あたまを使う/サイエンス 2018.5.10

そろばん学習に必要な “ナンバーセンス” を身につける。『トモエMIアカデミー』に潜入取材!

編集部
そろばん学習に必要な “ナンバーセンス” を身につける。『トモエMIアカデミー』に潜入取材!

「そろばん教室」と聞くと、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。長机の前で子どもたちが正座をし、各々がそろばんを手に手に難しい計算に取り組んで、その速さを競い合っている。こんなイメージをお持ちの方も多いかもしれませんね。

近年、日本ではそろばん塾通いの “低年齢化” が進んでおり、幼稚園や小学校低学年のうちからそろばんを習い始める子どもたちも増えているのだといいます。多くのそろばん塾では、入塾後すぐにそろばんを与えて計算方法を学ばせるのだそうですが……。じつは、まだ小さな子どもにとって、「数」はとても抽象的な概念。一足飛びにそろばんの技術を教える前に、まずは「数」そのものをしっかりと教えてあげる必要があるのです。

そこで今回は、そろばんのトップメーカー「トモエ算盤株式会社」が主宰する『トモエMIアカデミー』に潜入取材。年中・年長さん向けの「ナンバーセンスクラス」では、どうやって子どもたちに「数」を教えているのでしょうか?

レッスンは、数を “数える” ところから

今回の生徒さんは、通い始めてちょうど1年、年長さんに上がったばかりの男の子です。

まずは、大きな100玉そろばんで、1から100まで順番に数を数えていきます。男の子は、普段から電車の本やカードを持ち歩くぐらい電車が好きなのだそう。珠を電車に見立てて、上の段から順番に珠を1個ずつ動かしながら、「1両、2両、3両、……」とリズム良く数字を述べていきます。100両まで、あっという間!

トモエMIアカデミー潜入取材2

珠を5個ずつ動かして「5、10、15、……」と数えていく “5とび”、珠を2個ずつ動かして「2、4、6、……」と数えていく “2とび” にも挑戦。難易度は少し高いのですが、どれもしっかりと100まで数えられました。締めは、ダイナミックな “10とび”。「よくできました!」と、先生に褒められていましたよ。

次は、100玉そろばんで階段を作っていきます。左に1個だと右には9個、左に2個だと右には8個、左に3個だと右には7個。合計して10個というのはどれも同じだけれども……。10を作る数字の組み合わせがたくさんあることを学んでいきます。

トモエMIアカデミー潜入取材3

続いて、プリントを使ったレッスンです。1枚目は “5になる数字はいくつ?”。「1と〇」「3と〇」など、足して5になる数字を考えて空欄を埋めていきます。2枚目は “10になる数字はいくつ?” 。手元の10玉そろばんを使いながら、数字の組み合わせを考えていきます。2枚とも全問正解。「毎回早くなっているね」と、先生が優しい笑顔で褒めてくれました。

「子育て費用」の総額は22年間でいくらになる? 調査結果をもとに計算してみた。
PR

とても大切な「5」と「10」の概念

明治時代から、そろばん未習者や初習者のための教材として使われてきたという100玉そろばんですが、この赤と黄色に色分けされたものは、トモエ算盤で独自開発したオリジナル教材。子どもたちが「数」の概念をつかむためのさらなる工夫が施されています。

トモエMIアカデミー所長の藤本トモエさんは言います。

「そろばんには “5珠” があり、文字通りそれひとつで5を表します。ところが、抽象的な『数』の世界にまだ慣れていない子にとっては、それが難しい。例えば、5珠ひとつと1珠ひとつで6になるところを、“珠がふたつだから” という理由で2と読んでしまうのです。でも、このように珠が5個ずつ色分けされた教材を使えば、“1個だけれども5個分のパワーがある” という5珠の性質を感覚的にとらえることができます。それが、後々のそろばん学習に生きてくるのです」

同様に、そろばんでは10で “繰り上がり” が発生するため、10という数の概念をつかんでおくことも大切なのだとか。下の写真は、10個の穴が開いている教材。赤色で穴をいくつか埋めてから、残りの穴を埋めるために必要な青色の数を考えて、実際にはめていきます。

トモエMIアカデミー潜入取材4

次は、小さな100玉そろばんの片方を先生が紙で隠して、「この中には何個あるかな?」とたずねます。こうして子どもたちは、10を作る2つの数字の組み合わせを学んでいくのですね。

トモエMIアカデミー潜入取材5

数の世界を “楽しいもの” に

レッスンの時間も終わりに近づいてきました。お母さんが呼ばれて、ジャンケンで勝負をする模様です。「勝ったら10点」「負けたら1点」のルールにのっとって、1段目から順番に100玉そろばんの珠を動かしていきます。10回勝負をして、最終的に多くの珠を動かせたほうが勝ちです。さあ、どちらが勝つのでしょうか?

トモエMIアカデミー潜入取材6

結果は、男の子が8勝2敗で圧勝、82点を獲得しました! たくさん勝てて、とっても嬉しそうでしたよ。

***
何事にも、習得や理解のためには順番というものがあります。いきなりそろばんの使い方を学ばせる前に、まずは抽象的な「数」という概念に少しずつ少しずつなじませていく。こうすることで、その後のそろばんや算数の学習もスムーズに進んでいくのでしょう。

実際に取材をしてみて、男の子が終始とても楽しそうに、でも時には悩みながら、しっかりと「数」に向き合っている姿が目に焼きつきました。レッスン後に「数を数えるのが楽しい!」と笑顔で答えてくれたのも印象的でしたよ。

トモエMIアカデミーでは、年中・年長さん向けの「ナンバーセンスクラス」ほか、小学校1年生以上向けの “英語でそろばんを学べる” 「英語そろばんクラス」や「英語そろばんイマジネーションクラス」も開講されています。興味を持った方は、ぜひ一度教室をのぞいてみてはいかがでしょうか?

『トモエMIアカデミー』ホームページはこちら