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勉強が「できる子」と「できない子」には大きな違いがあります。それは、勉強の習慣があるかないかです。「なにを言っている。その勉強を習慣化させること自体が難しいのに!」と考える親御さんも多いでしょう。でも大丈夫。「失敗できないほど小さな習慣」「ばかばかしいほど小さな行動」からスタートすることで、簡単に学習習慣をつくることができるのです。
今回は、子どもの勉強を習慣化するコツをご紹介します。数か月後、お子さまは「歯磨きするように」勉強をしているかもしれません。
「できる子」は毎日同じ時間に勉強している!
勉強が「できる子」と「できない子」の差は、「習慣の違い」にあるようです。子どもの学習行動、生活行動などの調査研究をしている中畑千弘氏の著書『できる子が育つ黄金の時間割』によると、未就学児~中学生までの「できる子」と「できない子」の生活パターンは、それぞれ以下のようになっています。
- 毎日同じ時間に勉強をしている
- 毎日同じ時間にテレビを見ている
- 毎日同じ時間におやつを食べている
- 土日も平日も同じリズムで生活している
- 勉強をする時間が決まっていない
- 遊ぶ習慣が優先され、勉強をしない日もある
- テレビを見る時間が決まっていない
- おやつを食べる時間が決まっていない
- 土日と平日の生活リズムが違う
「できる子」は、毎日同じリズムで生活していることがわかります。勉強に注目してみても、気まぐれに勉強をしている「できない子」に対し、「できる子」は平日も休日も同じ時間に勉強しているのです。
中畑氏は、この「勉強の習慣」が「できる子」をつくっていると分析します。多くの子どもにとって「勉強は苦痛」。しかし、「できる子」は、「学習を習慣にして、 “当たり前のこと” にすれば、苦痛をやわらげられる」ということを知っているのだそう。子どもを「できる子」にするならば、まずは「勉強の習慣」をつけさせたほうがよさそうです。
勉強の習慣は「10歳頃まで」につけるべき
では、子どもは何歳までに勉強の習慣をつければいいのでしょう。専門家の意見をまとめました。
■10歳まで(中畑千弘氏)
中畑氏が計12年間、5万人以上の「勉強ができる子の学習行動パターン」を調査した結果、「勉強ができる子、受験に成功した子は、親の学力が影響しているのではなく、小さな頃からの生活習慣が影響していた」ということが判明したのだそう。そして中畑氏は、分析結果からわかる最も重要なこととして、「学習習慣は10歳までに身につけないといけない」と断言しています。
■10歳まで(村上綾一氏)
理数系専門塾エルカミノ代表取締役の村上綾一氏も、著書『中学受験で成功する子が10歳までに身につけていること』のなかで、「10歳までに毎日必ず勉強することを習慣づける」というのが大切だと述べています。学習量や難易度は日によって変更してもよいけれど、「勉強しない日をつくらない」というのが最大のポイントなのだそう。
■10歳頃まで(児玉光雄氏)
右脳活性トレーニングの第一人者で、著書に『小学生を天才児に変える魔法の習慣』がある児玉光雄氏は、「10歳頃」までに勉強の習慣をつけるべきだとしています。そして、習慣づけのスタート時期については「早ければ早いほどうまくいく」と述べています。児玉氏によると、勉強の習慣は「毎日同じ時間、同じ場所で」行なうことが重要なのだとか。
なるほど、10歳頃までの勉強の習慣が大切なのですね! 脳科学学習塾RAKUTO代表で『勉強が好きになり、IQも学力も生き抜く力もグングン伸びる 最強の子育て』著者・福島美智子氏が、少し怖いことを言っています。勉強の習慣がない状態で “親に勉強をさせられていた子” は、「小学校中高学年あたりで勉強に見向きもしなくなる」らしいのです……。となれば、なんとしても「10歳頃までに」勉強の習慣をつけさせたいところです。
やる気・気合いは不要!? 習慣化を成功させる3つのコツ
次に、勉強を習慣化するためのコツを紹介します。
習慣化のコツ1:子どもにとって「小さすぎる行動」からスタートする
「1分・5分・10分だけドリルをやる」など、お子さまにとって簡単にできそうな勉強から始めてみましょう。ベストセラー『小さな習慣』著者のスティーヴン・ガイズ氏は、人間の脳は新しい習慣を嫌うようにできているため、「最初の一歩」を脳に警戒させないよう「ばかばかしいほど小さな行動」から習慣化をスタートするのがよいと述べています。ですから、1分が難しいようなら「30秒」でも「10秒」でもOKなのです。
また、ガイズ氏によると「1分だけ勉強する」といった、本人にとって小さすぎる習慣は、結果的に1分以上勉強してしまう確率が高いのだそう。しかし、「だったら明日は10分」などと目標を上げるのは厳禁です。前日の勉強がどれだけはかどっても、翌日は「本当に1分で切り上げるつもりで行動を起こす」ことが習慣化につながります。
習慣化のコツ2: “毎日” 決まった時間に勉強をする。例外はなし!
「朝ご飯の前」「朝、出かける前」「学校から帰ったら」「晩ご飯の前」「寝る前」など、毎日決まった時間に勉強をするようにしましょう。そして、ここで大切なのは「例外をつくらないこと」だと中畑氏は言います。親が何度か例外を許してしまうと、子どもは「今日はやらなくてもいいでしょう? この前だってよかったよね」と、さらに例外を求めてきます。
ですから、土日はもちろんのこと、祖父母の家に泊まるときなども、必ず決まった時間に勉強することが大切です。ただし、状況によって分量や難易度は調整してもかまいません。村上氏によると、学習内容よりも「毎日必ず勉強する」生活リズムを崩さないことのほうが大事なのだそう。「今日は特別だよ」という言葉はぐっと我慢してくださいね。
習慣化のコツ3:子どもの勉強習慣を伴走しながら見守る
中畑氏は、子どもの勉強を習慣化させたいならば、「子どもと一緒に最後(10歳)まで走り抜く覚悟」が必要だと話します。と言っても、親が「勉強を教える」のではありません。勉強する子どもを「気にかける・見守る」のです。子どもに「自分だけイヤなことをさせられている」と思わせないことがポイントなのだそう。
たとえば、「勉強しなさい!」と言いながら、親がテレビを見ていたり、スマホをいじっていたりしていては、子どもだって勉強する気になれませんよね。ですから、「子どもの横に座る」「家事をしながらでも、子どもの勉強を気にかける」「(子どもが朝に勉強をしているならば)親も毎朝、時間通りに家事をする」などの行動を心がけましょう。
また、村上氏は、「小学5年生までは親が丸つけをする」「親が見ている前で本人が丸つけをする」といった学習習慣をすすめています。どうしても時間がとれない場合は、「週に何回か、本人が丸つけをしたテキストを親がチェックする」というスタイルでもOKです。
1日3分の学習習慣が、2年2か月後には1日30分に!
上述した3つのコツを読んで、「簡単そう」と感じた方も多いのではないでしょうか? 学習時間は「1分」でも「10秒」でもOKですし、中畑氏の言う「親の覚悟」にしても、「子どもの横に座るだけ」「家事をしながらでもいい」とあります。であれば、勉強の習慣化は意外と簡単なのかも……と、ダメでもともと、実際に小学1年生の子どもに以下のルールで習慣づけをしてみました。
- いつ:朝起きたらすぐ
- どこで:リビングテーブル
- 勉強時間:3分
- 学習内容:通信教育の教材
- 親の関わり方:横に座る、丸つけをする、スマホをいじらない、テレビを見ない
小学校入学直後ということもあり、勉強への熱意が溢れていたのでしょう。また、「3分」という子どもにとって短すぎる時間もよかったのかもしれません。特に問題なく、土日も含め、1週間毎日勉強することができました。
そして気がついたら夏休み。なんと約3か月も勉強習慣が続いていました。また、ガイズ氏の言ったとおり、最初に決めた「3分」で勉強が終わることはなく、丸つけの時間も含めると、平均7~10分ほどの学習時間となりました。そして夏休み期間中も「例外をつくらない」という中畑氏のアドバイスを守り、祖父母の家への帰省中でも、毎日同じ時間に勉強を続けました。
そのまま子どもの勉強習慣は続き、2年生の4月には学習時間を5分間に延長(実際の学習時間は10~15分)。そして、3年生になったタイミングで通信教育をタブレット教材に切り替え、学習時間も思いきって15分に伸ばしてみましたが、それでも問題なく、毎朝15~30分ほど勉強をしています。普段は落ち着きのないわが子が、毎朝30分も勉強するなんて、いまだに信じられません。
「歯磨きをするように勉強する」脳の仕組み
千葉大学教育学部附属小学校教諭の松尾英明氏は、「基本的に多動である子どもが、自然に自ら机に向かうようになることはない」と断言しています。しかし、学習習慣さえついてしまえば、毎日の歯磨きと同じように、「やらないと気持ちが悪い」と感じるようになるのだとか。
たしかに、筆者の子どもも夏休みが終わる頃には、毎朝の勉強をすっかり「当たり前のこと」として受け入れており、そこに「やる気」や「気合い」といった感情は見られませんでした。まさに、「やらないと気持ちが悪い」という言い方がぴったりです。なぜそんな気持ちになるのか――。それは、「人間の脳は効率が大好物」だから。その仕組みを、ガイズ氏は以下のように説明しています。
同じ行動を何度も繰り返すうちに、脳はそのプロセスを自動化することを選びます。何かをするときにいくつかの選択肢をはかりにかけ、結局は毎回同じ行動を選ぶのであれば、最初から何も考えずに自動的に行動するほうがはるかにエネルギーの節約になります。
(引用元:スティーヴン・ガイズ 著, 田口未和 翻訳,(2017),『小さな習慣』, ダイヤモンド社.)
筆者の子どもも、最初の1か月こそ「さて今日もやるか」という気持ちが見えていました。しかし、すっかり習慣化された現在は、無意識のうちにリビングテーブルに座っています。きっと、「朝起きる→リビングテーブルで勉強をする」という行動を、脳が自動化したのでしょう。
欲を言えば、朝から1時間くらい勉強をしてほしいものですが、前述したように「脳は新しい習慣を警戒」します。ですから、脳に警戒されないように、毎年5~10分ずつ勉強時間を増やしていく予定です。モチベーションに頼らない「ばかばかしいほど小さな行動」から始める学習習慣を、ぜひ試してみてくださいね。
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「誰かに命令されて嫌々やるのは習慣ではない。子ども自身が机に向かう。そうした習慣が子どもの以後の人生に大きな影響を与える」と松尾氏は話します。 “10歳頃まで” が勝負です。お子さまの「勉強の習慣化」を成功させましょう!
(参考)
note|東大に合格するような人は、歯磨きをするように勉強している
中畑千弘(2008),『できる子が育つ黄金の時間割』, ダイヤモンド社.
村上綾一(2016),『中学受験で成功する子が 10歳までに身につけていること』, KADOKAWA.
スティーヴン・ガイズ 著, 田口未和 翻訳,(2017),『小さな習慣』, ダイヤモンド社.
アスコム監修(2011),『10歳までの子育ての教科書』, アスコム.
プレジデントムック(2018), 『小学生からの知育大百科』, プレジデント社.
加藤紀子(2020),『子育てベスト100』, プレジデント社.
Business Journal|「人の一生は12歳までに決まる」という残酷な現実
プレジデントオンライン|自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣