト|一人遊び(ひとりあそび)
はますくQ&A|一人遊びしている間も声かけは必要?
リセマム|これからの教育キーワードは「没頭力」汐見稔幸・高濱正伸対談
汐見稔幸(2011),『0〜3歳 能力を育てる 好奇心を引き出す』,主婦の友社.
デズモンド・モリス(2009),『デズモンド・モリス 赤ちゃんの心と体の図鑑』,株式会社 柊風舎.
森田勝之(2010),『脳と心を育てる50のあそび』,チャイルド本社.