2020.12.22

ヴァイオリンを習うにはどうすれば? 必要な情報まとめ

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ヴァイオリンを習うにはどうすれば? 必要な情報まとめ

ヴァイオリンを習うことには、大きな楽しみがあります。上達を目指し練習に励む過程で、脳が発達していくメリットも。

今回は、お子さんにヴァイオリンを習わせたいと考える方のため、「先生・講師はどう探せばいいの?」「費用はいくらくらいかかるの?」といった疑問にお答えします。楽器や音楽教室の選び方、子供もレッスンを受けられるおすすめのバイオリン教室をご紹介するので、ヴァイオリンを習うことを検討中の方は、ぜひお読みください(※掲載情報は2020年12月時点のものです)。

ヴァイオリンを習うメリット

そもそも、ヴァイオリンを習うことには、どのようなメリットがあるのでしょうか? 確認してみましょう。

言語能力が高まる

脳内では、音を認識する領域と言語をつかさどる領域が重複しています。そのため、子どものうちからヴァイオリンを習えば、外国語が得意になるかもしれません。

ヘルシンキ大学のリサーチディレクター、マリ・テルヴァニエミ氏らが行なった調査によると、音楽能力の高い人は音の微妙な違いを識別できるそう。ヴァイオリンなど楽器を習うことで「聴く力」が鍛えられれば、外国語の聞き取りも得意になるでしょう。

注意力が高まる

バーモント大学精神医学部教授のジェームズ・J・ハジアック氏らは2014年、楽器演奏と脳の発達に関する研究成果を公表しました。6~18歳の脳をスキャンしたところ、楽器演奏によって、注意力などに関わる脳の部分「大脳皮質」が厚くなるとわかったそうです。

チリの神経科学者レオニー・カウセル氏らも、2020年10月、楽器のレッスンと脳に関する研究を発表しました。10~13歳の40人を対象にした調査によると、楽器のレッスンは注意力などを高めてくれるそう。自身もヴァイオリンを弾くカウセル氏は、子ども時代に楽器を習うことをすすめています。

練習場所を選ばない

練習場所を選ばないのも、ヴァイオリンのメリットです。ピアノだとある程度広いスペースが必要ですが、ヴァイオリンなら最小限のスペースで済みます。ヴァイオリニストの葉加瀬太郎氏も、子どもの頃は団地住まいでピアノを置くスペースがなかったため、4歳でヴァイオリンを習い始めたそうです。

また、ヴァイオリンは持ち運びしやすいため、音楽スタジオやカラオケボックス、公園や土手などでも練習できます。自宅では音漏れが気になって練習しにくくても、ヴァイオリンなら習うことができるのです。

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ヴァイオリンを習う方法

ヴァイオリンを習うとして、どこで/誰からレッスンを受ければいいのでしょうか? 「大手の教室」「個人経営の教室」「ヴァイオリンが得意な知人」という3つのパターンのメリット&デメリットを比較してみましょう。

大手の教室に申し込む

ヴァイオリンを習うにあたり、まっさきに思い浮かぶのが、全国に展開している有名な教室でしょう。大手なりのメリットとデメリットがあります。

【メリット】

  • アクセスしやすい場所に教室が点在している
  • 講師との相性がよくなければ、別の人を選べる
  • 講師の指導力が一定の水準を保っている
  • 大きなホールでの発表会など、本格的なイベントに参加できる

 
【デメリット】

  • 月謝のほかに施設費などがかかる
  • レッスンの振り替えが柔軟にできない
  • 提携する楽器店の商品をすすめられる場合も
  • 教室全体のマニュアルやルールに縛られる

個人経営の教室に申し込む

個人が自宅で開いている教室もあります。お住まいの地域にないか、調べてみましょう。

【メリット】

  • 大手より安い場合が多い
  • レッスンの振り替え対応が柔軟
  • 個人のレベル・希望に合わせてもらえる
  • 講師との相性がよければ、強い絆を育める

 
【デメリット】

  • 子どもにも対応できるか確認する必要がある
  • 家族やペットがいるなど、レッスンに集中しにくい場合も
  • 発表会などのイベントがない場合も
  • 先生と合わなくなっても辞めにくい

個人に依頼する

友人や親戚で、音楽大学を卒業したなどヴァイオリンの得意な人がいれば、個人的にレッスンを依頼するという方法もあります。

【メリット】

  • レッスン内容や月謝を交渉しやすい
  • コミュニケーションをとりやすい
  • 雰囲気がアットホーム

 
【デメリット】

  • 指導力が保障されていない
  • 先生の都合でレッスンが中断される場合も
  • 先生と合わなくなっても辞めにくい

以上のように、メリットとデメリットはそれぞれ異なります。ヴァイオリンを習うにあたり、どの方法がいちばん合っているか、考えてみてください。

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ヴァイオリンを習うための費用

ヴァイオリンを習うにあたって気になるのが、お金のこと。楽器やレッスンにはいくらかかるのでしょうか? 目安を見てみましょう。

レッスン代

レッスンにかかる費用は、教室によって大きく異なります。ふたつの例を見てみましょう。

一般財団法人・ヤマハ音楽振興会による楽器レッスン「ヤマハミュージックレッスン」には、「小学生のためのバイオリン」コースがあります。北海道から九州まで、26教室で開講中です。

  • 入会金:教室によって異なる
  • 施設費:教室によって異なる
  • グループレッスン料金(60分):8,000~9,000円(税抜/月3回)
  • 個人レッスン料金(30分):10,000~11,000円(税抜/月3回)

一方の「加藤音楽教室」は、中野区・文京区・国分寺市に展開する個人経営の教室。以下は、ヴァイオリンの子ども向け個人レッスンの場合です。

  • 入会金:無料
  • 施設費:無料
  • レッスン料金(30分):9,000円(税込/月3回の場合)
  • レッスン料金(60分):14,000円(税込/月3回の場合)

加藤音楽教室は「年間回数制」を採用しているため、ある月は3回、ある月は5回……とレッスン回数を調整できます。このように、教室によって料金体系が大きく異なるため、気軽に問い合わせて確認してみるといいでしょう。

楽器

ヴァイオリンを習うなら、楽器本体を購入したりレンタルしたりする必要があります。いくらくらいかかるのでしょうか?

購入する場合

子ども用のヴァイオリンは、安いものだと弓やケースもセットで2万円代から。もちろん、価格によって品質が変わります。

 

 
ヨーロッパ製のヴァイオリンセットは、10万円ほどで購入することもできます。

 
ヴァイオリンは繊細な楽器なので、年に1回はメンテナンスに預ける必要があります。頼むお店や必要な修理によって、値段は大きく変わるため、あらかじめ見積もりをしてもらいましょう。少なくとも1万円ほどかかると思ってください。

レンタルする場合

子ども用のヴァイオリンは、体の成長に合わせて買い替えていく必要があります。しかし、身長が伸びるたびに新しい楽器を買うのは大変です。そこで、レンタルサービスを利用するという手もあります。

フリック株式会社は、郵送でのヴァイオリンレンタルを手がけています。楽器は、日本の老舗メーカー・鈴木バイオリン製です。

【最低料金】

  • 初回6ヶ月:24,600円(税抜)
  • 継続1ヶ月:3,500円(税抜)

 
【セット内容】

  • ヴァイオリン本体
  • ケース
  • ブランケット(収納の際、本体にかける布)
  • 松ヤニ
  • クリーニングクロス

 
【その他】

  • 買い取り可
  • 保険つき

弦楽器の制作やメンテナンスを手がける「篠崎バイオリン工房」では、子ども用のヴァイオリンをレンタルできます。基本的には米イーストマンストリング社製ですが、篠崎バイオリン工房でつくられたものや、オールドヴァイオリン(数世紀前につくられた貴重品)も扱っているそうです。

【最低料金】

  • 1ヶ月:2,800円(税抜)
  • 3ヶ月:7,650円(税抜)
  • 6ヶ月:14,900円(税抜)
  • 12ヶ月:28,300円(税抜)

 
【セット内容】

  • ヴァイオリン本体
  • ケース

 
【その他】

  • 松ヤニのレンタル(別料金)
  • 保険オプション(別料金)

消耗品

ヴァイオリンの演奏には、弦や松ヤニといった消耗品も必要。どれくらいの頻度で交換し、どれくらいのお金がかかるのでしょうか?

ヴァイオリンには4本の弦が張られています。3ヶ月~半年に1回換えるのが一般的です。弦が突然切れてしまうこともあるので、常に換えをストックしておきましょう。

弦にはさまざまなブランド・商品があり、値段も音色もまったく異なります。練習用の定番は「ドミナント」。4本セットで5,000円程度です。

弓の毛

弓に張られた毛も消耗品。1年に1回は「毛替え」の必要があります。4,000円前後かかりますが、子どもの場合、毛替えの時期が来る前にヴァイオリンのサイズが変わることが多いでしょう。

松ヤニ

ヴァイオリンの弦をこすって音を出すには、弓の毛に松ヤニを塗る必要があります。松ヤニの寿命は長いので、使いきることはまずないでしょう。ヴァイオリニストで指揮者の西谷国登氏は、同じ松ヤニを10年以上使っていたそうです。

ただし、松ヤニは壊れやすく、落とせば高確率で粉々に砕け、使いものになりません。子どものうちは、落として割ってしまうことも珍しくないでしょう。

松ヤニには、安価なものも高級なものもあります。定番商品の多くは2,000円台です。大人用・子ども用の区別はありません。

 

 

楽譜

ヴァイオリンを習うには楽譜も必要です。初心者向けの定番の教本は、2,000~3,000円程度。教室オリジナルの楽譜や、発表会用の楽譜を購入することもあるでしょう。

 

 

 
以上のように、ヴァイオリンを習うには、楽器の購入・レンタル費用や教室の月謝に加え、消耗品や楽譜のお金もかかるのです。

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ヴァイオリンを習うための教室

最後に、お子さんがヴァイオリンを習うことを考えている方のため、東京の教室をふたつご紹介します。

小林音楽教室

新宿区・港区・渋谷区・江戸川区に展開する「小林音楽教室」では、基本的に幼稚園の年中から個人レッスンを受けられます。どの教室も駅に近く、通うのに便利。「音楽を通じた成長」を掲げた、30年の歴史・実績を誇る教室です。

【特徴】

  • 春と秋の定期演奏会(サントリーホールなど)
  • 0歳からの「幼児リトミック=ソルフェージュクラス」も
  • プロを目指すコースも

加藤音楽教室

上でもご紹介した「加藤音楽教室」は、中野区・文京区・国分寺市に展開。ヴァイオリンのレンタルサービスもあるので、楽器を購入しなくても気軽に始められます。

【特徴】

  • クリスマス会や発表会などのイベント
  • 防音の練習室を使い放題
  • 親子やきょうだいで入会すると月謝が10%オフになる「ご家族割」

どちらの教室でも、オンラインでの体験教室を実施中。お子さんがヴァイオリンを習うことに興味があるなら、ぜひ気軽に申し込んでみてください。

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ヴァイオリンを習うにはどうすればいいのか、どれくらいお金がかかるのかを解説しました。お金がかかるイメージの強いヴァイオリンですが、レンタルサービスなどを活用すれば、ほかの習い事と費用はあまり変わりません。楽器代だけで数十万円かかり、広いスペースや防音対策の必要なピアノに比べ、スタートしやすいのではないでしょうか。

みなさんも、本記事を参考にしつつ、ヴァイオリンを習う方法を検討されてはいかがでしょう。子ども向けのヴァイオリンレッスンについては「幼児ヴァイオリン教室が気になる人必見! 習い事のポイントまとめ」でもご紹介しています。合わせてご覧ください。

文/上川万葉

(参考)
瀧靖之(2016),『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』, 文響社.
奥田佳道・山田治生(2017),『おもしろバイオリン事典』, ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス出版部.
ハイケ・プランゲ 著, 宍戸里佳 訳(2004),『楽器の絵本 ヴァイオリン』, カワイ出版.
川合左余子 著, 川上久雄 監修(2014),『いまさら聞けないヴァイオリンの常識』, 音楽之友社.
Hudziak, James J., Matthew D. Albaugh, Simon Ducharme et al. (2014), “Cortical Thickness Maturation and Duration of Music Training: Health-Promoting Activities Shape Brain Development,” Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, Vol. 53, No. 11, pp.1153-1161.
Milovanov, Riia and Mari Tervaniemi (2011), “The Interplay between Musical and Linguistic Aptitudes: A Review,” Frontiers in Psychology, Vol.2, Article 321.
Kausel, Leonie, Francisco Zamorano, Pablo Billeke, et al. (2020), “Neural Dynamics of Improved Bimodal Attention and Working Memory in Musically Trained Children,” Frontiers in Neuroscience.
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