あたまを使う/からだを動かす/教育を考える/芸術にふれる/音楽をたのしむ 2018.9.24

多すぎる習い事のデメリット。習い事の上手な選び方と削り方のコツ

編集部
多すぎる習い事のデメリット。習い事の上手な選び方と削り方のコツ

我が子の才能を見つけ、伸ばし、開花させてあげたい。そんな思いから、子どもに複数の習い事をさせているご家庭は少なくないでしょう。さらなるグローバル社会を見据えて英語を習わせよう、大坂なおみ選手を目標にテニスを習わせるのはどうか、学校でプログラミング教育が始まる前に子ども向けプログラミングを習わせてみたい――。今は、親世代が子どもだったころにはなかったような習い事も続々登場しています。

ですが、習い事をどんどん増やすのは良いことだとは言い切れません。習い事を増やし過ぎることには懸念点もあるのです。子どもにとって最適な習い事の選び方について、考えてみましょう。

習い事の数は平均約2個。年齢が上がるにつれて増加傾向。

今の子どもたちは、どれぐらい習い事をしているのでしょう。

親子でお出かけできる場所やイベント情報を提供するサイト「いこーよ」が2018年1月に発表した調査結果から、以下のことが明らかになりました。

・0歳ですでに習い事に通っている子どももいるが、幼稚園・保育園の年少にあたる4歳の時点で習い事に通う子どもが急増し79%。小学校2年生にあたる8歳になると、その割合は89%になる。
・1週間のうちに習い事に通う日数は、週1日が最多で36%。続いて週2日29%週3日以上通っている子どもは35%にものぼる。

多くの子どもたちが小学校に上がる前には習い事を始め、週2日以上通っている子どもも珍しくないことが分かります。また、習い事や通信教育に関する情報を提供するサイト「ケイコとマナブ.net」が2017年10月に発表した調査結果によると、

・子ども1人あたりの習い事の個数は、全国平均で1.92個
・この個数を、首都圏における平均で見ると、2015年1.97個→2017年2.04個に増加
・この個数を、年齢別平均で見ると、未就学児1.62個→小学校低学年2.02個→小学校高学年で2.14個

首都圏では経年で習い事の個数は増加傾向にあること、年齢が上がるにつれて習い事の個数が増える傾向にあることが分かったのです。

習い事が多すぎることのデメリット

習い事は、子どもの興味関心や才能を見極めるために有効な手段のひとつです。しかし、習い事を増やし過ぎて悪影響を被ってしまうのは避けたいもの。多すぎる習い事のデメリットを以下に挙げてみます。

・習い事にかける時間が増えるせいで、家庭で過ごす時間が減る
・放課後習い事が忙しいために、宿題が後回しになったり、睡眠時間が削られてしまったりする。
送迎が大変。兄弟姉妹がそれぞれに複数の習い事をしていたらなおのこと。
家計に負担となる。年齢が上がると、習う内容のレベルも上がるため、費用も増える。

多すぎる習い事はこのような実生活上の負担になるだけでなく、子どもの行動や考え方までも良くない方向に変えてしまう可能性もあります。このことを指摘しているのは、NPO法人子育て学協会会長で、チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美氏です。

今は昔に比べて不便さを感じることがない時代。山本氏は、そんな時代に習い事を増やしすぎると、子どもが以下のような状態に陥ってしまうと言います。

今の子どもたちは様々な面で満たされていますから、生活全般に創意工夫がなくなる傾向にあります。(中略)そういう時代に、「毎日習い事」「土日は習い事の掛け持ちで予定がぎっしり」というような状況になると、子どもたちはただこなすことに精いっぱいになってしまいます。どんな体験も受け身になり、自分の意思で選ぶということができなくなるのです。

(引用元:日経DUAL|もしかして親のエゴ? 子どもの「習い事」落とし穴)太字は編集部にて施した

また、特に低学年の子どもにとって、多すぎる習い事はプレッシャーを与えてしまうことにもなるのだそう。

特に小学校低学年くらいまでのお子さんには、「これがやりたい」という本人の意思がまだあまりないので、最初からフル回転で習い事をさせてしまうと疲れてしまいます。(中略)低学年の間は、学校で勉強して家では予習、復習をきちんとやる、というくらいで毎日精いっぱいです。それに加えて習い事となると、特にしっかり者で「ちゃんとやらなきゃいけない」と思うタイプのお子さんにとっては、負担が大きくなりますね。

(引用元:同上)太字は編集部にて施した

子どもの心にも影響を及ぼしかねない、習い事の数。親がよく考えてあげないといけないようです。

子どものための習い事の選び方

では、子どもの習い事を上手に選ぶにはどうすればよいのでしょう。子どもの才能を伸ばし、かつ、親にも子にも負担にならない習い事の選び方を2つ紹介します。

■1. 「静」ひとつ +「動」ひとつを選択する

1つ目は、上で紹介した山本氏が勧める、「静」と「動」の習い事をひとつずつ選ぶという方法です。山本氏は、色々な習い事に手を出すと結局どれも身につかない可能性があるので、手を広げ過ぎることなく集中的に取り組むことが大切だと言います。

きちんと身に付けようと思うと、幼児期には「静」と「動」の習い事を一つずつ、というのが限界かなと思います。例えば、ピアノなどの芸術系の習い事を一つと、水泳などの運動系の習い事を一つ、というように。

好きなこと、得意なことから始めて、そこで自信をつけてもらい、楽しさを感じられるようになったら、次の習い事にもチャレンジしてみるのがおすすめです。

(引用元:同上)

ひとつの習い事を掘り下げる方法は、教室に欠かさず通う、家でも頑張って練習する、といったことだけではありません。芸術系の習い事なら、プロの公演や友だちが出ている発表会を見に行ったり、レッスンで使用する曲の音源を用意してあげて日常的に聴いたりしてはどうでしょう。運動系の習い事なら、実際の試合を観戦するのも刺激的ですよね。これらのことを親子で一緒に行なって、限定された習い事に関する知識と経験を広げ、深めてみてください。好奇心と才能を集中的に伸ばすことに繋がるはずです。

■2. 習い事にかける費用を考える

2つ目は、習い事にどの程度費用をかけるのかによって習い事を選択するという方法です。子どもにかける費用を惜しみたくはないとはいえ、習い事に際限なくお金をかけることはできませんよね。どれぐらいならお金をかけられるかという現実的なところを探る必要があります。

そこで参考になるのが、ベネッセ教育総合研究所が2013年に実施した子どもの習い事に関する調査結果。この中に、習い事のかけもちのパターンの順位と平均費用の統計があります。それが以下の表です。


(画像引用元:ベネッセ教育情報サイト|どんな活動をいくつかけもち? 幼児・小学生の習い事‐佐藤昭宏‐

※表の見方:
家庭……家庭教育活動。家庭で通信教育や知育教材を利用すること。
スポーツ……スポーツ系の習い事。
芸術……芸術系の習い事。
教室……教室学習活動。塾や英語教室、そろばん教室など。

この調査は、教室に通う習い事だけでなく「家庭教育活動」も含んだもの。多くの家庭で「家庭学習活動」に取り組んでいることが分かります。これをお読みの方の中にも、当てはまるご家庭は多いかもしれませんね。

これを見ると、幼児期(3~6歳)の子どもを習い事に通わせる場合にかかる月平均費用は、2位の家庭+スポーツ」がトップで8,600円。4位の家庭+スポーツ+芸術12,900円がこれに続きます。小学校低学年(7歳~9歳)では、家庭+スポーツ」が1位で10,800円、2位の「家庭+スポーツ+教室」は20,100円でした。

この結果について、同研究所は以下のように分析しています。

幼児期には比較的安価な複数の家庭学習で教育活動をスタートし、小学校に上がるとスポーツ活動をプラス、高学年になると、さらに塾や教室での習い事を加えていく、というのが平均的なパターンのようです。「我が子になるべく多くの活動をさせてあげたい」というのはすべての保護者の願いだと思いますが、現実的には、上記のようなかけもち具合が落としどころになりそうです。

(引用元:同上)

また、この記事の前半で紹介した「ケイコとマナブ.net」の調査結果によると、子ども1人当たりの習い事数と費用の全国平均は、1.92個で13,091円。年齢が上がるにつれ習い事の数が増えるのに従い、費用も増加していきます。

そして、家計に占める教育費の割合について、家計再生コンサルタントの横山光昭氏は、子どもにかける教育費は一般的に、小学生1人程度の場合で手取り所得の5~7%以内、受験生や高校生がいる場合でも15%以内に抑えるべきだと言います(教育費には習い事の費用だけでなく学校にかかる費用も含む)。皆さんのご家庭ではいかがでしょうか?

ここで紹介したデータは、あくまでも平均です。実際には、家庭学習を含むか含まないかの違いや、地域差、子どもの年齢差、家庭の経済状況の差もありますから、いくらだったら高い・安いと言い切ることはできません。とはいえ、自分の家庭では習い事にお金をかけすぎだろうか? いやもっとかけるべきなのだろうか? と悩んだときには、ぜひ参考にしてみてください。

習い事を削るときの考え方

子どもに習い事をさせているとどうしても気になることのひとつが、習い事の「辞め時」ではないでしょうか。そこで、習い事を取捨選択するうえで役立つポイントを紹介します。

・習い事に通う期間や目標を決めておく

習い事を始める前に、何のために習い事に通うのか、いつまで習い事に通うのかを、あらかじめ子どもと話し合っておきましょう。習い事を始める時点ではまだ小さかったとしても、少しでも年齢が上がり話がわかるようになれば、「クロールが泳げるようになりたい!」などと目標を立てられるようになるでしょう。

また親のほうも、子どもを何のために習い事に通わせるのかを決めておけば、何となく辞め時を逃してしまうといったことを防ぐことができます。目標を立てておくことは、途中で子どもが「やめたい」と言い出してしまったときにも有効に働きますよ。

・習い事は週末に限定する

習い事のせいで平日忙しくなりすぎる場合は、習い事は週末に限定しましょう。

小児科医・医学博士の成田奈緒子氏によれば、成長期の脳や心身の発達を考えると、小学生の子どもは夜8時に就寝し、朝6時までに起床するのが理想なのだそう。どの学年の子どもも10時間は睡眠が必要なのだと言います。しかし、特に共働きの家庭などでは子どもを夜8時までに就寝させるのは難しいもの。そこで成田氏は、せめて夜9時には就寝し朝6時までに起床する9時間睡眠を勧めています。

もし、平日夕方~夜に習い事に通うことで就寝時間が遅くなってしまうほどの影響が出ているのならば、平日の習い事は減らしたほうが良いでしょう。週末に限定して、睡眠時間に支障がないようにしてください。

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子どもの才能を思えば思うほど、習い事に関する悩みは尽きませんよね。皆さんのご家庭とお子さんに最適な習い事の選び方を、いろいろと探ってみてください。

(参考)
ValuePress!|2018 年習い事調査 二極化する子供の習い事予算~習い事にみる子供の「体験格差」の拡大~
リクルートマーケティングパートナーズ|~ 習い事ランキング/費用に関するアンケート結果~『ケイコとマナブ』2017年 子どもの習い事ランキング
ベネッセ教育情報サイト|学校の授業やオリンピックの影響から子どもの習い事が変化
日経DUAL|もしかして親のエゴ? 子どもの「習い事」落とし穴
ベネッセ教育情報サイト|どんな活動をいくつかけもち? 幼児・小学生の習い事‐佐藤昭宏‐
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