健康を考える/心と身体 2026.6.18

6月、子どもが「朝起きない」「ぐずる」のはなぜ?梅雨だるを和らげる夜の習慣

6月、子どもが「朝起きない」「ぐずる」のはなぜ?梅雨だるを和らげる夜の習慣

朝、何度声をかけても起きてこない。夕方になると、理由もわからないままぐずぐずと機嫌が悪くなる。「どうしたの?」と聞いても、本人にもわかっていない様子。

そんな日が、なぜか今月になって増えていませんか? じつは、それには心当たりのない原因があります。カレンダーを見てください。6月は、祝日がひとつもありません。そこへ梅雨が重なり、外は雨続き。新学期から張りつめてきた緊張の糸も、そろそろ切れるころです。

「また今日もぐずぐず……」とため息が出て、つい強い声でせかしてしまい、そのあとに少し落ち込む。でも、6月の「理由のないぐずり」には、やる気でも性格でもない、体のしくみによる理由があるのです。大人が「梅雨だる」を感じるのと同じことが、子どもの体のなかでも起きています

6月は「心と体のスタミナ」が切れる月

6月は祝日がゼロ。梅雨入りで気圧と気温が乱高下する。雨で日照時間が減る。そこに、4月からの新生活の疲れが積み重なる。条件だけを並べてみても、6月が大人にも子どもにもつらい月であることがわかります。

ここでカギになるのは、自律神経です。体を緊張させる交感神経と、体を休ませる副交感神経のバランスが、気圧の変化によって揺さぶられます。

気圧を人工的に下げた環境に痛みを抱えたラットを置くと、痛みに関する反応が強まり、その背景に交感神経の働きが関わっていることが示されています。(中部大学、佐藤純教授ら ※発表当時は名古屋大学)*1

動物実験の結果がそのまま人に当てはまるわけではありませんが、気圧の変化が体のしくみに影響しうることを示す知見です。近年では「気象病」「天気痛」という言葉でも広く知られるようになりました。

そして子どもは、自分の不調をうまく言葉にできません。だからこそ、それは「ぐずり」や「だらだら」というかたちで表に出てきます。怒りっぽいのも、朝起きられないのも、子どもなりのSOSなのかもしれません

「なんとかこのぐずりを直してあげたい」と思うのは、毎日まっすぐ子どもと向き合っているからこその、自然な気持ちです。その気持ちは、そのままで大丈夫。

そのうえで、声かけと一緒に試せる方法がもうひとつあります。緊張した体を夜のうちに緩める時間を、いつもの生活にそっと足してあげることです。

満開に咲く白いアジサイの花

「早く寝なさい」と一緒に試したい。夜の過ごし方3つ

ここからは、副交感神経が働きやすくなる夜の過ごし方を3つ紹介します。全部やる必要はありません。今夜できそうなものを、ひとつだけ選んでみてください。

1. お風呂を「寝る90分前」にずらす

寝る1 〜 2時間前に40℃前後のお風呂やシャワーで体を温めると、寝つきまでの時間が短くなり、睡眠の質も高まることが、過去の研究を統合した分析で示されています。(米テキサス大学オースティン校、シャハブ・ハガイェグ氏〈研究当時・博士課程〉ら)*2

ポイントは、湯上がりに体温がゆっくり下がっていく過程そのものが「眠気のスイッチ」になること。長湯は不要で、10分ほど浸かれば十分です。

「寝る直前にお風呂」になりがちな家庭は、夕食とお風呂の順番を入れ替えるだけでも、体感が変わってきます。

2. お風呂のあとは、照明を「ひと段階」落とす

じつは、子どもの目は大人よりずっと光に敏感です。

就寝前の1時間、明るい光を浴びた未就学児は、眠りを促すホルモンであるメラトニンの分泌がおよそ88%も抑えられたと報告されています。(米コロラド大学ボルダー校、モニーク・ルブルジョワ准教授ら)*3

「テレビを消しなさい」「タブレットはおしまい」と取り上げるのは、親も子も消耗しますよね。

そこでおすすめなのが、お風呂から上がったらリビングの照明をひと段階暗くするという工夫。部屋が薄暗くなると、画面は自然と見づらくなり、家族全体が「もう夜なんだ」というモードに切り替わっていきます。

3. 布団のなかで「今日よかったこと」をひとつ聞く

電気を消したら、布団のなかで「今日、よかったことってあった?」とひとつ聞いてみてください。コツは、評価もアドバイスもしないこと。「そうだったんだね」と受け取るだけで十分です。

安心できる相手に話を聞いてもらいながら、1日を「よかったこと」で締めくくる時間は、緊張しっぱなしだった心がほどけていく時間でもあります。背中をゆっくりなでながら聞けば、触れ合いそのものが子どもの安心につながります。

青い枕で穏やかに眠る子どもの寝顔

とはいえ、「そんな余裕も時間もない」夜のほうが多いあなたへ

ここまで読んで、「そんなの無理に決まってる」と思った方も多いはずです。

仕事から帰って、夕飯をつくって、食べさせて、洗い物。気づけばもう寝る時間で、ぐずる子を布団に運ぶだけで精一杯。その毎日を回していること自体が、もう十分すぎるくらいのがんばりです。

このページの3つの方法は、「やらなければいけないこと」のリストではありません。少しだけ余裕のある夜に取り出す、それくらいの距離感で大丈夫です。

何もできない夜は、布団のなかで子どもの背中をなでるだけでもいい。「おやすみ」のひとことに、ほんの少しやわらかい声を乗せるだけでもいい。それだけでも、子どもの体は親のぬくもりを通して緩んでいきます。

水色の背景に置かれた、GOOD NIGHTの黒いロゴが入った淡いピンク色のアイマスク

ぐずっているのは、4月からがんばってきた証拠

新しい教室、新しい友だち、新しい先生。子どもたちは4月から2か月間、緊張の連続のなかを走り続けてきました。6月のぐずりは、さぼりでも甘えでもなく、「電池が切れかけているよ」という体からのサインです。
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そして、それはお母さんも同じ。祝日ゼロの6月を、子どもと同じ気圧の下で過ごしているのですから、疲れて当然です。がんばりを増やすのではなく、6月をゆっくり乗り切っていきましょう。

FAQ(よくある質問)

Q. ぐずりがひどくて、つい強く叱ってしまいます。

A. それだけ毎日、本気で向き合っている証拠です。お母さん自身も「祝日ゼロの6月」を走っている一人。叱ってしまった日は、寝る前に「今日も一日おつかれさま」と声をかけ直せば十分です。

Q. 生活リズム的に、お風呂がどうしても寝る直前になります。

A. 直前になる日は、湯温を少しぬるめにして短めに済ませるのがおすすめです。「寝る90分前」は、まずは時間に余裕のある週末だけ試してみてください。

Q. ただの「梅雨だる」か、受診すべきか迷います。

A. 食欲の低下、頭痛や腹痛、登校への強い渋りが何日も続く場合は、ひとりで抱え込まず小児科やスクールカウンセラーに相談してみてください。「相談すること」自体が、親子の安心につながります。

 

(参考)
*1 Sato, J., Morimae, H., Seino, Y., Kobayashi, T., Suzuki, N., & Mizumura, K. (1999)|Lowering barometric pressure aggravates mechanical allodynia and hyperalgesia in a rat model of neuropathic pain. Neuroscience Letters, 266(1), 21-24.
*2 Haghayegh, S., Khoshnevis, S., Smolensky, M. H., Diller, K. R., & Castriotta, R. J. (2019)|Before-bedtime passive body heating by warm shower or bath to improve sleep: A systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine Reviews, 46, 124-135.
*3 Akacem, L. D., Wright, K. P. Jr., & LeBourgeois, M. K. (2018)|Sensitivity of the circadian system to evening bright light in preschool-age children. Physiological Reports, 6(5), e13617.