ボーディングスクールが日本で増えつつあるのをご存じですか? ボーディングスクールは、グローバル化が進む現代社会に相応しい人材育成の場として、いま注目を集めています。
ボーディングスクールといえば、イギリス王室のウィリアム皇太子が通ったイートン・カレッジなどが有名ですが、子どもたちがそこで何を学び、どんな生活を送っているのかを知る人は、意外と少ないのではないでしょうか。
今回は、ボーディングスクールの特徴と日本国内にあるボーディングスクールについてご紹介します!
ボーディングスクールとは?
ボーディングスクールは、生徒が寄宿しながら学ぶ全寮制の教育機関です。ほとんどのスクールが「全人教育」をめざす方針を掲げています。*1
全人教育とは、学校法人玉川学園創立者の小原國芳氏によって唱えられた教育理念で、知識・技能教育だけに偏ることなく、感性・徳性なども重視して、人間性を調和的、全面的に発達させることを目的とする教育のこと。まさにいまの時代にマッチしている教育と言えるでしょう。*2
そして世界には約600校の国際的に認定されたボーディングスクールがあります。その多くが英語を公用語とし、IB(国際バカロレア)などの国際的なカリキュラムを採用。
また、ボーディングスクールには、全寮制(フルボーディング)、選択制(ハーフボーディング)、通学制(デイスクール)など、さまざまな形態があります。今回はおもに、全寮制のフルボーディングスクールについて詳しく見ていきましょう。*3
ボーディングスクールのメリット3つ
最近は日本でも認知されてきたボーディングスクール。そのメリットは大きく3つあります。
メリット1:自立心と社会性が育まれる
フルボーディングスクールの最大の特徴は、24時間の教育環境です。全寮制の生活で、常に「自分のことは自分でする」「人と関わる」ことにより、子どもたちの自立心や社会性はしっかりと育まれていきます。ボーディングスクールは、授業だけでなく、生活全般を通じて次世代のリーダーを育成することを目指しているのです。
メリット2:グローバル感覚が身につく
多様な背景をもつインターナショナルな生徒や教職員との交流を通じて、グローバルな視野と人脈を養うことができるのも、ボーディングスクールの魅力のひとつ。ボーディングスクールは、生涯にわたる貴重なネットワークを構築できる場所でもあるのです。
メリット3:国際的に通用する学びが得られる
ボーディングスクールは、多彩な教育プログラムを提供しています。英国式、国際バカロレア、STEM教育など、各校独自のカリキュラムがあり、子どもの適性や将来の目標に合わせて選択可能。どの学校も国際的視野に立った教育を重視しているため、海外大学への進学率が高いのも特徴です。
ボーディングスクールで子どもたちがどんな生活を送っているのか、保護者としては当然気になるでしょう。事項では、スクールでの暮らしについて詳しく解説していきます。*3
ボーディングスクールでの生活
ボーディングスクール入学で、初めて親元を離れて暮らす体験をする子は多いはず。落ち着いた生活ができるのか親御さんは不安ですよね。全寮制の学校では、前述したように生活全般を教育と捉えているため、子どもたちにとって安心できる環境が整えられています。
たとえば、イギリスのボーディングスクールでは、世界中から集まった18歳までの子どもたちが「ハウス」と呼ばれる寮で、男女別に暮らします。寮には「ハウスペアレント」という大人が常駐し、子どもたちをサポート。年少の子どもは最大6人で部屋を共有し、年長になると1人か2人部屋になります。それぞれに自分の空間があり、プライバシーも確保できるようになるそうです。
寮には、みんなで集まってくつろげる共用スペースもあり、なかにはおやつを作れる小さなキッチンがあるところも。勉強だけでなく、共同生活を通じて成長できる環境が提供されているのです。*4
ボーディングスクールでの1日(平日・週末)
子どもたちの1日のスケジュールも知りたいですよね。ボーディングスクールでは、子どもたちがわが家にいるような心地よさを感じられる環境づくりと、規則正しい生活リズムを確立するためのサポート体制が充実しています。
さらに、子どもたちの多様な興味関心に応える機会も、豊富に用意されています。日本初の一条校全寮制小学校である神石インターナショナルスクール(JINIS)の1日のスケジュールを見てみましょう。
(画像提供:神石インターナショナルスクール)
上記のスケジュールを見てわかるとおり、ボーディングスクールの教育は、通常の授業に加え、自然体験や多様なスポーツ活動など、バランスの取れたプログラムが特徴です。週末には世界の文化体験やフィールドトリップなど、楽しみながら学べるイベントが充実。
自然豊かな場所にある学校では、地域との繋がりも深いため、生徒たちは日常的に社会貢献やサステナビリティについて考える機会に恵まれます。ボーディングスクールでの生活は、環境、暮らし、教育、すべての面で、子どもたちの成長を後押しする条件が整っていると言えますね。*5
親元を離れた子どもたちが過ごす、ボーディングスクール側が大切にしていることはどんなことなのでしょう? 神石インターナショナルスクールに聞いてみました。
当校では、家庭のような安らぎのある環境を大切にしながら、基本的な生活習慣を身に付ける手助けをし、多分野への好奇心に応える場を提供しています。寮での規則正しい生活は、学力向上に直結するとともに、自己理解を深め、他者を認める広い心を育むことにもつながります。
また、自然豊かな環境を活かし、農園や牧場を利用したアクティビティから、消費者教育やフィールドワーク、ゴルフ、スキー、サイクリングを含むさまざまなシーズンスポーツなど、全寮制の環境を生かしたプログラムを実施しています。さらに、スポーツや音楽などのプライベートレッスン(習い事)も可能です。第二の家庭として、プロフェッショナルが24時間体制で児童の成長を見守っています。(詳しい教育カリキュラムはコチラ)
国内のボーディングスクール
ボーディングスクールといえばまだ海外が主流で、「ボーディングスクールには興味があるけど、海外はちょっと……」と不安に思う親御さんも少なくないでしょう。それは無理もありません。子どもにとっても家族にとっても人生の大きな決断になるのですから。
そんな要望に応えるように、ここ数年で日本にいながら国際教育が受けられる学校が増えてきました! 最後に、国内にあるボーディングスクールを10校ご紹介しますので、学校選びの参考にしてください。
学校名 | 所在地 | 対象年齢/学年 | Webサイト | 備考 |
---|---|---|---|---|
北海道インターナショナルスクール | 〒062-0935 北海道札幌市平岸5条19-1-55 |
3〜18歳 | 公式サイト | 全寮制・通学制選択可 |
ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン | 〒028-7306 岩手県八幡平市安比高原180-8 |
11〜18歳 | 公式サイト | – |
ラグビースクール | 〒277-0882 千葉県柏市柏の葉6-2-5 |
11〜18歳 | 公式サイト | 全寮制・通学制選択可 |
UWC ISAK Japan | 〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉5827-136 |
高校生 | 公式サイト | – |
白馬インターナショナルスクール | 〒399−9201 北安曇郡白馬村神城27425-125 |
中・高 | 公式サイト | – |
国際高等学校 | 〒470-0193 愛知県日進市米野木町三ヶ峯 |
高校生 | 公式サイト | – |
海陽学園 | 〒443-8588 愛知県蒲郡市海陽町三丁目12-1 |
中・高 | 公式サイト | – |
神石インターナショナルスクール(JINIS) | 〒720-1603 広島県神石郡神石高原町時安5020-77 |
小学生 | 公式サイト | – |
広島叡智学園 | 〒725-0303 広島県豊田郡大崎上島町大串3137-2 |
中・高 | 公式サイト | – |
インフィニティ国際学院中等部 北海道キャンパス |
北海道上川郡上川町 (住所非公開) |
中・高 | 公式サイト | 高等部には固定キャンパスはなく、国内外を移動しながら学ぶスタイル |
インフィニティ国際学院中等部 奄美大島キャンパス |
鹿児島県大島郡大和村 (住所非公開) |
中・高 | 公式サイト | 高等部には固定キャンパスはなく、国内外を移動しながら学ぶスタイル |
※募集要項なども変わる可能性がありますので、詳細や最新情報については各スクールに直接お問い合わせください。
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世界のグローバル化が加速するいま、日本の教育体制も潮目を迎えつつあるのかもしれません。ボーディングスクールの増加はその流れを表しているともいえるでしょう。保護者としては、視野を広げて、子どもの未来のいろいろな可能性を探っておきたいものですね。
(参考)
(*1)参考・カッコ内引用元:海外教育研究所|ボーディングスクールとは
(*2)参考:学校法人玉川学園|全人教育
(*3)参考:国際高等学校|ボーディングスクールとは
(*4)参考:BRITHISH COUNCIL|イギリスでのボーディング・スクール(寮制学校)での生活
(*5)画像引用元:神石インターナショナルスクール|第二の家庭として