「新聞の読み方」に悩んでいませんか? 「子どもに新聞を読む習慣をつけさせるには、まず自分から!」と思っても、最初はなかなか難しいですよね。
じつは、育児や仕事が忙しくても継続できる方法があるんです。時間に余裕がない親御さんのため、初心者でもOKな新聞の読み方をご紹介します。
新聞の読み方1:1日5分から始める
初心者におすすめな新聞の読み方は、1日5分から始めること。ジャーナリストの池上彰氏は、新聞を読むコツを次のように語っています。
まずは新聞を1紙購読することから始めましょう。そして、1日5分でもいいので、毎日、新聞に目を通す習慣をつける。ここからスタートするとよいでしょう。
(引用元:東洋経済オンライン|池上彰が解説「今さら聞けない新聞の読み方」 太字による強調は編集部が施した)
初めは興味のある記事だけ読んでいれば大丈夫なのだとか。毎日読むうちに知識が蓄積され、速く読めるようになっていくそうです。そうなれば、ほかの記事も読むゆとりができますね。
池上氏は、新聞に関する本を多数著しています。そのひとつが、本記事で参考にしている『新聞の読み方ー考える力と情報力が身につく』(祥伝社、2019年)。初心者向けの読み方や、池上氏が実践しているという読み方がわかりやすく解説されています。
「新聞の読み方なんて検討もつかない……」という方は、お手に取ってはいかがでしょうか。
新聞の読み方2:見出しをながめる
続いて、「なかの人」がおすすめする新聞の読み方をご紹介します。
朝日新聞社の外園周二氏によると、一般的な朝刊の情報量は新書2冊分だそう。「そんなに読めない!」と思うかもしれませんが、すべての記事を読む必要はありませんよ。外園氏は次のように提案しています。
まず記事の内容を要約した「見出し」を読んでみてください。(中略)自分のアンテナにひっかからない見出し(記事)は、読み飛ばしてOK。パラパラと読み進んで、アンテナにかかった見出しの記事だけ、じっくり読んでみる。こんな読み方をお勧めします。
(引用元:学サポKochi|新聞読み方講座 第2回 太字による強調は編集部が施した)
見出しは目立つように大きく書かれているため、記事のテーマがひとめでわかるとのこと。すべての記事の見出しに目を通しさえすれば、短時間で効率よく全体をつかめるわけです。
記事の内容をもっと知りたくなったら、前文や本文も読みましょう。このような新聞の読み方なら、家事や育児、仕事の合間に実践できますね。
新聞の読み方3:「ちょい読み」から始める
「大量の文字を毎日読むなんて無理!」という人におすすめできる、新聞の読み方があります。それは、気になる記事だけを見る「ちょい読み」。朝日新聞東京本社が紹介している方法です。やり方は、たったのこれだけ。
- 新聞1面の目次を見る
- 気になった記事を探して読む
これなら新聞を読むハードルが下がり、習慣化しやすくなりますね。「どんな記事でも読まなきゃ」と意気込まず、楽しんで読むことが、無理なく続けるコツです。
毎日では大変なら、休みの日にまとめて「ちょい読み」してはいかがでしょう。簡単な新聞の読み方なので、ぜひ試してみてください。
新聞の読み方4:1面だけチェックする
1面だけをさっとチェックする新聞の読み方なら、多忙でも習慣化しやすいですよ。「全部読まないのなら、わざわざ購読する意味がないのでは?」と抵抗を感じるかもしれませんが、時間がないのに無理して読もうとしても続きません。
前出の池上氏は、このような注意点を挙げています。
完璧主義の人ほど、まじめに新聞に向き合おうとしすぎて、きちんと読むかまったく読まないかのオール・オア・ナッシングの思考に陥りやすいんですね。1日読まなかったからといって、そこで習慣が止まってはもったいない。
(引用元:池上彰・佐藤優(2016),『僕らが毎日やっている最強の読み方ー新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』, 東洋経済新報社. 太字による強調は編集部が施した)
新聞を読む習慣をつけるには、部分的にでも読み続けることが大切なのです。
そこでおすすめなのが、1面だけをチェックする読み方。新聞社が最も伝えたい重要なニュースが載っているため、1面は世のなかの「ダイジェスト」のようなものです。目次もあるので、ほかのページの内容をざっくり把握することもできます。
立ち読みレベルで続けられるので、1面だけチェックする新聞の読み方を取り入れてはいかがでしょう?
新聞の読み方5:気になる記事を切り取っておく
新聞の読み方としては、気になった記事を切り取っておき、あとで読む方法もあります。「届いたその日に読まなきゃ!」と思うかもしれませんが、時間のないときは無理せず後回しで大丈夫です。
ただ、新聞をそのまま保管するとかさばってしまいます。そこで気になる記事だけ切り取って、残りはすぐ古紙回収の袋に入れれば、すっきり整理できますよ。
前出の池上氏は、気になった記事をページごと破ってクリアファイルに入れているそうです。ページごとなら、日付がわかって便利なのだとか。きれいに切り取ったり分類したりといった手間をかけないのがポイントです。
切り取った記事は、食事のあとや家事の合間、寝る前のくつろぎタイムなどに、ちょこちょこ読みましょう。休日にまとめて読んでもOKです。スキマ時間を有効活用できる、新聞の読み方ですね。
新聞の読み方6:専門用語は飛ばす
よりスピーディーな新聞の読み方は、専門用語を飛ばしてしまうことです。
専門用語に出くわすたび、「これってどういう意味?」と考えたり調べたりしていては、時間がいくらあっても足りません。毎日十数紙に目を通すという前出の池上氏は、短時間で読むコツをこう語っています。
基本的に、専門用語は読み飛ばしてもいいものです。何度も出てくるうちに、文脈からその用語の意味がだんだんとわかってきます。
(引用元:池上彰(2016),『考える力がつく本ー本、新聞、ネットの読み方、情報整理の「超」入門』, プレジデント社. 太字による強調は編集部が施した)
新聞を読み続けるうちに知識が蓄積され、用語の意味がわかるようになりますよ。このような新聞の読み方を実践し、時間を短縮してみましょう。
新聞の読み方7:小学生新聞を読む
新聞の読み方としてイチ押しなのは、小学生新聞を活用すること。「子ども向けの新聞を親が読むの?」と疑問に思うかもしれませんが、池上氏によると、あえて小学生新聞を読む大人もいるそうですよ。
子ども向けの新聞は、かみ砕かれたやさしい言葉で書かれているのが特徴です。漢字にはふりがなが、難解な用語には丁寧な解説がついています。そのため、馴染みのない分野の記事を読むときは、子ども向け新聞のほうが便利なんです。子どもにとって身近かつ魅力的な記事が集まっているので、子ども目線でトレンドを把握できる貴重な情報源でもあります。
筆者も「朝日小学生新聞」を購読し、全体の見出しをチェックしています。1分程度で終わるため、大人向け新聞より負担が少なく習慣化しやすいですよ。
また、凶悪事件などは掲載されないため、新聞を読んでいるときに子どもが「ちょっと見せて」と寄ってきても気軽に見せてあげられます。カラフルな写真やイラスト、漫画など、子どもの目を引きつける要素が満載なので、新聞に興味をもってもらう絶好のツールです。
小学生新聞を活用すれば、「新聞の読み方は難しいな……」と悩むことなく、読む習慣をつけられますよ。
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「子どもに新聞を読む習慣をつけてほしいから、まずは自分が!」という親御さんのため、時間がなくても実践できる新聞の読み方をご紹介しました。池上氏もアドバイスしているように、新聞を読む習慣をつけたいなら無理は禁物です。読みやすくて子どもとシェアできる新聞を購読するなど、ご紹介した方法を試してみてくださいね。
文/上川万葉
(参考)
池上彰(2019),『新聞の読み方ー考える力と情報力が身につく』, 祥伝社.
池上彰(2020),『なぜ、読解力が必要なのか?ー社会に出るあなたに伝えたい』, 講談社.
池上彰・佐藤優(2016),『僕らが毎日やっている最強の読み方ー新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』, 東洋経済新報社.
池上彰(2016),『考える力がつく本ー本、新聞、ネットの読み方、情報整理の「超」入門』, プレジデント社.
東洋経済オンライン|池上彰が解説「今さら聞けない新聞の読み方」
朝日新聞社|【東京本社】新聞初心者には「ちょい読み」がお薦め
学サポKochi|新聞読み方講座 第2回
北海道新聞 どうしん電子版|まなぶん 新聞の読み方
東郷堂|新聞読み方ガイド
ジュニア朝日|朝日小学生新聞:池上彰の新聞ななめ読み
NIE 教育に新聞を|新聞文章の特徴
朝日新聞|教えて!あなたの「ちょい読み」CASE2
朝日新聞デジタル|1面を読んでみよう