「片づけ」は多くの人にとって、永遠のテーマです。大人でさえ頭を抱えているのに、ついつい口から出てしまう子どもへの「片づけなさい!」のひとこと。
もし子どもたちが「お片づけ」を楽しめたら……?
「お片づけ」そのものが子どもたちの学びの場となるとしたら……?
生活がいっそう楽しくアップグレードすると思いませんか。そのためにはプロのコツを見習うのがいちばん! さっそく参考にしてみましょう。
「お片づけ」で育つ3つの力
人間の脳は、秩序を好み、雑然とした状況にはストレスを感じることがわかっています。物理的混沌は頭の混乱にもつながるため、イライラして作業に時間がかかってしまう傾向も。
片づけることで、ストレスを減らすことができ、頭の整理もできるのです。そして、お片づけにはさまざまな能力が伴うため、成長過程の子どもにとっては人間力を高めるトレーニングにもなります。お片づけで得られる力を見てみましょう。
■社会性
お片づけをすることで、ものを大切にする心、人を思いやる心に気づきます。それは、社会の中でよりよく生きる術につながっていきます。
■自主性
何が必要なのか自分で考えて決める、というお片づけのプロセスで自主性が育まれます。お片づけができる力は、自主的に学習する力などにもつながっているそうです。
■空間認知能力
ものを整理整頓するということは、空間でさまざまな立体を扱うことなので、空間認知能力が鍛えられます。この力は、理科や図工など、学びの場面で大きな役割を果たすため大切なものです。
「なぜ片づけられないのか」を知ることが第一歩
最終目的である「楽しく片づけられるようになる」ためには、「いま、なぜお片づけができないのか」その原因を知っておくことが大事です。多くの子どもたちに共通する点を見てみましょう。
【原因2】遊びに夢中になりすぎてやめられない
【原因3】「片づけなさい」と言われるとやりたくなくなる
子どもからしてみると当たり前のことですね。こんなふうに改めて見てみると、「そりゃそうだ!」と感じる親御さんも多いのでは?
大人もそうですが、人から押しつけがましく言われると、つい反抗したくなってしまいますよね。まずは、子どもたちには片づけの意味をしっかり話して理解させて、うまく誘導することが、“楽しいお片づけ”への近道となりそうです。
お片づけ【3つの基本と2つのポイント】
まずは「お片づけ」の基本を知ることが、やる気のきっかけになります。
- どうして片づけないといけないのかを話しあう
- 子どもと一緒に相談して、収納場所や片づけ方を決める
- 「おかたづけ」の際はまかせて、褒める!
そして、ポイントはたったの2つ!
■片づけの手順(出す→仕分け→しまう)
まず片づけるものを、引き出しや棚から全部出しましょう。そして「残すもの」と「捨てるもの」を仕分けます。このとき「残すもの」を子どもに選ばせるのが大事です。“好きなものをいくつ”と残す数を決めて、好きな順番にしまっていきます。収納場所がいっぱいになったら、「もうこれ以上は入らないよね。だからあとのものにはサヨナラしようか」と提案。スペースがいっぱいなのを目の当たりにすると意外にも子どもはすんなりと状況を受け入れるのだそう。親の根気がいりますが、子どもの納得がいく形での片づけが「お片づけ上手」への道には不可欠なのです。
■モノの定位置を決める
それぞれのモノの収納場所を固定することで、「お片づけ」がスムーズになります。何をどこにしまうかは、子どもと話し合って決めることが肝心。そして、モノを使った後は定位置に戻すことを徹底します。このとき叱るのではなく、「これのお家はどこだったかな?」などゲーム感覚で楽しく促すといいでしょう。自分が決めたことなので、「お片づけ」への意識が向きやすいはずです。
親の言う通りにやらせるのではなく、一緒に考えて実行することが子どもの興味とやる気を引き出します。「楽しいお片づけ」をモットーに、収納用品もわかりやすく色分けしたり、好きなキャラクターものにするなど、いろいろ工夫して、子どもを “お片づけ上手” にしてしまいましょう。
プロに学ぶお片づけアイディア
「楽しいお片づけ」のアイディアはプロに習うのが効果的。誰でもできる、簡単お片づけ術をご紹介します。
【こんまり流 “ときめく” お片づけ】
今や日本のみならず世界中でおかたづけのカリスマとなった、“こんまり” こと近藤麻理恵さん。「ときめく」がキーワードのお片づけテクニックなら、親子で楽しくお片づけできますよ。
1. 洋服をたたむ
彼女が勧める「お片づけ」を習慣づける第一歩目は、“洋服をたたんでしまう” こと。これは、衣類なら仕分けが一目瞭然だからだそう。シャツ、パンツ、靴下など、子どもでもわかりやすいカテゴリー分けができるので、お片づけのトレーニングにはもってこいなのです。洋服の片づけができるようになると、文房具や机の整理もできるようになるとか。前述の3つの基本と2つのポイントの手順に従って、まずは洋服の整理から親子一緒に始めてみましょう。
2. おもちゃに優先順位をつける
おもちゃの場合は、「家中全てのおもちゃを一ヵ所に集めて、子どもの好きな順番で残すものを自ら選んでもらう」方法がとても有効で、その際、残す数などのルールを決めて、それに従って促すと、子どもも受け入れやすいのだそう。親の優先順位で決めてしまうのはNGですよ。
そして、親が「お片づけ」のお手本を示すこともやはり大事ということで、お片づけトレーニングを一緒に共同作業する意識でやると、親子で楽しめそうですね。
【収納王子コジマジックさんの“魔法の”お片づけ】
2人のお子さんのパパであるコジマジックさんもご自宅で実践されていることがあります。そのおかげでお子さんたちは楽しくお片づけができるようになり、着実な効果があったそう。ぜひ真似したいですよね。
1. マイカラーを決める
“マイカラー”として自分の好きな色を選びます。その色のシールを自分のおもちゃに貼り、片づけ用の箱などもマイカラーで統一します。箱を収納する棚などにも色別のマスキングテープを貼るなどして、収納場所をわかりやすくする工夫を。
2. お片づけタイムをつくる
「片づけも時間を決めて遊びにしてしまう」のがコジマジック流。寝る前の時間をお片づけタイムと決めて、「箱に自分のおもちゃを集め、棚に戻せばゴール!」と競争です。お子さんたちは毎晩、勝ち負けで一喜一憂、片づけが苦になるどころか、何度もやりたがるようになったそうです。お片づけを意識させず、楽しむことにフォーカスすることが成功の秘訣のようですね。
3. モノを手放すことをポジティブに考える
「片づけなさい!」と同じくNGワードなのが、「片づけないんだったら捨てるよ!」。その代わりに「この中から好きなモノを3つ教えて」と、好きなものへ意識をフォーカスさせましょう。3つ選びきれなかったら、「じゃあ、おまけであと2ついいよ」など、選ぶことを遊び感覚に。そして選ばれなかったモノも、できれば、「捨てる」のではなく、「お友だちにあげよう」「どこかに寄付しよう」など、子どもが納得できる方法を見出してあげられると、モノを手放すことに抵抗がなくなり、お片づけも楽になるでしょう。
やはりここでも、無理強いするのではなく、自分が好きなモノをキッカケに自主性を促す工夫がとても有効のようです。
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ほかにも、「できるだけシンプルな収納にする」「収納は使う場所に近いところに」「ラベリングに使うラベルはイラスト入りなどわかりやすく目を引くものに」など、子どもの興味を引き、収納をしやすくする工夫はいろいろあります。その中で、いちばん大事なのは、お片づけに対して達成感を感じる成功体験の積み重ねです。小さなことでもきちんと褒めてあげることで、お片づけがイヤなことではなく、「楽しい!」と思ってもらえるようになったら大成功。気長に、その子に合った「お片づけ習慣」をつくっていきましょう。
(参考)
ベネッセ教育情報サイト|片付けられない子どもを片付け上手にするコツ
小学館キッズ|こんまり流で見違える「子どもの人生」がときめく片づけの魔法
ESSE Online|【こんまりさんのときめき片づけ!】定位置が決まっていると、戻すのは簡単
日経DUAL|子どもが喜んで片づける「仕組み」のつくり方
日刊 住まい Sumai powered by [住まいの設計]|集中できるのは10分!子どもに片付けを促す9つの方法・前編
日刊 住まい Sumai powered by [住まいの設計]|ダメ出しよりまずほめること!子どもに片付けを促す9つの方法・後編
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